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自転車は空を飛ばない 一般市民の民事裁判初体験記

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小さな事故が事件になって、そして訴訟になるまでとなってから。
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#事故

弁護士を立てて反撃する(1)一般市民の民事裁判初体験記【16】自転車は空を飛ばない

ここまでのお話 自分の宅地に停めていた車に、隣家の車の空けていたドアがぶつかっつて、傷が付いた。当方は事を荒立てる意思はなく、賠償してくれればそれで丸く収めるつもりだったのです。保険か実費で支払うかの返事を待っていた当方に寄せられた相手方の答えは、なんと弁護士の送り込み。難癖付けて、自分は悪くないと言い始めました。 理不尽にもほどがある。いい加減にしろ。私たち夫婦は戦うことを決めました。 前回のつづき・・・ 2017年11月22日 当方代理人S弁護士より相手方代理人K弁

開戦の決断(4) 一般市民の民事裁判初体験記【15】自転車は空を飛ばない

 さて、弁護士を頼むとなると費用の問題が避けて通れません。一般市民にとってはおいそれと出せる金額ではありません。しかも交渉がうまくいったとしても、高額の賠償金が取れるものでもなし。さすがに悩む私たち夫婦でした。 前回のつづき・・・  私「10万の修理代のために、50万はデカいよな・・・」  妻「やめる?」  しばしの沈黙が流れた。  私「でも、このままでというわけにはいかんだろ。お願いしよう」  私は弁護士に依頼することを決めた。実は、私は相手方の弁護士が来たという時

開戦の決断(3) 一般市民の民事裁判初体験記【14】自転車は空を飛ばない

 法的紛争に立ち向かう。私たち夫婦は強力な助っ人に加わってもらうことを決めました。代理人(弁護士)には代理人(弁護士)です。この時点で、もうご近所トラブルとは言えないレベルになって来ました。 前回のつづき・・・ 2017年11月14日(火) 妻と娘に義母に加わってもらい、とある法津事務所に相談に行ってもらっていた。K弁護士の話を詳しく伝えてもらうためだ。幸いだったことに、以前に、私が知己を得ていた弁護士さんがいたのである。相談したいとの一報を入れると、すぐに会ってくれるこ

突然、弁護士がやって来た(1) 一般市民の民事裁判初体験記【9】自転車は飛ばない

2017年11月9日(木)11時頃 妻の携帯に1本の電話が入る。妻は知らない番号であった。 相手は、Y氏代理人と名乗るKという弁護士であった。中高年いや、もっと年配の男性。驚くべきことに、K弁護士は、妻に事務所に来いとの要望を突きつけて来た。しかも妻だけではなく、夫の私も一緒にと。  妻はもちろん拒絶である。夫の同席についても「ホットラインがあるでしょ」と至急連絡を取ることを求めたらしい。妻にすれば、電話がいきなりあっただけでも驚愕だったのだが、相手が訪問したいということで

小さな事故が事件に変わるまで(7)一般市民の民事裁判初体験記【8】自転車は空を飛ばない

 さて、さて、出張から帰って来た私は、妻からY氏に修理代の説明をしたこと。聞く態度は悪かったが、保険で払うとY氏は言っていることを聞いた。そうこうしているうち、妻がY氏と話をした日から、あっという間に、一週間が過ぎ去っていた。  妻は保険会社からいつ連絡があるのかとやきもきしながら待っていたが、何も音沙汰はなかった。 2017年11月4日(土)午後 外出するべく玄関を出た私は、Y氏が庭に出ているのを見つけた。 私は歩み寄りY氏にこう言った。  「車のことでお世話をおかけ

