アート独り言。(展覧会を終えて)
今年もアートフォーラムが無事に終了した。
とても多くの方にご来場いただき、感謝の思いでいっぱい。
いつもなら会場に誰かしらの作品が置きっぱなしになるのに、今回は最終日にほとんどの方が搬出し、何だか寂しい感じ。
展覧会の期間、色んな出会いがあった。特に印象的だったお二人。
友人たちの展覧会で同じ時間にいた方が、見に来てくれてびっくりした。
脳の病気をしてから言葉が話しづらくなってしまったらしく、ゆっくりゆっくりお話させてもらった。
生まれ育った地元では、男性が絵を描いたり見たりなんてことは恥ずかしいという風潮があったらしく、ずっと気持ちを押し殺していたそう。
脳の病気をしてから、以前よりアートに興味が出てしまい葛藤していたとのこと。
高次脳機能障害を患った方が突然絵を描く事が好きになったりすることもあるから、もしかしたら何か影響あったかもですね、と話した。
そして所属作家の大半が男性であることにも驚いていた。
ほとんどの作品が「つくりだしたもの」であるが、その方はここには嘘がないと言っていた。
どんなことを感じとったのだろうか。
連絡先を交換するわけでもなく、きっとどこかでまたお見かけするかもしれないですね、といってしばらく展示を楽しんでいかれた。
もう一人は、友人の展覧会であった見知らぬ女性。
話を聞いて欲しい、と友人に悩みを話していた。その後、私にも同じ悩みを話してきた。
「私が描いたこの絵、バカが描いたみたいって言われたんです」
見せてくれた絵は、淡い水彩で描いたお花の絵。
「私には素敵なお花の絵にしか見えませんよ」
少しびっくりした顔で、元々は油彩で絵を描いていた話をしてくれた。
「絵は人によって感じ方が違うんです。例えば、ここにある大きな絵はどんな人が描いたと思いますか?」
するとその方は、30代くらいの優しい感じの女性が描いたのかしら?と答えた。
「この絵はあちらに立っている男性が描かれた絵ですよ」
さらに驚いていた。
私は思い込みが激しいんだわ、と少し笑顔になってくれた。
私の作品も賛否両論だった。
何故こんなに暗い、おかしな映像作るの?とも言われた。毎回、誰かしらに言われるから、さほど気にしない。
毎回だけど、作品を作る時は本当に苦しむ。今回も、自分のような人間が作品を出してよいのか?ずっと自問自答してギリギリで出す事を決めた。
今だからこその作品だ、色の情報がないのが良い、今までの作品の中で一番良かった等、嬉しい感想もいただけた。
大きなオファーもいくつか来た。私の作品からインスピレーションを受けたという言葉は本当に嬉しい。
何回も何回も失敗してようやくできた写真パネルは、どうしても欲しいという方にお譲りした。仕上げが美しくないと言ったら、それが良い、と。
アートは人の心を豊かにするし、可能性を感じさせてくれる。心を救ってくれる。その一方で、アートによって心を苦しめられている人がいることも、決して忘れてはいけない。
追記
終わって早速、服作り。
ミシンは楽しい。
決して裁縫は上手くないけれど、夢中になれるこの時間が好きだ。
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