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踏み込む時の足首の痛みに悩む選手たちへ

誰しもが経験したことのある足首の捻挫ねんざ
よく経験するものだからか、このケガに対して甘い認識の人が非常に多い印象です。
こんな偉そうに言っている自分も高校サッカー時代は甘い認識のひとりで、捻挫をしても「アイシングしておけばいいや。」「テーピングしてサッカーすればいいや。」なんて軽く見て痛みが減ったらすぐに練習や試合に復帰していました。

ただ、それは自分が幸運にも捻挫の程度が軽症でたまたまそれだけの対応で済んでいたからでした。
捻挫を甘く見て欲しくない理由のひとつにめんどくさい後遺症があげられます。

捻挫をすることによって傷の大小に関わらず、足首の靭帯損傷じんたいそんしょうを引き起こします。
膝関節にある前十字靭帯ぜんじゅうじじんたいなどと比べ、足首は治りやすいです。
そのため軽症であれば数日、中等度の傷でも2週間程度あれば修復できると言われており、靭帯損傷による痛みは同様に改善していきます。

しかしながら、数週間経過しても痛みが引かず、思ったようなプレーができずに悩まされてしまうケースも少なからず認められます。

サッカー選手のなかでは、
「キック動作時の軸足として踏み込んだ際に足首前あたりが詰まるような違和感や痛みがあり、怪我する前と同じようにボールを蹴ることができなくなってしまった。」

このような悩みを抱えプレーを続けていたり、プレーできずリハビリに通う姿を多く見てきました。

これは、前述しためんどくさい後遺症からくる問題であり、痛みが取れたとしてもこの問題を解決しなければ、痛みが一向に引かなかったり新たな部位のケガにつながる危険性があります。

今回のnoteでは、捻挫(靭帯損傷)によって引き起こされる後遺症やその解決方法についてまとめていきたいと思います。
捻挫後の痛みに悩む選手は、ぜひ最後まで読んでみてください!


セラピスト・トレーナー向けの内容はこちらでまとめていますので、専門的な内容を知りたい方はぜひこちらもご覧ください!

後遺症となる原因はどこに?

冒頭で紹介したような後遺症の原因のひとつとして「足首が構造的に不安定な状態」が挙げられます。
ここでいう構造的に不安定な状態とは「足首を構成する骨同士の噛み合わせがズレてしまっている状態」と定義します。

足首は、古来からある伝統的な建築技法であるほぞ継ぎ加工と同じような仕組みで安定していると考えられています。

捻挫後はさまざまな要因から骨同士の噛み合わせが崩れるため、ほぞ継ぎが機能せず不安定な状態に陥ります。不安定な状態で踏み込むような動きをした際、関節は適切な軌道で動くことができず、骨同士への負荷が強まり痛みにつながると考えられています。

そのため、リハビリにおいてこの機能に対する介入がめちゃくちゃ重要となります。

|足首を安定させる3大機能

前述したように、足首の安定にはほぞ継ぎを適切に機能させる必要があります。そのためには、以下のような機能が必要であると考えられています。

  1. 関節の適合性

  2. 靭帯による制御

  3. 筋肉による制御

釘を使わず的確な寸法でそれぞれの木材をつなぎ合わせるほぞ継ぎ加工同様に、本来の足首も下腿と距骨は寸分の狂いもなく噛み合っている状態です。
また、この構造をさらに強固なものにするために靭帯や筋組織などで補強されていると考えられています。

|捻挫による足首の噛み合わせへの影響…

捻挫をすると多くの場合、前距腓靭帯ぜんきょひじんたいと呼ばれる靭帯を損傷していると言われています。
この前距腓靭帯は、下腿スネかかとを結ぶ距骨きょこつと呼ばれる骨を適切な位置に制御する役割を担っています。

足首の噛み合わせの崩れは、捻挫後の腫れや筋肉の柔軟性低下などが原因として挙げられます。そこに加え、靭帯損傷による骨の位置異常が考えられています。

前述したように、前距腓靭帯は下腿に対して距骨を適切な位置に制御しています。この靭帯の損傷によって距骨は下腿に対して前方へズレてしまうためほぞ継ぎ加工が崩れ足首の不安定性につながると考えられています。

後遺症への対処方法

捻挫に限らずですが、怪我をしたらRICEライス処置法と呼ばれている(いまではPOLICEポリス処置法とも)応急処置が重要であることは周知のことだと思います。

しかし、この処置だけでは後遺症のひとつの原因となる腫れに対する予防はできても噛み合わせのズレによる不安定性および適切な関節運動まで改善しきれない可能性があります。

|痛みや違和感で踏み込めない後遺症にはここをほぐせ!

