14歳で経験した。社会の仕組みってヤツ(前編)
やあやあ!筋六です!
今回は、長編です!(読むのに覚悟要します)
書いてる本人が疲れたら・・・。
うーん、次回!
というスタンスなので、いつアップできるのか?
これは、筋六が14歳で経験したできごと。14歳のころに体験した話なんで、大したことはないかと思いますが、まぁちょっと読んでみて下さい。ウソ偽りなくすべて実話です。
約30年以上も前の、おはなしですけどね。
わたくしが13歳くらいになったころ、父が新しく事業を興しました。知人の夫婦とウチの両親で始めた小さな会社です。
くわしい事業の内容は、ここでは伏せておきますね。ずいぶん前の話とは言え、各関係者がまだ実在しますので。
わたくしは中学生ではありましたが、家業である父の会社の手伝いをしなければならず、商品の製造や梱包などの作業を、遊び半分、手伝い半分でやって過ごしておりました。
そんなある日のこと。
今日から春休みかぁ~と、のんびりと昼間のTVを見ながら過ごしていたところに、とつぜん母が車で帰ってきました。
おや?珍しい。こんな時間に。いつも帰りが遅い母が、こんな時間に帰ってくることは滅多にない。玄関先で出迎えたわたくしに、母は何か思い詰めたような感じでこう言いました。
筋六。車に乗りなさい。
・・・。
メ、メーテル?
999(スリーナイン)に乗れってどう言うことなのさ?
いやいやいや。んな訳ない。
しかし、なんかあったのかなぁ?
母に何を聞いても、一向に答える様子はありません。
不安はありましたが、母に言われたとおり、車の後部座席に乗り込みました。
車は、どんどんと見知らぬ方面へと走っていきます。
小春日和の、やわらかな日差しが差し込む後部座席は、程よく温かく心地いい。しだいにわたくしの眠気を誘います・・・。
バタン。
車のドアが閉まる音で目覚め、辺りを見回しましたが、そこは今までに見たこともない場所でした。車から降りた母が、どこかに歩いて行く後ろ姿だけが見えます。
港・・・?
暫くして帰ってきた母は、わたくしにこう言いました。
母 「はい。これ。」
筋六「・・・。なんこれ?」
母 「きっぷ。」
筋六「なんの?」
母 「あんたは今からこのフェリーに乗って大阪へ行きなさい。」
筋六「は?大阪?」
母「そこにインテックス大阪という見本市会場があるから、そこまで行って。H商会のブースで、このチラシを渡してくること。」
母「じゃね!」
と、最小限の情報だけを言い渡し、母は車に乗り込みました。
ぶーーーん。
・・・。
あ~、行ってしまった。
じゃねーーーわ!!!
意味わからん!しかも、情報少なすぎっ!!
わたくしの手元には、フェリーのチケットと数千枚はあろうかチラシの束。それと、着替えの入ったボストンバッグに、母から手渡された1万円。
14歳の中学生。ひとりで遠くに行ったことなど、もちろんありません。ひとりで乗れるとすれば、市内を走るバスくらいです。しかも、家から主要駅までくらいの近距離。
そんなわたくし一人を置いて、さっさと母は帰ってしまいました。
あわわわわわわ。どうしよ。どうしよ。どうしよ。
まぁ落ち着け・・・。とりあえず情報を整理しよう。
大阪までこのフェリーで行くんだな。ふんふん。
んで、インテックス大阪まで行くわけね。
は?インテックス大阪??なにそれ?
見本市会場って言ってたから、大きな建物でもあるんかなぁ?
