バーバリアンの暴君の名前を息子につけた先生

#名前の由来  、というタグを見たとき、留学一年目に出会った強烈なある教師のことを思い出させざるを得なかった。

正直、その教師は私が今まで出会った中でも「キ○ガイ教師」の三本指に余裕で入る。その先生は普段からヤクでもやっているんじゃ無いかというようにテンションの上がり下がりが激しく、アメリカの先生には珍しく宿題のやり方が少しでも違うものなら大声で怒鳴りつけたり、廊下に立たせたり、罰を与えたりというトンデモ教師だった。怒り方も尋常じゃ無い。彼がかけと言ったにも拘らず反省文は書いて持っていっても床に投げつけられたという生徒がほとんどだった。ある生徒の兄姉がその学校に以前通っていて、その先生に気に入られていないものならばその弟や妹はその先生に嫌というほどいびられる。よく学校で誰もモラハラだと訴える生徒がいなかったものだと未だに不思議でしかない。

毎週2、3回かあったその先生の授業のたびに私は憂鬱だった。毎回彼が話す面白くもなんとも無いギャグに生徒皆して笑わなければならないという暗黙のルールがあった。もちろん、彼が黒板側を向いた瞬間に皆顔が死んでいるのだが。私はそれがばかばかしいと思っていた。どう考えても正しいことをしているとは思えない人に対してどうしてここまでペコペコするのだろうと思っていた。だから、私はいつも笑うことなく教科書を真剣に眺めているようにしていた。

そんな教師が、ある日今までに無いくらい機嫌が良くて、”Hi sweeties.” なんて言って教室に入ってきたことがあった。とてつもなく気持ちの悪い感じがしたけれど、いつも通りに授業開始のベルはなる。そして、彼は教科書に出てきたあるバーバリアンの暴君の名前を指差し、鼻息を荒くし “ Look at this!! Look at this page!! LOOK AT THIS NAME.” と言った。何度も何度も強調する彼の言い方に正直嫌気が指したが、大して業績も残していないその暴君をどうしてそんなに注目させるのかと思った。

すると彼は「これ、俺の息子の名前なんだ」と誇らしげに言った。「情けもなく血まみれで生きるバーバリアンってなんだかそそるだろう?こいつはな、その中でも一番残忍で、たっくさん人を殺したんだ。いいよな、ナイスなネーミングだろう?」そこまでいってから、クラスの皆んなはそれがジョークだと思っていたのでいつも通り嘘の大爆笑をした。すると彼は“ I’m not joking!! I’m serious! Why you guys laughing at my son’s name!!!” といきなり怒鳴りつけた。彼はモンスターペアレンツでも有名であったし、自分が一番だと思う性格なのでその名前を笑われたことがよっぽど頭にきたのだろう。そう、その名前付けの話は本当だったのだ。

しかし、実際滑稽である。なして親が子供に殺戮者の名前をつけるのだろうか。子供に犯罪者にでもなってもらいたかったのだろうか。とにかくまともでは無いと思った。親のおかしいセンスにより殺戮者の名前をつけられるなど親のエゴでしかなくて、子供のことなど一切考えられていないことなど一目瞭然だ。正直その子供がかわいそうになった。

この世に神様はいないのかもしれないと思ってしまうのだが、実はその彼の息子は数年前から難病にかかり、いまだに入院しているそうだ。そのキ○ガイ教師のせいで、ストレスが溜まり病気になったなどでは無いといいのだが。

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