小さな事故が事件に変わるまで(2)一般市民の民事訴訟初体験記【3】自転車は空を飛ばない
私たち夫婦がしてしまった大きなミスとは何か。
冷静に考えれば事故は事故である。このあと、保険を使うとしたら必要になるもの。そう「事故証明」。これを忘れていた。警察を呼んで、保険会社にも連絡をしておくべきであった。当方過失ゼロ。賠償はすべて相手方がしてくれるという感覚を持ってしまって、この時には、私も妻も娘も誰もその必要性にまで頭が回らなかったのである。
写真は後の訴訟において、原告の私が提出した準備書面の一部である。あまり知られていないが、裁判の公開の原則は憲法に記されており(82条)、その徹底のために、誰でも民事訴訟事件の記録を閲覧できることになっている(民事訴訟法91条1項)。相手を誹謗中傷する意図はないので、画像に加工を一部施している。
写真左側の車が私のもの。右側が相手方のものである。事故発生時は、相手方の車はもっと左の方(私の車)に寄っていた。相手方は、右のドアを開けっぱなしにしていたのだろう。そこに風が吹いて来て、うちの車の左前方ドアに、相手方の右前方ドアが当たったのであった。
この両家の土地はどちらもかなり変形している。隣接の仕方が独特なのだ。この形状が災いして、のちにいろいろなことを巻き起こしてくれるが、それはあとで語ろう。
話を戻そう。事故の賠償の話。
とはいえ、のちほどY氏がこちらのお願いする金額を素直に支払ってくれていたら、こういうプロセスの必要性を痛感することはなかった。しかしながら、事実はそのようにはまったく進まなかったのである。このアクションをとっておけば、そして、Y氏にもとってもらっていれば、私らは、あとは保険会社のみと話をする展開にできたのだが、それこそあとの祭りであった。
2017年10月9日(月)妻がディラーより見積書を受領。
【見積書の内容】
・修理費用 104,220円
・代車費用 86,400円 合計190,620円
またまた言いたくなる。これをY氏が素直に支払ってくれていたら何らトラブルになることはなかった。ところが、この見積もりの話。ここからちょっとややこしくなる。
私たち夫婦、特に妻は、これでは、お隣に、ご負担をかけ過ぎると思って、修理に出している間の代車費用は、妻の実家の車を一時借用してしのぐということにして、この費用をお願い内容からカットした。そして、もう一つの配慮を施した。
(傷2つの写真)
実はうちの車には、以前より小さな傷が付いていたのである。写真の大きな丸(黄丸・今回事故による傷)の左の小さな丸の部分(青丸)。よぉーく目を凝らして見ないと分からない程なのだが、妻はこの際、これも一緒に直しておきたいと希望していた。
妻は、両方直すということで、これも含めた見積書も別途、取っていた。ここは我が妻のファインプレーなのだが、彼女は、後の交渉で揉めない様にと、今回の事故の傷と、従前の傷のものと、きっちり分けて、作成してもらっていた。
【この見積書の内容】
・Y氏賠償分として 104,220円 代車費用 86,400円
・当方負担分として 32,940円
この時点で、私たち夫婦は代車については、他で何とかしようと考えていたので、Y氏へのお願い金額は、この代車費用をカットした104,220円である。これをY氏が素直に支払ってくれていたら、何らトラブルになることはなかった。事実は、そうは、なっていないから、私が後年、こういうものを書く(書ける)ことにもなっている(苦笑)。
つづく
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