スピーチをすることになったら
てりたまです。
監査法人で30年強、パートナーとして17年。その間、人前で話すことがよくありました。
1,000人を前にした方針説明会や披露宴での主賓あいさつ。採用担当としての会社説明会は、以前にnoteに書きましたね。
私はスピーチの達人でもなんでもないですが、場数だけは踏んでいますので、経験を踏まえてスピーチの準備の手順をお話しします。想定しているのは、15分以内のスピーチです。
端的に言うと手順は次の3つ。
目的を設定する
原稿を作る
リハーサルする
なんだか、あたりまえのことばかりですね。でも興味があったら、以下をお読みいただけるとうれしいです。
目的を設定する
スピーチでは、聴いていただく方が必ずいます。
その方々に、スピーチを聴く前と後でどのような変化を起こしたいか、これがスピーチの目的です。
例えば、次のような変化です。
知識を獲得する
前向きな気持ちになる
スピーカーのファンになる
研修で話す場合、それをスピーチと呼ぶかどうか別として、知識を伝えることが多いと思います。会社の方針を伝えることも「知識の獲得」ですね。
モチベーションを高めたり、自信を持ったりすることで、前向きな気持ちになってもらおう、ということもあります。
会社説明会などは、会社についての情報を伝達する場ですが、それよりも、「この人と一緒に仕事がしたい」と思わせる方が重要です。内容はまとまりがなくても、心をつかんだら成功。
これとは逆に、「変化を起こさない」ことが目的になることもあります。
例えば披露宴でのスピーチ。特に主賓のあいさつは、新郎新婦も出席者も、ほとんど覚えていないですよね? それでいいと思うんですよ。
気の利いたことを言うよりも、とにかくコンパクトに、失敗しないことが目標になります。
原稿を作る
話すことを原稿に書き出すべきか、についてはさまざまな意見があります。
聴衆を見ながら話すライブ感が重要なので、項目をリストするくらいでよい、という話もよく聞きます。
私は逆に、一言一句、書き出します。
原稿に書き出すメリットは、まずはスピーチの内容を少しでも客観的に見ることができるということです。
書き出すことで、分かりづらい部分や、説明が多くくどい部分、同じ言い回しの繰り返しなどが目につきます。似た内容が何度も出てくるのでどこかでまとめよう、というようなことも考えられます。
頭の中だけで考えたり、自分で話して耳で聞くだけでは、なかなか気づけません。
もう一つのメリットは、項目と項目の間のスムーズなつなげ方とスピーチの終わり方をあらかじめ決めておけることです。
項目間のつなぎを決めておかないと、「次に」ばかりが続くなどワンパターンになってしまいがち。
スピーチの最後もとても重要です。話すことを全部終えてしまったのに、スピーチが終えられず立ち往生、ということがよくあります。どれだけすばらしい内容でも、最後でつまずくと残念です。
世の中には、準備なしに自然に立派なスピーチができる人がいます。
私も、いずれはそうなりたい、と思っていましたが、途中で考えを変えました。
演説の達人と言われたチャーチルですらしっかりした原稿を作っていたのです。まして私などは、原稿なしに話すなどおこがましいと気づきました。
リハーサルする
原稿は、本番で手元控えとして持っておいてもよいですが、絶対に読んではいけません。棒読みを聞かされることは相当苦痛です。
そうではなく、事前に何度も何度もリハーサルして、頭に叩き込んで本番に臨みます。
先ほどのチャーチルも、原稿を徹底的に暗記し、何回もリハーサルしたそうです。
アップルのスティーブ・ジョブズも、新製品の発表会のリハーサルを入念に行ったことは有名ですね。
原稿と同様に、スピーチ界の巨人たちがやっていたのに、私がやらなくてよいわけがありません。
重要なスピーチだと、30回くらい、自分で声に出し、投影があればそれを操作しながらリハーサルしました。100回やったこともあります。
リハーサルをすると、原稿を直したくなります。ブラッシュアップのチャンスです。直しては読み、読んでは直しを延々続けます。
何も考えなくても、口から次々と言葉が出てくるようになれば完成です。
そして本番
これだけ準備しても、失敗できないスピーチであるほど緊張するもの。
そんなときは、石鹸で手を洗うと気持ちが落ち着きます。トイレの個室で小声で最後のリハーサルをしていることもあります。
いよいよ本番。
確か和田信賢さんというNHKのアナウンサーの言葉だったと思うのですが、「練習では世界で一番下手だと思い、本番は世界で一番上手だと思って臨みなさい」
皆さんの次のスピーチの機会に、ヒントになれば幸いです。ご健闘をお祈りいたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。
てりたま
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