「マダム・イン・ニューヨーク」

視聴環境:DVD

【内容】
インドに住む主婦の主人公は、姉の娘の結婚式のために親戚の住むニューヨークにやって来る。英語の苦手な主人公は、そこで4週間の英語教室を申し込みことになる。

【感想】
凄く小さく個人的な物語なのに、深くて本質的
自己受容の物語だと感じました。
6〜7年前、1度観た作品を久しぶりに観直してみたのですが、改めて今観ると、より現代的な映画だと感じました。

主婦として家庭を守りながら、しかし家族からは軽んじられる存在である主人公は、そのことを克服するために頑張る。そして、そのことで自身本来の人間性や自尊心の回復や、家族からの尊敬を勝ち取る…
metoo運動後の昨今の映画の先取りとしての面と、今ならこう言った感じの脚本にはならないだろうなあとも感じたりもしました。
特に世間を知らない主婦が家族から軽くバカにされるシーンを何気ないこととして描いていて、今この作品が作られていたら、下手すると炎上、少なくとも議論にはなるのではと感じたりしました。
ちょうど10年前に作られた映画ながら、時代の流れで見え方の変わっていることを感じたりもしたという面でも、気付きのあった作品でした。

以前観た時にはちゃんと調べをなかったのですが、ネットで調べたらこの作品はインドですごく人気のあった伝説的な女優の結婚、出産からの復帰作というタイミングの作品だったとのことでした。
絵から抜け出して来たような綺麗で魅力的な主演の女優さんの魅力的で自然な演技…やはり、只者ではなかったのだと改めて感じました。

キャスティングとしては、主人公の娘役の女の子が良い感じがとても良かったです。わりとぷっくりした体型と、難しい時期の思春期特有の不機嫌さなどが伝わってきました。
同じく、主人公の子供役の4歳くらいの男の子も、甘えん坊で自然な演技がたまらない…
以前、鑑賞した時には、現実の家族を見ているような気持ちで観ていたのですが、今回は演出や演技の巧みさなのだということに気付かされたりもしました。

最後の英語のスピーチシーンの結婚式での感動的でした。
スピーチが映画1番の山場になるという下手するとどうしょうもない映画になりそうな展開なのに、それを脚本の構成と役者の演技で見事にエモーショナルなシーンとなっていました。

あとこの魅力的な女優さん、気になって調べてみたら、数年前に親戚の結婚式のために泊まったホテルの浴室で、事故死(?)してしまったということを知りました。
インドでの葬儀には数千人が集まったんだとか…
親戚の結婚式の映画で世界的に有名になった女優さんの亡くなった場所が、親戚の結婚式のために泊まったホテルであったということに、なんとも言えない気持ちになりました。

http://madame.ayapro.ne.jp

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