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小さな事故が事件に変わるまで(5) 一般市民の民事裁判初体験記【6】自転車は空を飛ばない

2017年10月26日(木)21時頃
 妻と娘がY氏のもとに修理代の見積書を持参して説明に出向いた。21時頃にしたのは訳があった。この頃のY氏は夕方、車で出掛けていることが多かったので、妻は21時頃なら落ち着いて話ができるだろうとタイミングを計って、そうしたのであった。

今にして思うと、なんでこんなに被害者が加害者に気を遣わないといけなかったのだろうかとも思う。話を元に戻す。 

 妻は、まず、話の冒頭に、例の自転車接触の件は当たった事実はないと当家の認識を伝えた。ただし、転倒によりご心配をかけたと、妻と娘は陳謝の言葉は添えた。そして、今後のこととして、自転車については、ホームセンターで、チェーン&ブロック等を購入して、新たに転倒防止策を講じたこと。強風時には、当方の自転車はすぐに安全なところへ移動させることを説明した。

このあとに、話の主題。妻は車両の破損の状況、負担金の説明をした。
妻は分かりにくいだろうと図を使って、説明をしたのであった。

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             (写真 2つの傷)
これを説明するために、妻が使った図

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 妻は、Y氏の付けた傷だけではなく、以前、誰かにつけられた同じ左前方ドアの小さな傷も直すことを伝えた。具体的な、修理の内容としては、左前方ドア1枚の板金修理と塗装となる。左前方ドア用のシール部品も交換になることを説明した。

 金額は、代車費用は請求しないとして、Y氏による傷の修理代として、104,220円をお願いすればいいものを、妻は考えに考えて、10万円を切るように減額を施した。シール部品は、従前の小さな傷のみを直す場合には交換不要だったのに、わざわざこれを折半として当家も負担するとした。さらに、2つの傷部分の塗装には、重複する部分があるとして、この部分も当家負担を入れて、Y氏へお願いする金額を減額したのであった。
 塗装については、重複分はあるにはあるが、わずかなもので、数字にできる程のものではないというのが事実だったのだが、これも敢えて妻は、減額をしていた。要は、妻がY氏の負担が10万円を切るようにするべく、金額がそうなるように無理に減額の理屈をつくっていたのであった。

 この金額については、この時点で、私は詳細を知らない。言葉は悪いが、私の中では、本件は問題ではなかった。私にすれば、払ってもらうのは当たり前で、なんら揉めることはないと思っていた。
 妻から私には、「10万円はキツイと思うから、ちょっと減らすことを考えるわね」ぐらいの話があったぐらいで、私にすれば、その時は「そんなに気を遣わないといけないのか」とふと思いはしたが、口に出すことはせずに、妻に一切、お任せ状態であった。

 私は、この話はすっかり決着したと思い込んでいた。揉める訳がないと思っていたのである。ところがどっこい、「事実は小説より奇なり」。そのことを彷彿とさせるようなことが、このあと我が身に降りかかることになろうとは夢にも思わなかった。

 つづく

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