前述したように後遺症に対してはアイシングなど応急処置だけでは足りず、噛み合わせのズレを解消するためのセルフケアが重要となります。そのためには、筋肉に対するストレッチや筋肉以外の軟部組織なんぶそしきへの介入が必要となります。

捻挫をした当初腫れがひどかった場合、その腫れによって周囲の筋や軟部組織の動きが制限されることが多いです。
とくにアキレス腱周囲軟部組織の動きが制限されると距骨の動きも制限され噛み合わせのずれにつながると考えられています。

|適切な関節運動ができている?セルフチェック方法

ケアをする前に足首の噛み合わせがどうなっているか実際に確認してみましょう。
痛みや違和感がなくても噛み合わせがズレている人も少なくありません。
噛み合わせのズレから膝や股関節など他の部位を痛めることもあるため、自覚症状がなくても日頃から噛み合わせの確認はしておくことをオススメします!
-セルフチェック方法-

最初は何も考えずに動きやすいように動いてみましょう!
その後、適切な位置関係に修正して再度同じように動いてみます。
修正前のほうが動きやすい場合、噛み合わせがズレている可能性があるため後述するケアを実践し、再度動きを確認してみましょう!

|実際の対処方法

Kager's fat padケーラーズファットパットほぐし

Kager's fat padはアキレス腱と距骨の間に存在している脂肪組織です。正常であれば柔軟性に富んだ組織ですが、怪我による炎症によってその柔軟性が失われることが多いです。
踏み込むような動きの際、距骨は下腿に対して後方へ滑るように動きますが、この脂肪組織の硬さによってその動きが制限され動作中の噛み合わせがズレてしまい、痛みにつながることが非常に多いです。

アキレス腱周囲をつまむように把持してほぐしていきましょう。

長母趾屈筋ちょうぼしくっきんストレッチ

長母趾屈筋と呼ばれる親指から足の裏や距骨の後方を通過する筋肉があります。この筋肉もKager's fat pad同様に炎症などによって柔軟性が低下することが多く、それによって距骨の適切な動きが制限され動作中の噛み合わせがズレてしまいます。

長母趾屈筋は足の母趾(親指)を曲げる作用があるため、親指を反らすように動かすことでストレッチを行うことができます。また、前述したように距骨後方を通過するため、親指を反らしながら足首を一緒に動かすことでよりストレッチすることが可能となります。
この際、足の裏やアキレス腱周りに伸張感(伸ばされている感じ)がすればokです!

❸距骨後方誘導

前述したように、踏み込むような動きをした際に距骨は下腿に対して後方へ滑り込むような軌道を描き動きます。
距骨周囲の組織をほぐすことができたら、適切に距骨が動くよう誘導していきましょう。

タオルや硬めのトレーニングチューブを用いて、足首に当てがい膝を前方へ動かすと同時に後方へ押し込むよう引っ張ります。
この際、太ももの中央線が第2趾(2本目の指)と同じ方向に向きながら動かすよう注意しましょう。
太ももの中央線が第2趾よりも内側へ向いて動くと適切に動いていないので注意が必要です。

まとめ

今回は、意外と多い捻挫後の後遺症とその対処方法についてご紹介しました。
捻挫による靭帯損傷の痛みが消失しても、その後遺症によって適切な関節運動が行えず、動作時の痛みや違和感につながっていることは少なくありません。

足首の動きは潜在的に制限されることも多いため、定期的にセルフチェックを行い適宜セルフケアをすることで痛みや違和感に悩まされることなく存分なプレーができるのではないでしょうか!?

このnoteが少しでも参考になればうれしいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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