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上司として気をつけていたこと

組織で仕事をすると、上司・部下の関係が生まれます。この関係をよりよくするために、上司として気をつけてきたことをお話しします。


監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めた「てりたま」です。
このnoteを開いていただき、ありがとうございます。

私が管理職として部下を持ったのは、1999年。
アメリカ駐在中にいつの間にかマネジャーになり、帰国してからのことです。
それから2020年までの21年間、部下と呼べる人がいました。

今回は、部下と接する際にどんなことに気をつけていたか、についてお話しします。



✅部門やチームのミッションを明確にする

私は、ミッションやパーパスが大好きなんです。と言うよりも、目的がはっきりしないことに時間を使うのが嫌なんです。
そこで、部門やチームを担当することになったときに、真っ先にミッションを決めます
「そんなことより、早くはじめましょうよ」と言われても、これは譲れません。

ミッションは一人で決めず、主要メンバーを巻き込んで決めます。
そうすることで、各自が「我々は何のためにここにいるのか」を考える機会ができます。
できあがったミッションは、誰かに押しつけられたものではなく、自分も参加して決めたものになります。

こうして決まったミッションはことあるごとにチームメンバーに伝えます。
決めたメンバーは、ミッションに沿った言動を心がけないといけません。そうでないと、ほかのメンバーが何を信じてよいかわからず混乱してしまいます。


✅部下が働きやすい環境を整える

部下の人選を誤っていなければ、上司の最大の役割は「働きやすいように環境を整える」、これだと思います。

上司は偉そうに見えますが、部下がいなければできることは限られてしまいます。
一人でできないからこそ組織を作っているんですから。

具体的には、こんなことを考えていました。

  • 職場環境を整える
    「環境」そのものですが、仕事がしやすい執務場所を確保したり、外付けモニターをそろえたり。

  • リソースを確保する
    人手不足が慢性化している監査法人では難しいですが、上司は少なくとも、リソース確保に戦っている姿を見せないといけません。

  • 上司が担当する方が効果的な仕事は前のめりに引き受ける
    偉い人と交渉することや、クライアントのちょっと面倒な人に謝ることは、内心は気が重いですが、率先してやらねばと思っていました。

  • 仕事の意味を伝える
    個々の作業を指示するときに、それがどんな意味があり、どのようにミッションと関連しているかを伝えます。
    そのほうが的確に判断でき、モチベーションにもプラスになると思っています。


✅部下という「機能」ではなく、一人の人間として向き合う

部下が増えてくると、サブチームや職位などグループとして見てしまいがちです。
ただ、そこにいるのは「20人」といった抽象的な数字ではなく、個性を持った20の人間。

例えば、こんなことに気をつけていました。

  • 部下の意見をじっくりと聞く
    医学部卒の部下から、「面談するときは、話すのを2割に抑え、8割は聞かないといけない」と言われ、ずっと意識していました。特に、話しているのをさえぎらないように注意しながら。

  • 部下のキャリアイメージを頭に入れる
    監査を続けたいのか、ほかにやりたいことがあればそれは何なのか。それによって、どのような業務が将来につながるかが分かります。
    希望を100%かなえることはできませんが、複数の選択肢があれば、今後に役立つ方を選ぶことができます。

  • 家庭の状況はできるだけ頭に入れる
    根掘り葉掘り聞くわけではありませんが、聞いたことは覚えておくことが人としての礼儀でしょう。
    ただし、私はこの分野の記憶力が絶望的になく、こっそり手控えたりはしていましたが、よく忘れてしまいました。


✅いつもとにかくポジティブでいる

私自身、ネガティブな上司の下で働くのが嫌で、そうなった場合はできるだけ顔を合わせないようにしていました。きつい仕事であればあるほど、上司にはポジティブでいてほしいものです。

X(当時はTwitter)でもこんなことを書いています。

心の中では泣きそうになっていても、どうしてよいか分からずパニックになっていても、表面は何事もないように平静を装ってポジティブでいるのがリーダーだと思います。


おわりに

あたかも私が理想の上司であったかのように書いてしまいましたが、これが常にできていたわけでは全然なく、私の部下だった人は「???」と思っているかもしれません。
「気をつけていたこと」というよりも「気をつけようとしていたこと」、さらに正確には「よく忘れてしまうが、できれば気をつけたいと思っていたこと」です。(だいぶ弱気になってきました)

組織に長年いて感じるのは、部下には、上司が思っていることの2割くらいしか伝わっていない、ということです。
逆に言うと、伝えたい思いの5倍は行動しないといけません。

上司という役割はなんだか割に合わないようですが、人生の貴重な時間を部下と共有し、一人ではできないことを実現することで報われる仕事だと思います。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この投稿へのご意見を下のコメント欄またはX/Twitter(@teritamadozo)でいただけると幸いです。
これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。

てりたま

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