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「それはあなたです。」自動翻訳の気持ち悪い日本語に憑依されてしまう件。

いつもアメリカの田舎町で静かな生活を送っている。仕事は州立大学のIT部門でデータ分析用ダッシュボードの作成。仕事の依頼は管理ツールを介して行うため、対面で人に会う機会は極端に少ない。それで一日中、自分自身と脳内で対話している。脳内での会話は母国語の日本語なのだが、昨年暮れから突然大量に中国ドラマを観るようになったせいで、脳内会話がおかしくなって来た。

YouTubeにアップロードされている中国語のドラマで“Eng Sub”とか”Multi Sub”とかの説明が付いているものを、字幕の言語設定を自動翻訳→日本語にして見ている。自動翻訳がどういう手順で成り立っているのか不明だが、いったん中国語の音声から英語に訳したものをもとに、各言語に訳しているのではないかと思う。というのも、よく話の流れから彼というべきところで彼女と言ったり、兄なのに弟と言ったりがあって、察するに中国語から英語に変換する際にolder brother, younger brotherのbrotherだけが残されるために英語から別の言語に訳すときに兄弟の年齢の序列が不明になってしまうのではないかと思う。彼と彼女についても、漢字を見れば女ヘンがついているほうが彼女で付いてないほうが彼だとわかるけれど発音は同じなので音から変換すると性別不詳になるのだろう。

それから、中国ドラマを見ているとわりと頻繁に、「それはあなたです。」という日本語訳にでくわす。探偵が真犯人をあばくような場合以外に、実生活でこのフレーズを使う必要性が感じられないが、中国では普通によく言うセリフなのだろうか。ほかにもよく時代劇で首領や皇帝などの偉い人が怒って部下に、「迷子になる!」と怒鳴るシーンがある。原語では1文字で「滚!」英語のサブタイトルで“Get lost!.” 自動翻訳の日本語では「迷子になる!」が出てくる。日本語としては変すぎる。日本の時代劇なら、「退がれ!」とか「失せろ!」とかのセリフだろう。この他人に「迷子になる!」と強制する日本語が変すぎて記憶にこびりついてしまう。

毎日字幕を沢山読んでいたら、知らないうちに自分の脳内独り言が、「私はそれを行いました。今はこれをすべき?」「はい、それは正しい。」「彼女、行くのか、そこへ?」のような自動翻訳調になってしまった。これを直すにはどうしたらいいのだろう。ナマの日本語を浴びるように聞かない限り、もとにもどらないかもしれない。ただ、アメリカに長年住んでいても怒りに身を任せて”Get lost!"と叫ぶような機会は一度もなかったから、さすがに独り言でも「迷子になる!」は、使わない。



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