小さな事故が事件になるまで(6)一般市民の民事裁判初体験記【7】自転車は空を飛ばない

2017年10月26日(木)21時30分頃  修理費用の負担額の説明を妻より聞いたY氏はどうだったか? 「ごめんね。ホントにそれでいいの?ごめんなさいね。修理に出している間、車がなくてご不便でしょう。本当に、ご迷惑おかけして、すいません。すぐにお支払いさせてもらいますので」  こう言ってくれていたら、一件落着であったであろう。妻もそうなるはずだろうで説明に行っていた。念のため、事故発生時に一報を受けた娘も同行していたが、彼女もこのような展開を予想していたはずだ。  

小さな事故が事件に変わるまで(5) 一般市民の民事裁判初体験記【6】自転車は空を飛ばない

2017年10月26日(木)21時頃  妻と娘がY氏のもとに修理代の見積書を持参して説明に出向いた。21時頃にしたのは訳があった。この頃のY氏は夕方、車で出掛けていることが多かったので、妻は21時頃なら落ち着いて話ができるだろうとタイミングを計って、そうしたのであった。 今にして思うと、なんでこんなに被害者が加害者に気を遣わないといけなかったのだろうかとも思う。話を元に戻す。   妻は、まず、話の冒頭に、例の自転車接触の件は当たった事実はないと当家の認識を伝えた。ただし、

小さな事故が事件に変わるまで(4) 一般市民の民事裁判初体験記【5】自転車は空を飛ばない

2017年年10月25日(水)18時頃 帰宅した妻が庭で、Y氏より話しかけられる。 「修理の方、どうしましょうか」とでも言ってくるのかと思いきや、まったく想定外のことをこの御仁は語って来たのであった。 Y氏「あんなぁ、また台風くるやん。この前(お宅の)自転車飛んできて、(うちの車の)バンパーやったから良かったけど、気ぃつけてな」 言われた妻は驚いたが、「(うちの自転車が)当たったの?」と、すぐに問いかけた。それに対して、  Y氏「すごい音して、(外を)覗いたら、自転車倒

小さな事故が事件に変わるまで(3)一般市民の民事訴訟初体験記【4】自転車は空を飛ばない

 見積書も入手して、あとはお隣のY氏に説明してお願いをすればいいところまで来ていたのではあるが、ここに来て、妻は悩みに悩んでいた。主婦感覚で、10万円を超える負担はたいへんだろうとY氏のことを配慮していたのである。  ちなみにこの当時の私は仕事の繁忙期で、出張、出張の毎日。この件の対応は全部、妻に任せていた。  妻「やっぱり、10万超えるとたいへんやと思うねん」  私「そんなん全部もらったらええんちゃうの。こっちは代車も頼まないのになぁ」 当時、このような会話をしていた

小さな事故が事件に変わるまで(1)一般市民の民事裁判初体験記【2】自転車は空を飛ばない

2017年10月4日(水) 隣のY氏より、在宅していたうちの娘に一報があった。ピンポン鳴ってドアを開けた娘に向かってY氏はこう言った。 「(自分の車の)ドアを風にあおられて、(お宅の車の)ドアに当ててしもうた。ごめんな。修理代は払うから言うてな」 娘はそのあと、仕事に出かけないといけなかったので、妻の耳に入ったのはその日の昼頃。私が知ったのはその日の夜であった。妻も私もその夜に車両の状態については、確認することはなかった。翌朝、車を見てみると、確かにハッキリ分かる傷があっ

幕を開ける前に 一般市民の民事裁判初体験記【1】自転車は空を飛ばない

 人間の怒りというのはどれ位経てば収まるものなのだろうか。もちろん、「怒り」といっても様々なレベルがある。ここで、取り上げているのは日常生活の中で感じる大きなものといったものだ。大災害に遭っただとか、凶悪犯罪に遭ってというような程のものではない。  私がこれから書こうとしているのは、ちょっとした事故に遭ったという話である。具体的に話すと、自宅の駐車場に止めていた車をぶつけられて、ドアに傷が付いた。ぶつけたのは、隣人である。誰が見ても明らかな、過失割合は、当方ゼロ。相手方10