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軸足機能に着目してキック動作時の股関節痛を予防する

割引あり

これまでにサッカー選手に多い股関節痛に対するリハビリについては多くの記事をリリースさせていただきました。サッカー選手にとって股関節痛は切ってもきれない関係で多くの選手が悩まされる怪我でもあります。
そこから復帰を目指す選手のサポートをするセラピスト・トレーナーの皆さんもまた頭を悩ませることが多いのではないでしょうか?

特に育成年代の選手たちが怪我するきっかけとして、キック力(飛距離)やシュート力(パワー)の向上を目的に繰り返しのキック練習が挙げられます。何事においても繰り返しの技術練習は大事ですが、それが原因で怪我につながることも多いため注意が必要になります。

怪我につながるフォームと軸足機能

安定してボールを蹴るためには軸脚の機能は不可欠である。そのため蹴り脚側に発症したとしても軸脚の機能も検証する必要がある。

(引用「サッカー選手の鼠径部周囲の疼痛発症メカニズムの検証」)

前述したように、蹴り足側の問題は軸足機能の低下が原因であることが多いです。その多くが、動作時の軸足の不安定性による身体重心位置の過度な偏位が原因として考えられています。

矢状面上での身体重心の後方偏位や前額面上での身体重心の内外側偏位は、結果的に股関節屈筋群への過負荷や骨盤への過度なストレス(剪断力せんだんりょく)につながりやすいと考えられています。

トレンデレンブルグ肢位に代表される股関節の外側安定性の欠如は、片脚立位の際に地面からの支持点である股関節と重心線の距離が大きくなるために、坐骨や恥骨に加わる曲げ応力や剪断力が増大する。

引用「骨盤帯の障害(グローインペイン)に対するリハビリテーション」)

後方重心にからの蹴り出しは、股関節屈曲優位でのキックとなりやすく、蹴り足股関節屈筋群への負担が増大する。

(引用「スポーツリハビリテーションの臨床」)

飛距離やパワーアップに必要な軸足機能

キック力やシュート力のパフォーマンスを高めるためには、ボールへ伝える力を強くする必要があります。

これまでの研究で、ボール速度が速いほどより飛距離が伸び、ボール速度を速めるには蹴り足のスイングスピードを速くすることが求められるとされています。

純粋にスイングスピードを速められればいいのですが、その速度を速めると体には大きな遠心力がかかり、動作中に姿勢を崩しかねません。
その大きな遠心力に対抗するために、軸足を地面に対して斜め(外側方向)に接地することが求められます。

軸足の安定化につなげる足関節機能

キック動作時に安定した軸足を形成するには、適度に軸足を外側方向へ傾ける必要があります。

この際、軸足を支えるためには距腿関節における背屈(距骨内旋可動性)および距骨下関節回外方向への可動性や長腓骨筋を中心とした足関節外反筋力の筋出力が求められます。

距骨内旋制限が認められると、踏み込んだ際に代償的に足部外転(距骨外旋)させるためいわゆるknee-in/toe-outの姿勢となり、軸足の外側傾斜を引き出せなくなります。

距骨下関節回外においても(相対的な)距骨内旋可動性が求められるため、距骨の可動性はしっかりと引き出す必要があります。

また、軸足を外側傾斜させることで足底における体重はより外側へかかり(足圧中心外方偏位)、転倒しやすくなります。そこで求められるのが長腓骨筋などの外側支持に関わる筋肉です。

特に、長腓骨筋は立方骨を上方へ持ち上げて外側縦アーチの動的安定性の向上させます。さらに、立方骨下を通過して内側楔状骨および第一中足骨底に付着するため、第一中足骨を底屈させ適度な足部回内を誘導し足圧中心を内側に留めておく機能を有しています。
軸足の外側傾斜に伴う過度な足圧中心の外方偏位を抑制し、軸足の動的安定性向上につながるのではないかと考えられます。

姿勢制御・運動連鎖の観点から足圧中心の位置によって股関節を含む骨盤帯の動的アライメントも決定してくると考えられています。そのため、足圧中心の過度な外方偏位を防げるかがポイントの一つとなります。

荷重位において母趾球へ足圧中心を留めておくことで股関節を外旋方向へ誘導することが可能となるため、下腿外側傾斜を引き出しやすくなる

足関節機能に着目した評価

ここでは、軸足の外側傾斜に必要な足関節機能(距骨内旋・距骨下関節回外など)に着目した評価方法や外側傾斜を伴う動作の分析についてまとめていきたいと思います。

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