「トムヤムクンを愛しトムヤムクンに愛されたヒト」
トムヤムジミーさん(以下ジミーさん)と私との出会いはインスタグラムだ。約1年半前。
当時私は、偉人の自己紹介を妄想で考えてアフレコするという"妄想偉人自己紹介"というアカウントを運用していた。(フランシスコザビエルが合コンでラップ調の自己紹介をしたらetc)
バズり要素ゼロ、フォロワーも増えない。
ネタを思いついては、家族に隠れて妄想で考えた自己紹介をコソコソ録音する日々。
34歳にもなって俺は何をやってるんだ!と、自信を喪失していた私の目に、1つのインスタアカウントが飛び込んできた。
なんじゃそりゃ、である。トムヤムクンはなんとなくわかる。タイの料理。辛くて、エビやパクチーが入っている癖のある食べ物だ。
それをデザイン?何をどうデザインするつもりなんだ。そもそもトムヤムクンデザイナーって何を言ってるんだ。その言葉を考えれば考えるほど可笑しくなってきて、思わずDMを送ってしまった。
想像以上に腰が低く、まさかの妄想偉人自己紹介も知ってくれている。一体このヒトは何者なんだ。トムヤムクンデザイナーというパワーワードとは裏腹に礼儀正しいじゃないか。ただただ気になる。
と、思っていたら
引き寄せられるかのように、このDMを送った1週間後に東京八重洲のタイ料理店"スクンビット・ソイ・トンロー"で二人顔を合わせてご飯を食べていた。驚くことに年代や家族構成・職種がほぼ一緒で、物事に対する考え方も近しいものがあり、席について30分もしないうちに意気投合した。
私はその後転職したこともあり、インスタグラムから離脱したのだが、ジミーさんはその後もインスタグラムをこまめに運用し、気付けばフォロワー3000人超。自分で作ったハッシュタグを駆使して、いいねやコメント等のエンゲージメントがとにかく高い"トムヤムクンインスタグラマー"になっていた。
1年半前に東京八重洲のタイ料理店で聞いた話を、インタビュアー見習いとして更に深堀して聞きたくなった。トムヤムクンに関する投稿をする理由は何なのか。そもそもジミーさんはどんな想いを持っているのか。
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インタビューを終えた今、少しでも多くのヒトにジミーさんの話を聞いてほしいと思った。トムヤムクンに生き方のヒントが隠されているなんて思いもしなかったからだ。想像も出来ない世界が広がっていた。
(取材・文・編集/奥行太郎 写真/トムヤムジミーさん提供)
トムヤムクンとの出会い
プロフィールを見て、頭の中が「?」になったヒトが大半ではないだろうか。
"トムヤムパパとトムヤムママ、トムヤム兄と多感な幼少期を過ごす"
一体何を言っているんだろうかとインタビュアーの私も思ったが、ご協力いただいている方に失礼な物言いは出来ない。序盤から早速ふんどしを締め直してジミーさんの自己紹介を聴いた。
「トムヤムクンになれたと思っています」って言われても!というツッコミを入れたくなったが、画面越しのジミーさんは至極真面目な表情。本気で言っているのか、それともエンターテインメントなのか。戸惑いながらも"トムヤムクンになれたという意味が理解しがたい"と正直な気持ちを吐露した。
もし、今自分の横に名探偵コナンを書いている青山剛昌先生がいたら「名探偵コナン~漆黒のトムヤムクン~」という映画を製作してもらって、いち早くこの謎を解いていただきたいと思うだろう。
"トムヤムクンになるとは論"を聞くんじゃなかった。深みにハマるし、このままではジミーさんも自爆してしまう。話を正して根本のところから聞こう。そもそもなぜトムヤムクンと触れることになったのか、初めの出会いを聞いてみた。
トムヤムクンと出会う前から
いきなりすごい角度から来た。神様のことではない。トムヤムクンを"美味しい"や"辛い"といったような単一的な視点で捉えるのではなく、味の概念で捉えるという角度だ。料理研究家のヒトが言うならまだしも、ジミーさんは食に対してそこまで興味がないときた。素晴らしい感性だと思う。
