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自転車は空を飛ばない 一般市民の民事裁判初体験記

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小さな事故が事件になって、そして訴訟になるまでとなってから。
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#ご近所

出るとこ出ますよ(11)判決そして3年を経て確認できたこと 一般市民の民事裁判初体験記【32(最終回)】自転車は空を飛ばない

ここまでのお話 原告の私と被告のY氏が直接、法廷で対峙する最終決戦。当事者尋問が終わりました。あとは判決を待つばかり。本件、いよいよ一区切りの時を迎えます。 前回のつづき・・・ 2018(平成30)年8月6日 小さな事故は、「◇◇簡易裁判所平成30年(ハ)第43号損害賠償請求事件」といういかつい名前の事件に名称を変えて、この日に判決の時を迎えた。 判決といっても、法廷で裁判官から「主文・・・」という話を聞くようなことはない。民事訴訟の場合は、誰もいない法廷で裁判官が連

出るとこ出ますよ(10) 第4回期日 法廷決戦・当事者尋問(3)暴かれる被告の本性 一般市民の民事裁判初体験記【31】自転車は空を飛ばない

ここまでのお話 原告の私と被告のY氏が直接、法廷で対峙する最終決戦。まずは先攻の私が代理人弁護士による尋問を終え、被告のY氏のそれも終えました。尋問は相手の代理人弁護士から受けるスタイルに変わります。 今回記すのは、原告代理人から被告への尋問です。この中で、Y氏の本性が明らかになります。 前回のつづき・・・ 当事者尋問での勝負所は、自らの主張を裁判官に分かってもらえるようにすることである。トークだけでダメで、明確な証拠を揃える必要がある。自分が自分のものをするだけでなく

出るとこ出ますよ(9) 第4回期日 法廷決戦・当事者尋問(2) 一般市民の民事裁判初体験記【30】自転車は空を飛ばない

ここまでのお話 原告の私と被告のY氏が直接、法廷で対峙する最終決戦。まずは先攻の私が代理人弁護士による尋問を終え、被告のY氏のそれも終えました。尋問は相手の代理人弁護士から受けるスタイルに変わります。 前回のつづき・・・ 2018(平成30)年7月23日 第4回期日 当事者尋問  実際の流れでいくと、次が原告代理人弁護士から被告のY氏への尋問で、その次が被告代理人弁護士から原告の私への尋問なのであるが、ここでの記述は私への尋問の場面を先にさせてもらう。  さて、どう

出るとこ出ますよ(8) 第4回期日 法廷決戦・当事者尋問(1) 一般市民の民事裁判初体験記【29】自転車は空を飛ばない

ここまでのお話 原告の私と被告のY氏ははじめて直接、法廷で対峙することとなりました。いよいよ雌雄を決する最終決戦のはじまりです。 前回のつづき・・・ 2018(平成30)年7月23日 第4回期日 当事者尋問 法廷はテレビドラマで出て来る法廷シーンのあの風景通りであった。 中央に裁判官が座り、その前に書記官が座っている。裁判官から見て、右側が原告席。左側が被告席。原告と被告は向き合う形になっている。 傍聴席には三人が座っていた。妻と娘と義母である。そう、K弁護 士と対

出るとこ出ますよ(7) 和解交渉決裂後の第3回期日 一般市民の民事 裁判初体験記【28】自転車は空を飛ばない

ここまでのお話 事態は裁判官の要請により行われた原告・被告弁護士同士による和解交渉は決裂となりました。そこで迎えた第3回期日の日がやって来ました。 前回のつづき・・・ 2018(平成30)年5月28日 第3回期日 この日は原告・被告双方弁護士出頭。原告よりは、協議の結果、和解による結論は難しいとの結論に至ったことを陳述。被告からは判決を求めるとの考えが陳述された。 裁判官はこれにて結審とするかと思いきや、原告・被告双方当事者尋問を行うとなった。  なんと私は、隣人と

開戦の決断(3) 一般市民の民事裁判初体験記【14】自転車は空を飛ばない

 法的紛争に立ち向かう。私たち夫婦は強力な助っ人に加わってもらうことを決めました。代理人(弁護士)には代理人(弁護士)です。この時点で、もうご近所トラブルとは言えないレベルになって来ました。 前回のつづき・・・ 2017年11月14日(火) 妻と娘に義母に加わってもらい、とある法津事務所に相談に行ってもらっていた。K弁護士の話を詳しく伝えてもらうためだ。幸いだったことに、以前に、私が知己を得ていた弁護士さんがいたのである。相談したいとの一報を入れると、すぐに会ってくれるこ

開戦の決断(2)  一般市民の民事裁判初体験記 【13】自転車は空を飛ばない

 期せずして、隣人ではなく、隣人の代理人である弁護士との対峙をしなければならなくなりました。こうなれば、もうご近所トラブルが、法的紛争と形を変えて来ます。私たちはこれに対応していかないといけなくなりました。気持ち的には、「対応」というより「応戦」でした。 厄介ごとが数万倍ややこしくなっていきます。 前回のつづき・・・  この時、私たち夫婦には2つの選択肢があった。 (1) 全部を当方で負担して収める (2) 敢然と損害賠償を求める  妻が既に発しているメールの内容に沿

