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#短編小説
都市伝説のホスト -零-
1
新宿歌舞伎町、眠らない町。街灯と電子看板の明かりに煌々と照らされた路地には、たとえ真夜中を過ぎても多くの人がいる。
しかし少し奥まった路地に入ると突然薄暗くなり、人気がなくなる。メイン通りほどの賑やかさはない。雑居ビルの中にはそれでも無数の細かい店やスナックはあるが、どこかわびしい風情が漂う。
そんなうらぶれた通りに不似合いなスーツの優男が通りかかった。
上品に形よくセットされた髪、
the (River) Styx
起きるのが億劫だった。やることはたくさんあるのに、何も思い出せない。ただぐったりとベッドに横たわって、目を開けることもできない。
今日は何日だろう。何曜日だろう。何時だろう。どうでもいい、もう少し眠りたい。
「起きろ」
男の声がする。僕は目を腕で覆って、その指示を無視した。そうするしかなかった。僕に起き上がる力などないのだから。
「起きろ」
また男の声が指図する。僕は無視を決め込む。それが
Cinderella shoes
はじめて行くファッションビルは好きだ。何もかもが新しくて、店舗のスタッフも初々しくて、やる気に満ちている。
新品のペンキや什器の匂い好きだ。
〈できたて〉という感じがするからだ。
目新しいショップが並んで、見ているだけで飽きない。
「靴が欲しい」
フロア二階にわたって広がる真新しいシューズショップで足をとめた。
布、ゴム、皮、エナメル、プラスティック、色々な素材の匂いがする。シューズシ
ショッキング・ピンク
ショッキング・ピンクの髪を逆立てた隣人は不老処置も施さず今では珍しい老人という姿だ。
つまり皺がより、皮膚は弛み、シミがあちこちにある。
しかし彼女は誰よりもパワーとエネルギーに満ちあふれ、何より音楽を愛していた。
しかもパンクロックだ。
今は誰もきかない、攻撃的で激しい音楽だ。
息子と孫は素朴で「いい人たち」といった風だが、彼女だけは違った。
感情が高まるとドラムを一心不乱に叩き、叩
トンネル ―国境(くにざかい)であること―
私は長い間列車に揺られることになった。
飛行機で向かう方が早い気がするが、目的地は空港からとても離れていて、結局電車とそう変わらない――下手するとそれ以上の――時間がかかる可能性もある。
半分仕事、半分私的な旅行気分で、駅弁など選んで購入し、席についてから穏やかな気持ちで車窓を眺めていた。
景色は全体的に山吹色で、枯れた畑や米を収穫した枯れ草の後が延々と続いていた。
気まぐれのように大き