アート独り言。(ゲルハルト・リヒター展)
大好きな豊田市美術館で開催されている「ゲルハルト・リヒター展」へ。
ビルケナウがどうしても観たくて、急遽予定が空いたので行ってきた。
俳優、鈴木京香さんの音声ガイドがあった。音声ガイドは好きだけど、今回は敢えて借りなかった。
入り口で、グレーのラインより後ろで観るようにと案内される。いきなり鏡が現れる。
何をどう見るかを鑑賞者にゆだねる「ミラー・ペインティング」シリーズ。しばらく立ち止まって考えた。自分自身がまるで絵画に取り込まれた感覚になる。
その隣は「グレイ・ペインティング」シリーズ。無を表すグレー。
アートは、なんらかのコンセプトがあったり、鑑賞者に考えさせる仕掛けがあったりさまざま。
私には、作品の意図を汲みとらせてなるものか、という感情が伝わってきた。
何かでなぞった後なのか、不思議な模様。規則的なのか、不規則なのか最早わからない。
その奥にあった映像作品を見てしばらく動けなかった。観る側に委ねている感が凄い。
これはいったい何なのだ?
気付いたら、かなりの時間が経過していた。
お目当ての「ビルケナウ」を見る。
絵の下層に凄惨な光景があるのは全くわからないほど、塗り重ねられている。
これは繰り返し嫌な事を表現したのか、隠蔽か。
隣には巨大な鏡があり、作品と鑑賞者を取り込んでいる。
色々考えさせられる。
これこそが作品の持つパワーだと感じた。
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少し前に、ミュージアムの女の作者、宇佐江みつこさんが出演されたテレビ番組、「小峠英二のなんて美だ!(テーマ:美術館)」で、印象派のモネと同じ視界の中に入るようにポーラ美術館でリヒターの作品が展示されていたと紹介されていた。(この番組は関東のみ放送だが、運良く見ることができた)
その展覧会は、「光」がテーマだった。
印象派が現代美術に進化していく過程がみられたようで、行けなかったのが残念。
今回の展示も印象派を意識する展示箇所があった。
ほかにも、写真をうつしとるように描いたフォト・ペインティング、へらのようなもので引きずるように描くアブストラクト・ペインティングは、技法も素晴らしいけど、色彩感覚に驚いた。
作品が何を意図するかよりかは、自分がどう観るか。
ずっとずっと考えていた。
至る所にあるガラスや鏡に映る自分にもハッとさせられる。
それにしても、今回の展示はどれほどの労力がかかったのだろう。
巨大なカラーチャートの前で呆然とした。搬入も展示も想像を絶する努力なのだろう。。。
出口で思わずため息が出た。
制作意欲が少しずつ沸き上がる。良い展覧会だった。
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