んで、H商会まで行く。
チラシを渡す。
・・・。
なんも分からん。
クイズか。
しかし、この情報だけでよく行かせるな。
さすが俺の母ちゃん・・・。
とりあえず、ワルソにカツアゲされても困らないように、売店で両替して、千円札だけを財布に残し、あとは靴の中に隠すことにしよう。
と、いらん心配ばかりに気を張りながらも、不安な気持ちと乏しい情報だけを頼りに、フェリーに乗り込みました。
フェリーの中は意外と快適。2段ベットに荷物を置いてから、しばらく船内を探索。しかし、フェリーの中では特にすることもなく、時代遅れのゲームセンターがあるくらい・・・。
ラウンジのソファーに座り、ひとりぼんやりと海を眺める。
なんも見えんし・・・。
夜航海なので、外は真っ暗です。
寝よ。
とりあえず何もできないので、着いてからその先を考えることにしました。
今の中学生ならば、おそらくなんてことない旅なんでしょうね。スマホ1台あれば、インテックス大阪への行き方や、開催中の見本市会場の情報。なんならH商会の事だって瞬時に調べることができる。
ちょっと離れてたって、親や知人に連絡はとれます。メールやラインもできる。SNSで投稿すれば、丁寧に教えてくれる人もいるだろうし、なんなら一緒に行く人募集!とかだって出来ると思います。
が、当時はそんなものはない。
【迷った時は人に聞け。】
が、従来からのやり方。そんな時代でしたよね、ついこの前まで。
本当に便利になったよね。
さて、翌朝。
12時間をかけて大阪に向かったフェリーでは、到着をお知らせする船内放送が流れました。目覚めたら、そこはもう大阪です。
いそいそと、下船する人々の列にならんだのは良いのですが、ここから先はノープラン・・・。
「迷った時は人に聞け。」
手段はこれしかない。
とりあえず、フェリーターミナルにいた関係者らしきオジサンに聞いてみることに。
筋六「あのー、インテックス大阪に行きたいんですが・・・。」
オジサン「あぁ~、インテックスな。せやったら、ニュートラムに乗ったらすぐやで。」
また、新たな問題発生。
ニュートラム・・・。
ニュートラムってなに???
おじさん、乗ったらすぐって言ってたから、なんか乗り物なんだろうな。
とりあえず、ニュートラムという乗り物らしきモノの目指します。
ニュートラムの乗り場は、フェリーターミナルから意外と近くにありました。いわゆる、モノレールですね。
さて、ニュートラム問題はクリアですが、どちら方面のニュートラムに乗って、どこで降りるか問題が発生。
切符売り場の上に掲げてあった、路線図を眺めます。
ん~と。インテックス大阪駅は・・・。
・・・無い。
インテックス大阪なんぞ、どこにもそんな駅はありません。
なにか、それらしき名前の駅はあるものの、それがインテックス大阪に行ける駅なのか?困った・・・。辺りには、聞ける人もいなかったので、とりあえず、それっぽい名前の「トレードセンター前」という駅に向かってみることにしました。
静かに動き出したニュートラム。
にゅーん、にゅーん、にゅん、にゅん、にゅーん・・・
どきどきどきどきどきどきどきどきどきどきどきどきどきどきどき。
にゅーん、にゅーん、にゅん、にゅん、にゅーん・・・
どきどきどきどきどきどきどきどきどきどきどきどきどきどきどき。
本当にこの方面でよかったのかなぁ?目指す駅で間違ってないの~?
違ってたらどうしよう。本当に迷子じゃん。
車内を見渡しても、案内や掲示なども見当たらない。ただ、進行方向だけをじっと眺め、それらしき建物を探します。すると・・・
大きな番号が書かれた、巨大な施設がいくつ見えてきました!
おお!なんかそれっぽい! 見本市会場って感じーーーー!
しかし、ここはビッグシティ大阪です。わたくしが生まれ育った小さなまちとはぜんぜん違います。なんせ、その辺り一帯で、見本市会場らしき大きな建物がズラリと並んでいるのです。
行けば何とかなる。てな具合にはいきません。あちこちの会場で色々な催しが行われていたのです。
さて、どこで降りるか?目星を付けた駅はまだ先だが、ここで降りても良さそうだけど。ううっ・・・、どうどうどうしよう・・・。
すると車内にいた親子連れが、わたくしの目に留まりました。
父と息子。
穏やかな休日を、息子と二人で過ごす光景。
もしかしたら行くのかも?その見本市会場に。
いかにもそれっぽい・・・。
行くのか?いや。他の会場ってこともあるよ。
どうなの?どうなの?どうなの?
