見出し画像

私が面接で質問していたこと【会計士論文式試験合格者向け】

論文式試験に合格された方々、改めておめでとうございます。お祝い気分もそこそこに、監査法人の面接がはじまりますね。


監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めた「てりたま」です。
このnoteを開いていただき、ありがとうございます。

私はパートナーの間はほとんど毎年、会計士試験合格者の定期採用の面接官を担当していました。
また、監査法人のリクルートも3年担当しています。

監査法人により、事務所により、あるいは面接官によって面接の内容は変わります。年度によっても変化します。
このため、「これで合格まちがいなし!」とは誰にも言えませんが、「私はこうやってきました」というお話ならできます。

「お前の話なんか、どうでもいい!」という方は、後半にアドバイスを書きましたので、そちらに飛んでください。



面接で何を聞いていたか

ウォームアップ

まず面接の最初で「当監査法人の志望動機」を必ず聞いていました。

実は私は志望動機を聞いても意味がないと思っています。
志望動機の内容と、監査法人で活躍できるかは関係ないと思うからです。

また、志望動機は事前にいくらでも作文できます。専門学校の先生や親御さんに書いてもらったり、あるいはネットに落ちている文章をコピペすることも可能です。

それでもなぜ聞くかというと、一つにはお互いのウォームアップ。
すらすらと答えられる(であろう)質問をすることで、口をなめらかにしていただこう、という趣旨です。
面接官も、初日の朝一番は緊張します。自分自身のウォームアップでもあります。

もう一つは、せっかく準備している定番の質問を聞かないと失礼かな、という点です。

「ガクチカ」

大学生の就活で定番の質問が、
「学生時代に力を入れていたことは何ですか?」
いわゆる「ガクチカ」。

私も、学生や既卒専念組にはこれをメインに聞いていました。
学生の場合、アルバイトや、大学・高校での部活がよく出てきます。

そして、それを深掘りします。

  • (アルバイト先や部活で)どんな役割でしたか?

  • その中で、特に苦労したことはどんなことですか?

  • そのときに、あなたはどのように対応しましたか?

監査はチームワークでする仕事ですので、チームプレーヤーかどうか、チームに貢献しようとする人か、ぶら下がる人か、は見極めたいところです。

例えばこんなケースがあります。
「高校の部活で、県大会で優勝しました!」
しかも聞いてみると、キャプテンで主力選手。
ところが、チームのまとめ役は別にいて、単に身体能力が高いだけ、と言うことも。

別にキャプテンなどの役職についていなくてもよいのです。県大会優勝でも、初戦敗退でも関係ありません。
メンバー間で仲たがいしたときに「あなたは」どのように動いたとか、練習が続けられないメンバーが多いときに「あなたは」どう工夫したとか、そんな話を聞きたいわけです。

なお、前職のある人には、前職について似たような話を聞きます。

履歴書から話題を見つけて質問

履歴書から質問することで、本人が気づかない「ガクチカ」話が聞けることがあります。
「ガクチカ」でなくても、自分の経歴、趣味、長所などを分かりやすく説明できるか、どんな点に興味を持っていたり得意だったりするのか、といったことが参考になります。

せっかく一生懸命書いていただいた履歴書から質問しないと、失礼になるとも思っていました。


面接を通じて何を見ていたか

私が合否を決めるポイントはただ一つ。
「自分の監査チームにいるイメージができるか」。

監査チームのマネジャーやほかのメンバーとうまくやっていけそうか。
クライアントに気遣いながら聞くべきことを聞けるか。
そもそも「会話」ができる人か。

面接中、受け答えがスムーズにできているように見えるのに、実は会話が成立していない、ということがあります。
こちらの質問に対して、正面から答えていただけないケースです。

先ほどの部活の例で言うと、
「チームとして成果を上げるために何かしたことはありますか」
と聞いているのに、一人でがんばった自主トレを説明するようなことです。

「そんな人いるの?」と思うかもしれませんが、意外といらっしゃいます。
困った私は「なるほど、それはがんばられましたね。自主トレ以外に、チームとして取り組まれたことはありますか?」と誘導するのですが、チームの話が出てこないことも。

一方で、こちらの質問の趣旨をよく理解して、先回りして答えていただけることもあります。
そんなときは、「頭のいい人だな」と思いますし、「自分のチームに来てほしい」と思います。


もしアドバイスするとしたら…

最初に書いたように、面接の内容はさまざまですので対策もさまざまになります。
それでもあえてアドバイスするとしたら、という前提でいくつか挙げます。

  • 事前準備

    • 志望動機、会計士を目指した理由など、定番の質問は何度も声に出してセルフリハーサル

    • ガクチカを聞かれたら何をテーマに出すかを考え、苦労したことや工夫したことなどを思い出しておく

    • その他、履歴書に書いたことを説明できるようにしておく

  • 面接前日~直前

    • 十分に睡眠をとり、当日の体調を万全に

    • 待合室で緊張したら、時間が許せばトイレに行って石鹸で手を洗う

  • 面接中

    • 誰でも緊張するので、緊張しても焦らなくて大丈夫(面接官も織り込み済み)

    • 面接官の質問をしっかり聞いて、質問にしっかり答える

  • 面接後

    • 面接のキャンセルや内定辞退をする監査法人に対して失礼のないように(狭い業界です)

「石鹸で手を洗う」については、私も緊張したときによく使います。


おわりに

「面接のことを書こう!」と思い立ったのが遅く、東京などで大手法人の面接がはじまる直前になって申し訳ありません。

情報量が多すぎても混乱するので、記事の中から参考になるところを選んで活用してください。
それでは、ご健闘を祈っています!


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この投稿へのご意見を下のコメント欄またはX/Twitter(@teritamadozo)でいただけると幸いです。
これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。

てりたま

いいなと思ったら応援しよう!