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ENERGY CURRENCY:技術の熟成

Energy Currencyは、既存技術の組み合わせで可能な技術だ。
再生エネルギーは太陽光発電、蓄電はバッテリー、電子貨幣はビットコイン、バッテリーやトランスなどの損失モデルといった基本的なグリッドのシミュレーションはすでに存在する。
 これらを組み合わせるだけで基本的に実現可能だ。
 課題はコストともいえよう。価値が釣り合っていない。という考え方。競争相手となる貨幣に対し負けているという考え方もある。現在の世界ではそうだろう。化石エネルギーにより安価にエネルギーが手に入る。数億年の太陽エネルギーの蓄積と、瞬間瞬間の太陽エネルギーでは、どうしてもバランスが取れない。そして、化石エネルギーにより駆動されている社会、及びその信用を担保としている貨幣の価値にはどうしても勝てないのだ。

 瞬間瞬間の負債であるCO2排出を伴う「燃焼」が、その排出である大気中二酸化炭素濃度、そして気温上昇という現象を通じてしか人類は感じ取れなかった。今、その負債の積み重ねと行く末を想像することで、貨幣という負債とエネルギーという財産の価値のバランスが変わりつつある。

 実現できても、時期が来ないと爆発的に普及しないという技術は存在する。iPhoneやスマートフォンは良い例だろう。技術を組み合わせればいつでもできたし、それに似た製品は存在したが、例えばバッテリーの小型超寿命化により片手で持てて、ディスプレイが見えて、簡単に操作できる。という技術の進展の組み合わせを、人々が欲しい。と感じた時に技術は普及するものだ。

 Energy Currencyが、どういったタイミングで、どのように普及していくのか。自分はCO2削減圧力が高まる中で、工場間や企業と太陽光発電事業者の間の決済、各家庭とのPtoP決済、エネルギー価格変動のリスクヘッジの中で普及し始めていくのではないかと推定している。

 エネルギーが需給バランスから価格変動するというのはなんとなくわかるが、どこで、どのように使っても同じ電気が、真昼間に太陽光発電で発電しているのに、雨の日や曇りの日、風が吹かない日は、どこからか高い金で購入しないといけないというのは、なんとなく感覚的におかしいと感じるはずだし、そのためにバッテリーなどが普及し、kWhのままでの交換ということも発生するだろう。


写真はオートペッド。1915年から1922年までニューヨーク州ロングアイランドシティのAutoped Companyが製造した初期のモータースクーターやモーター化されたスクーター。エンジン駆動だったらしい。

 技術というのは、どこかで普及し、また消えて、そして制約条件の違う中で、また復活するのが面白い。

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