相反するものに対してビビッときたとあるが、そもそも相反するものが好きだったのでは?という疑問が湧いた。
幼少期に経験したいじめによるコンプレックスが、ジミーさんの人生の起点となってしまっていることは、とても悲しいことであり、本来あってはならないことだ。ただそのコンプレックスがジミーさんの生きる上での原動力となっており、トムヤムクンと出会う前から"自分も他人も自由でいいんだ"という想いを"モノ"に落とし込む作業を行っていた。
トムヤムクンの稲妻が落ちる前に、そのような考え方があったということは、トムヤムクンとの出会いはたまたまではなく、必然だったということがわかる。その考え方や思想的な部分は生まれもってのものなのか、それとも大人になってから育まれたものなのだろうか。
トムヤムジミーの活動
1つの意見に偏らない。片方だけが楽しいんじゃなくて、両方楽しい。皆が楽しめる世界を作る。ジミーさんが幼少の頃から感じていた世の中に対する想いがトムヤムクンと出会うことで一気に開花した。実際どのような活動をしているのか。トムヤムクン1本でよくここまで活動できるなという内容になっている。量・質ともにすごい。
トムヤムクンのパーカー?Tシャツ?それに加えて歌?多彩な活動は留まることを知らない。まだまだ活動は多岐にわたる。
有名になると決めて今がある
ジミーさんのインスタグラムの投稿を見ていると、いいねだけではなくコメントが数多く見受けられる。実際にインタビューしてみると、エンターテイメントではなく、トムヤムクンやタイ料理屋さん、それらに関わるヒトに対して真摯に本気で取り組んでいることがわかる。そこにはある想いがあった。
2年半前に決めた"有名になる"という想いが冷めないのは、トムヤムクンと真摯に向き合う中で出会ったヒトの影響もあるだろう。そのヒトたちの言葉に耳を傾け成長することができるのは、"辛くて甘くて酸っぱい"のトムヤムクン精神、いや精神とかじゃないのか。ジミーさん自身がトムヤムクンになれているんだろうと思う。トムヤムジミーとしての今後の展望を聞いた。
モヤモヤしているヒトへのメッセージ
ジミーさんの座右の銘は"ポジティブ"
確かにポジティブさを感じるインタビューだったが、それでも活動を継続することがしんどくなることもあるそう。そんな時はどう乗り越えているのか。最後に"今の自分にモヤモヤしているヒト"に向けてメッセージをいただいた。
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編集後記
1年半前に会った時からジミーさんの活動を応援しているが、インタビューを通して更に応援したくなった。
トムヤムクンをSNSでの発信の道具として利用しているのではなく、幼少期の辛い体験から形成された人生観を1人でも多くのヒトに伝播するために使っているからだ。
トムヤムクンというニッチな食べ物として分類されるテーマで活動する以上、一歩間違えれば"受けを狙っている"と思われてもおかしくはない。
そう思われることなく、ジミーさんのことを応援するヒトがたくさん集まってくるのは、活動や発信内容にそうした"違和感"を感じないからだろう。活動を通じて伝えたい根底の部分がしっかりしており、かつユーモアを交えることで皆が楽しめるようになっている。自分が伝えたい想いを、ここまで体現しているヒトと出会ったのは初めてかもしれない。単純に勇気をもらえた。
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ところで2児の父であるジミーさん。ご家族はこの活動をどう思われているのだろうか
ご家族もトムヤムクンの精神を持っておられるとは。恐るべしトムヤムジミーファミリー。ご家族のサポートという最後のピースが埋まれば、トムヤムジミーは必ず有名になる。そう信じて、これからも応援し続ける。
この度はインタビューにご協力いただき誠にありがとうございました。
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おっと、最後はこの言葉で締めてくださいと指示を受けております。皆様ご唱和ください。