マッチ売りの少女の死と娘の成長
絵本大好きな4歳の娘、ぽんちゅ。
眠る前にはたいていいつも、絵本の読み聞かせをしている。
その日ぽんちゅの選んだ絵本は「マッチ売りの少女」。
初めて読む絵本だ。
絵本を読み終え、電気を消したのだが…。
「ねぇ、女の子(マッチ売りの少女)はどこに行ったの?」
ぽんちゅが聞いてきた。
「天国に行ったんだって」
「天国ってどこにあるの?」
「お空のずっとずっと高いところ」
「どうして高いところに行ったの?」
「えっと…死んじゃったから」
「パパとママも?」
「パパとママはいないよ。パパはお家にいて、ママはお仕事で帰ってこないんだって」
「パパとママに会えなかったら、さみしいー」
少女はひどい仕打ちをしていた父親とは会たくないんちゃうかなと心の中でツッコミつつ、
「でも、おばあちゃんと一緒やから大丈夫やで」
「おばあちゃんだけやったらさみしいやん…」
「大丈夫!天国には神様もおるし。おばあちゃんと神様とおしゃべりしてるから寂しくないんやで。絵本でも、おばあちゃんが『つらいところは何もないんだよ』って言ってるやろ」
「そうなんだー、じゃあ…」
ここでハッと気づく私。
天国を良く言いすぎた!
天国に行きたいと言い出したらどうしよう…!
「ぽんちゅも天国に…」
わわわっ!
「いきたくない!」
…。
よかったー…。
「そうやな、天国に行ったらお家に戻って来られないから、ママにもパパにも会われへんなるもんな!」
「でも、死んじゃったらどうしよう…」
「そんなすぐに死なないよ」
「女の子とおばあちゃんは死んだんでしょ?」
「女の子はご飯ちゃんと食べられてなかったからなぁ。
おばあちゃんは歳やし…。
ぽんちゅはまだ子どもだから、好き嫌いしないでしっかりご飯食べて、ジュースじゃなくてお茶やお水をしっかり飲んで、たくさん遊んで弟と仲良くして、元気に過ごしてたら大丈夫!」
娘が心配しているというのに、ここぞとばかりにしつけも盛り込む私(コラ!)。
しかし、これがややこしい事態を引き起こした。
「どうしよう、さっきすけちぃを蹴っちゃった…」
ぽんちゅには1歳の弟すけちぃがいる。
この時、すけちぃはすでに眠っていたのだが、絵本読み聞かせを始める前に私の膝の取り合いをして蹴ったりしていたのだ。
「蹴ったのはあかんけど、ごめんねって言って次からしなかったらいいからね」
「わかった、明日ごめんねする。…あ」
今度は何!?
「お水飲むの忘れた」
ぽんちゅは寝室に入る前に水を飲むのだが、この日は確かに飲み忘れていた。
「もう明日飲んだらいいんちゃう?」
「ちゃんとお水飲まないと死ぬんでしょ?死んだらいややー!」
うわぁぁぁん!!
大泣き。
余計なことを言うんじゃなかった…。
もうこれ以上何を言ってもダメだと思った私は、水を飲むためにぽんちゅを連れてリビングダイニングへ。
・・・
「どうしたん!?」
子ども達はとっくに眠っていると思っていた夫がびっくりして話しかけてきた。
ぽんちゅに水を飲ませながら、経緯を簡単に話す。
話し終える頃にはぽんちゅも水を飲んで落ち着いたのか、「泣いちゃった」と恥ずかしそうに笑った。
「死がわかるようになったなんて、大きくなったんやな」
夫が微笑みながら言った。
「前は死ぬ話なんかしても、全然ピンときてなかったのにね」
死を恐れるのも成長の証。
日々色々なことを知って感じて、まっすぐに成長している娘を微笑ましく思った。
まぁ、眠る前の大泣きはもう勘弁、だけど。
・・・
ちなみに余談だが、後日寝かしつけの絵本を選ぶ時、「最後に死ぬからやだ!怖いもん」と言って『マッチ売りの少女』は早々に読み聞かせ対象から外されていた(笑)。
そして、『ヘンゼルとグレーテル』を読むことに。
この絵本、ぽんちゅは好きだけど私は苦手なんだよなー。
魔女に捕まって食べられそうになるシーンがね…。
何に恐怖を感じるかは大人子ども関係なく人それぞれみたいだ。
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