エネルギー通貨の仕組み

Teramocci No.7

現在の通貨/お金は、政府の信用に基づいています。政府は、税金に使えることや商品への交換を保証していることで、通貨の価値を支えています。ただし、通貨の価値は絶対的なものではなく、インフレやデフレによって変動することがあります。また、通貨の価値は、他の商品やサービスと交換できるという交換価値が加わっていると言えます。

このような不安定な現行通貨に対する対策として、提案されているのが、再生可能エネルギーを通貨化するビットコインの通貨システムです。
このシステムを簡単に表現すれば、太陽電池とバッテリーが設置されたパン屋のA家と、消費者のB家の例で説明できます。A家はB家にパンを提供し、B家は同じ電力料金分の電力エネルギーをバッテリーからA家に送電するようスマートフォンに指示します。これが交換であり販売です。

エネルギー通貨は、貯蔵された再生可能電気エネルギーを担保として取引される仕組みです。大量の再生可能エネルギーと、水素貯蔵や大型の集中バッテリーシステムなど大型の貯蔵設備及びブロックチェーン技術を活用することで、送電せずとも、所有権の移動により送電ロスなしに交換や販売が可能になります。
また計測や電力系統のモデル化によりデジタルツインとすることで、取引の透明性が確保され、不正や二重使用のリスクが低減されます。また、エネルギー通貨はデジタル化されており、スマートフォンやコンピュータ上での取引が可能で、送金手数料や時間も削減されます。

このようなエネルギー通貨は、地球温暖化問題への取り組みにも効果的です。再生可能エネルギーの導入には高いコストがかかるため、普及に課題がありますが、エネルギー通貨を導入することで、再生可能エネルギーの利用がより普及し、エネルギーの需要と供給を効率的に調整することができます。

ただし、エネルギー通貨には課題もあります。例えば、再生可能エネルギーの発電量には季節や天候による変動があり、そのためにエネルギー供給量及び貯蔵量にも変動が生じます。そのような変動により、エネルギー通貨の価値が不安定になることが懸念されます。また、エネルギー通貨は現在の金融システムとは異なるため、その運用方法や法律的な問題なども検討する必要があります。

以上を踏まえると、エネルギー通貨は、環境問題や経済問題に対して有効な解決策の一つであることが分かります。しかし、その実現には、技術的・法律的な課題を解決する必要があるとともに、社会的な認知度の向上が必要です。また、エネルギー通貨を実現するためには、国際的な協力が必要となるため、国際的なルールや規制の整備が必要です。

エネルギー通貨は、再生可能エネルギーの普及を促進し、地球環境保全やエネルギー安全保障の確保に貢献することが期待されます。これまでの通貨システムでは解決できなかった問題を解決することができるかもしれない新しい通貨システムに期待が寄せられています。

この新しいエネルギー通貨システムによって、人々の経済的自由と地球環境の保護を両立することができると考えられます。人々は自分たちが所有している再生可能エネルギーを資本として活用できるため、社会の安定した成長が見込まれます。一方で、地球環境への負荷が軽減されるため、長期的な持続可能性も高まると考えられます。

エネルギー通貨の導入により、空間的にもエネルギーの需要と供給がより効率的に調整されることが期待されます。例えば、再生可能エネルギーの発電量及び貯蔵量が多い地域では、エネルギー通貨の価値が低くなり物価が高くなり、逆に発電量が少ない地域では物価が低くなることが予想されます。送電ロスを含めても、エネルギー通貨により、購入することになります。発電量が少ない地域は、貯蔵量の多い地域に物を売ってエネルギーを得ようとし、結果としてエネルギーの適切な分配が促され、エネルギー消費の効率化が図られます。

また、エネルギー通貨は、消費者のエネルギー使用行動にもポジティブな影響を与えることが期待されます。エネルギー通貨の価値が直接的にエネルギー消費に関連することから、消費者はエネルギー効率の高い製品やサービスを選ぶことが報われるようになります。この結果、エネルギー効率の向上や環境負荷の低減が促進されるでしょう。

日本は人口密度の高い国であり、再生可能エネルギー、特に太陽エネルギーの導入においては先駆的といえます。また、日本円は国際的に独立した通貨であり、エネルギー通貨が日本から始まルコとも考えられます。いつかは、円がkWHに切り替わり、世界で認められる通貨になる可能性もあります。

このように、エネルギー通貨は、社会や経済に大きな変革をもたらす可能性がある画期的なシステムです。再生可能エネルギーによるエネルギー資源の資本化により、安定した経済成長と地球環境の保護を両立することができます。今後、このシステムが実現されることで、新しい持続可能な社会が実現されることを期待しています。