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寂しさと東京 騒がしさと田舎

"俺寂しがりやだからさ"

マッチングアプリで出会った男の人が言っていた。

俺、出身は東北の方なんだ。やっぱり都会がいいよ。え?なんでかって…。人が多いからかなぁ

人が溢れかえっている都会を嫌がる人も多い、ないものねだりで自然豊かな田舎に住みたいと言う人も多いのに。ましてや、私は今すぐ故郷の岩手に帰りたいのに。私も、ないものねだりの一員で、岩手にいた頃は早く東京に出たいとばかり思っていたが、出てくれば出てきたで岩手に帰ることを望むのだ。
都会が好きだと心から言える彼はなんだか清々しく不思議だった。このまま質問していっては都会大好き人間VS地元に帰りたい人間になりそうなほど平行線をたどったので、ふーんとだけ返事をした。
寂しがりやだから都会が好きなのか。そしたら寂しがりやの田舎に住む人はどうしているんだろう。一周思いを巡らせ、まあどうにかしてるのかと自分の中で考えを完結させた。

寂しがりやには最適な場所。東京。人に会わないことなどない。地元では、コンビニに行くのに5分歩いても誰とも会わない。店員を見て、この世が終わってなくてよかったと、家を出て初めて確信する。

一方、東京では家の窓から人が歩いているのが見える。いつでも誰か歩いている。夜道を散歩していても誰かと会う。夜中という不思議な時間をシェアする相手がいるのがたまに嬉しい時もあるし、熱唱したり踊ったりしている時には人がいなきゃいいのにと思う。
他人がいることを嬉しく思う日もあれば、気持ち悪くなる日もある。

この間約半年間の地元での生活を終えて東京に戻ってきた時、東京という場所は無駄な愛想を振りまかなくても生きていける場所だと思った。地元では、知っている人の方が多いからニコニコ挨拶しなきゃない。じゃないと、あそこの娘愛想が悪いとか言われちゃうから。愛想を振りまかなくていい東京。でも誰からも干渉されないことに寂しさを感じて戻る愛想を振りまかないと生きていけない田舎。どちらかが嫌になった時、どちらかに逃げてしまえば。

そんなことを考えながら眠りにつき、起きれば忘れ、また人のごった返している新宿や渋谷に出かけていく。そんな私はどちらの人間にも戻れないのかもしれない。

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