開戦の決断(1) 一般市民の民事裁判初体験記【12】自転車は空を飛ばない

 相手方のY氏から費用の負担の連絡があっただろうと、本件はもう一件落着と思っていた私。 意気揚々とその週の出張を終えて帰って来ました。ところが、待っていたのは、想像の欠片すらもない意外なことでした。 前回のつづき・・・ 2017年11月11日(土)21時30分頃 席に着いた私たちに、料理が運ばれて来た。空腹MAXだった私は、早速、パクパクと食べていた。  妻「あのぅ、車の修理のことなんだけど」  私「あぁ、保険でやるって?」  妻「いや、それが・・・」  私「どうしたの

突然、弁護士がやって来た(3)一般市民の民事訴訟初体験記【11】自転車は飛ばない

この連載も10回を超えました。お互い様の精神で、話し合いができれば、何とか解決できるご近所の問題が事件になっていく様を御覧いただいています。裁判というのは、すぐにそうなるものではないのです。  このケースは単なる事故が完全に事件となって来ました。Y氏の安易な弁護士の送り込みがこの後、どのような展開を引き起こしたかを記していきます。送り込まれた弁護士の言動にも注目です。 前回よりのつづき・・・ 突然の弁護士の来訪を受けたその翌日。 2017年11月10日(金)19時頃

突然、弁護士がやって来た(2) 一般市民の民事裁判初体験記【10】自転車は空を飛ばない

 うっかりでやってしまった事故。誠意をもって賠償すればなんてことはなかったことでした。手前味噌ですが、相手方(つまり私ども)は、事を荒立てることはしないで、今後のご近所付き合いを大切にと思っていたタイプ。  どこをどう考えてこうしたのか分かりませんが、Y氏が採ったのは代理人を担う弁護士に依頼して、相手方に差し向けたこと。この弁護士が、稀代の火付けの名人だった(本人はそうは思っていないが)とは、この時のY氏は露ほどにも思っていなかったでしょう。  前回よりのつづきです・・・

小さな事故が事件に変わるまで(7)一般市民の民事裁判初体験記【8】自転車は空を飛ばない

 さて、さて、出張から帰って来た私は、妻からY氏に修理代の説明をしたこと。聞く態度は悪かったが、保険で払うとY氏は言っていることを聞いた。そうこうしているうち、妻がY氏と話をした日から、あっという間に、一週間が過ぎ去っていた。  妻は保険会社からいつ連絡があるのかとやきもきしながら待っていたが、何も音沙汰はなかった。 2017年11月4日(土)午後 外出するべく玄関を出た私は、Y氏が庭に出ているのを見つけた。 私は歩み寄りY氏にこう言った。  「車のことでお世話をおかけ

小さな事故が事件になるまで(6)一般市民の民事裁判初体験記【7】自転車は空を飛ばない

2017年10月26日(木)21時30分頃  修理費用の負担額の説明を妻より聞いたY氏はどうだったか? 「ごめんね。ホントにそれでいいの?ごめんなさいね。修理に出している間、車がなくてご不便でしょう。本当に、ご迷惑おかけして、すいません。すぐにお支払いさせてもらいますので」  こう言ってくれていたら、一件落着であったであろう。妻もそうなるはずだろうで説明に行っていた。念のため、事故発生時に一報を受けた娘も同行していたが、彼女もこのような展開を予想していたはずだ。  

小さな事故が事件に変わるまで(5) 一般市民の民事裁判初体験記【6】自転車は空を飛ばない

2017年10月26日(木)21時頃  妻と娘がY氏のもとに修理代の見積書を持参して説明に出向いた。21時頃にしたのは訳があった。この頃のY氏は夕方、車で出掛けていることが多かったので、妻は21時頃なら落ち着いて話ができるだろうとタイミングを計って、そうしたのであった。 今にして思うと、なんでこんなに被害者が加害者に気を遣わないといけなかったのだろうかとも思う。話を元に戻す。   妻は、まず、話の冒頭に、例の自転車接触の件は当たった事実はないと当家の認識を伝えた。ただし、

小さな事故が事件に変わるまで(4) 一般市民の民事裁判初体験記【5】自転車は空を飛ばない

2017年年10月25日(水)18時頃 帰宅した妻が庭で、Y氏より話しかけられる。 「修理の方、どうしましょうか」とでも言ってくるのかと思いきや、まったく想定外のことをこの御仁は語って来たのであった。 Y氏「あんなぁ、また台風くるやん。この前(お宅の)自転車飛んできて、(うちの車の)バンパーやったから良かったけど、気ぃつけてな」 言われた妻は驚いたが、「(うちの自転車が)当たったの?」と、すぐに問いかけた。それに対して、  Y氏「すごい音して、(外を)覗いたら、自転車倒