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17世紀ロンドンのペスト禍の感染対策〜ダニエル・デフォー『ペスト』より〜

コロナ禍の今、本当に大変な世の中になりましたね。しかも突然に。私はというと、年初に考えていたGWの予定もあえなく潰れ、ダラダラと無為に過ごしていた所、ダニエル・デフォーの『ペスト』と出会いました。

カミュの『ペスト』が売れていると評判だったのですが、こちらは20世紀の小説。一方、ダニエル・デフォーは17-18世紀のロンドンに生きた人物で、実際にペスト体験した人の話を聞いてまとめたのがこちらの本。ちょうどニュートンのマンガを書くに当たり、ニュートンがペストで休校になったため実家に帰り、リンゴの木の下で万有引力を発見していた頃(創造的休暇と言うらしいです)、ロンドンでは何が起きていたのか?を知るのにも良さそうだなーと興味が湧いて読んでみました。

17世紀のイギリスでは、ロックダウンならぬ家屋封鎖画像1

ペストの人に近づくとペストをもらうぞ→家ごと閉じ込めよう、という大変シンプルかつ強引な発想(ロックダウンと考え方はそんなに変わらなくて意外と現代的かも…?)家族以外でも、住み込み家政婦などが感染しても、家の人全員閉じ込められました。
当然ながらこの時代、テレビもネットもなかった…。本も普通の家庭にはそんなに無かったでしょう。つら。

家屋封鎖を支えた人々

小作品

家屋封鎖は一日にして成らず。ということで、発見→調査→監視→治療/看護の連携チームが結成されました。医者以外は、一般市民が指名されたり失業した人が食べていくためになったらしいです。ちなみに、検察官に指名された場合、断ると投獄されます。なるしか無いじゃん!!
(ひどい時には死者が1日に1000人を超えたそうなので、そんな中、各感染家屋に必ずこのチームが派遣されたというのはすごい。)

医者や付添看護師の費用は患者負担だったそうですが、やむを得ない場合は、市が支払ったそうです。この辺はしっかりしてますね。さらに(田舎に逃げた)裕福層が、ロンドンのためにめちゃめちゃ寄付したらしい。素晴らしい…。

で、結局どうだったのか?

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ああ、やっぱり…という感想。コロナで緊急事態宣言が出されただけでも、出かけられずに発狂しそうになったので、閉じ込められた人たちの反応も、まあ、そうだよね、と妙に納得しました。そしてダニエル・デフォーの言うことがいちいち真っ当でした。

コロナ禍の現在、この教訓が果たして今の時代、どれだけ生かされているのか…。昔の本を読んで色々考える良いきっかけになりました。また、デマに踊らされて変な薬を買い求めたり、家族がペストで死んだとご近所に知られたくなくて別の病気だと虚偽報告をしたり、発症前に田舎に逃げて、結果田舎にペストをばらまいたりという話がたくさん出てきて、人の行動・反応はそんなに変わらないなと思いました。

ここでの紹介はほんの一部で、寝てたら間違ってペスト共同墓地に放り込まれそうになった人の話や、ペストを逃れるため田舎でサバイバルはじめた人など、面白エピソードが満載なので、ご興味がある方は一読されてはいかがでしょうか。読んで損はしないかと思いますよー!

今回、いつもの偉人エピソードとは違う記事ですが、たまにはこういうのも。

余談ですが、ダニエル・デフォーは、ロビンソン・クルーソーの作者だそうです。

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