どきどきどきどきどきどき。
ついてこ。
【困った時人に聞かない人は困る。】
聞きましょう。困った時は人に聞く!これが一番良い方法です。今なら簡単。ネットの力がある。今の子どもたちは恵まれてるよね。
さて、その親子連れに付いて行くという、大きな賭けに出たわたくし。なんの確信もありません。ただそれっぽいってだけ。
付かず離れずの絶妙な距離で付いて行きます。もし、違ってたら何事もなかったかのような顔をしてまた逆戻りすればいい。
親子連れは、ひとつの大きな会場に向かって歩いて行きますが、しだいに歩く速度が上がっていきます。
「ちきしょうめ。浮かれてやがるな。」ここで引き離されては、まじ迷子。わたくしも必死で食らいつく!
てくてくてくてく~
しかし、チラシが重たい・・・。チラシのとじひもがぎゅうぎゅうと指に食い込んできます。なんで俺がこんな目に。他の親子は楽しそうな休日を過ごしてるのに、俺は意味の分からんミッションに放り出されるしまつ。ちきしょう。重たい。指がいてぇ。帰ったらしこたま文句言ってやろう。くそう。うだうだうだ・・・。
ひとり悶々とした想いを巡らせながら歩いていると、いつの間にか周囲には大勢の人!みな、同じ目的の建物に向かっているようです。ふと見上げた大きな建物の入り口には、巨大な看板が出ていました。
うおおおおおおお!ここだ!
わたくしが目指していた、見本市会場が現れました!
ニュートラムの親子に付いて行って正解っ!サンキュー!仲良し親子!
よぉーーーーーーし!目的達成!
あとは、H商会にいって、このいまいましいクソ重たいチラシを渡してくるだけっ!
意気揚々と会場に入ろうとしたその時!
警備員に止められます。
警備員「入場券をお買い求めくださ~い」
は?入場券とな?
警備員「会場に入るには入場料が必要です。」
筋六「いや、僕、関係者なんですけど。H商会に行くように言われて来たんです・・・。」
警備員「・・・。 あっそう。じゃこちらに。」
案内され付いて行った場所。
スタッフ「入場料500円でぇ~す!」
って入場券売り場やないかぁ~い!!!
振り返ったその時には、もうその警備員の姿はなく。仕方なく入場料を払うはめに・・・。
「普通、関係者入口とかあるやろ。ったく、気が利かねぇーなっ!」などブツブツと文句を言いながらも、広大な会場内のブース配置図を眺め、目的の場所を探します。
「ええ~と、H商会・・・。あった!」
目的のH商会を発見しました!長かった旅の終わりが、ようやく目の前です。大勢の人でごった返す会場内。人をかき分け、汗だくになりながら、ようやくたどり着いた目的地。
あぁぁ~着いたぁ・・・。終わったんだな、俺の旅。
意味も分からず、ひとりフェリーに乗せられ、何とかたどり着いたH商会!喜びも一入です!早速、ブースにいた男性スタッフさんに話しかけます。
筋六「あのう。○○と申します!チラシをもって来るように言われまして~」
スタッフさん「・・・。ふーん。」
ジロジロジロ。
そのスタッフさんは、怪訝そうな顔で僕を上から下まで眺め、
スタッフさん「お宅の荷物届いてるよ。ワゴンはこれ使い。」
は?
荷物?ワゴン?使う?
ここで、キーワードクイズ~!
「荷物」「ワゴン」「使う」
さて、筋六君は何をしなければならないでしょ~~か?
旅の終わりではなかった。
ここからが本当のはじまりです・・・。
中学2年生の春休みのできごと。
もちろん、はなしは続くよ~!
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