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2021年3月の記事一覧

メンタルで勝とうとするから、メンタルで負ける

選手たちがよく言う、「メンタル」の強化ということです。 メンタルを強くする、心を強くする、精神力を強くする。 これって、何なんでしょう?ということです。 練習でお邪魔しミーティングをした際も、選手たちに他に課題は?的な話題をした時も「メンタルを強くしたい」みたいな声がありました。 自分もこれについては、何かを証明したこともないし、実績を根拠にした説得力はないのですが、最近よく考えています。 そもそも「メンタル」ってどこにあるのか?それは、「メンタル」というもの自体が、強いも

ムセルスキー選手は単にデカイからスゴイのではない(2013年)

グラチャンバレー2013男子の日本対ロシアの試合を僕も観ていました。 日本は勝てませんでしたが、それ以上にロンドンオリンピック金メダルの立役者が何人もいるチームと対戦すること自体、観戦にワクワク感がありました。 ところが、テレビ中継で観ていると、 ロシアの強さが「高さ」にだけフォーカスされていて、 しかもそれが、平均身長的な高さだけをひたすら強調され、本来観るべき、ロシアのすごさ・・・ 戦略的かつ効果的なサーブ、 ブロックの「システム」とそこから生れる守備力、 オーバーハン

ラリーを制する見どころ~何を詰めるか?何が詰められているか?

 バレーボールの試合を見る面白さや醍醐味にはいろいろありますね。きっと、両チームの攻防の中で1点をもぎ取った時の喜びや、決まりそうで決まらない粘りの応酬によるドキドキ感、さまざまなファインプレー・・・そういったものにエキサイトすることも多いでしょう。  そんなハラハラ、ドキドキ、ワクワクするすごいプレーやラリーはどうやって生み出されているのか?・・・もう少しだけ詳しく考えていくと、視点のひとつに、そのワンプレーのすごさに対しての注目だけではなく、「思惑」とか「かけひき」、「

おろそかになっていないか?サーブの考え方

日本では不足しがちなサーブの思考 最近では、「サーブ戦術」、「戦術的サーブ」、「サーブの定石」という言葉も用いられるくらい、プレーをよりマクロな戦術の関連性の中で見る必要性が言われてきています。  バレーボールの試合において、「サーブ」はゲーム開始のスタートのプレーです。サーブを打つ側が最初に得点のチャンスをもちます。ですから、サービスエースを得るというのは、最も最短でラリーを制する方法ですから、サービスエースというのはできればほしいところです。  逆に、サーブ権がない方、

時間がかかるけど、大事だと思うこと

これから今まで以上に提案をしていこうと思うことがあります。  それは、本当に選手の「育成」とそれに求められる指導のアプローチです。 長期的な戦略やプランのなさがトップの競技力を下げる 日本では、大型のセッターがなかなか出てきません。リベロが第二セッターの役目を果たせません。ハイセットをする能力、ハイセットを打ち切る能力も世界に追いついていません。  ハイブリッド6っていうのもありましたが、ミドルからのクイックを中心とした決定力がありません。そしてプレーヤーのユーティリティ性

受け身、防戦になるからしんどい。失点を許さないからしんどい。

メンタルののせいにせず、意図的にポジティブに行動化バレーボールの試合の展開はいろいろあります。  サイドアウトの応酬で接戦となる展開、相手に終始リードを許すも追いつき逆転する展開、はじめからリードをとってその勢いのまま勝利する展開、逆転の応酬となる展開・・・。 また、事前のスカウティングで、相手の力が優位に立っていてこちらの分が悪いと考えられるゲーム、逆に普段通りに力を発揮すれば優位に立てると想定できるゲーム、まったく互角で展開が見えないゲーム・・・。いろいろです。  しか

「ベーシック」と「スタンダード」

「基本」(ベーシック)というのは、どの選手にも、どのカテゴリにおいても、共有されるべき普遍的に近いものであると思います。 「標準」(スタンダード)というのは、対象範囲の中での、一般的でごく普通であること。または普通になされているもの、基準。 バレーボールにおける「当たり前」を考えた時、「ベーシック」と「スタンダード」との意味合いが、ややごちゃ混ぜになっていて、議論が不透明になったり、「基本」の浸透や、「標準」化を進めようとする際の妨げになっているように思える時があります。

「高さとパワー」問題について

 バレーボールの国際大会において、しばしば日本の課題や敗因に「高さとパワーに圧倒された」という言葉が飛び交います。しかし、これ本当にそうだと言い切れるでしょうか?  よく日本のバレーボール中継では、選手の平均身長の比較が話題になっています。または特に目立つ2Mを超えるような長身選手が話題になったりします。仮に2M越えの大型選手がいたとしても、チームで戦略的に戦うバレーボールというスポーツにおいて、そのような長身選手一人に翻弄されてしまうことだとしたら、日本は本当に勝ち目はな

なぜ「標準化」が難しいかを考えてみた

バレーボールにおける「世界標準」なる言葉が登場し、言葉を聞いたことがある程度の人も含めると、かなり言葉への認知は広がっているのかな?と感じています。 実際は日本で浸透しているのか? 言葉というのは面白いもんです。「世界標準」というのを訳すると、「グローバルスタンダード」となるのかもしれませんが、多くの日本の人はそれらを感覚的には別のニュアンスとして受け取っていないかと思える時があります。何か前者は、カタチやカタがはっきり固定されているように受け取られがちです。だからなかなか

時間差攻撃、移動攻撃の淘汰

トレンドのなかの標準今のバレーボールの戦術なりスキルを観ていて、話題となるのは、リードブロックが主体とそれに対抗するためのファーストテンポによる、クイックやバックアタック・・・そしてそれに伴うセッターからのセット法やアタッカーの助走の取り方やファーストタッチのセッターへの返球などなどです。 2000年代になってブラジルがそのバレーを体現し世界をリードしてきました。そして今はロシアやアメリカ、ポーランドやフランスなどの欧米勢に加え、イランなどもどんどん標準化して台頭してきていま

「MB1」とか「hybrid6」が物語るものとは・・・

 昨年のグラチャンにおける「MB1」、今回のグランプリでの「hybrid6」(ハイブリッド6)でも同じことが読み取れるのではないかと考えています。 「MB1」とか「hybrid6」など、日本代表女子側からその試みが発信されることは個人的にはとてもいいことだと思います。試合の様子を観てみんなでいろんな感じ方や考え方を交流できるのもいいなと思います。「MB1」とか「hybrid6」自体を意味があるとかないとかを論じるというよりも、試みられるものを精査して、次にどのように発展性をも

世界で戦えることが証明されたよりも、実はこれまでも世界と戦えていたかもしれないことの証明じゃないかと

FIVB World Grand Prix 2014 のファイナルが行われ、全日本女子は銀メダルという結果でした。中国やロシアなどを次々と破る試合がテレビ中継されて、とてもいいもんですね。 さて、今回の日本チームは、「hybrid6」(ハイブリッド6) という選手の起用方法を採用し、従来のバレーボールにおける選手の役割分担とは違ったスタイルに注目が集まりました。そして日本チームは、ロシアや中国にも勝利し、銀メダルという成績を出しました。まだまだロシアの仕上がりもいまいちで