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姓名判断に信憑性はあるか?

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姓名判断には、プロの占い師も返答に窮するような、疑問点や矛盾点がたくさんあります。それもそのはずで、これらの多くは占い師たちが他流派を批判するために指摘したものだからです。 し… もっと読む
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記事一覧

漢字の画数問題(1):旧字派と康煕派

漢字の画数問題(1):旧字派と康煕派

●康煕字典が唯一の字書ではない

旧字派と康煕派は康煕字典にこだわりがあるようです。百科事典によると、康煕字典は「康煕帝の命を受けた30余人の学者が5年がかりで編纂した」ものだそうです。

なるほど、字書として信頼性が高いのはわかりますが、姓名判断的に最も信頼できるという理由がはっきりしません。なぜなら、康煕字典が唯一の字書ではないからです。

中国で作られた字書は、主要なものだけでも、周の時代の

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漢字の画数問題(2):新字派

漢字の画数問題(2):新字派

●漢字に数霊が宿ったのはいつ?

字画数で吉凶を判断する数霊法では、「文字の画数はその文字に隠された神秘的な暗示力(数霊)を表わしている」という信念が根底にあります。そこで、「旧字体vs新字体」の問題を次のように言い換えると、この問題の本質が見えてきます。

「漢字に数霊が宿ったのは、いつの時点か?」

旧字派と康煕派は、旧字体の文字が作られたとき(使われている間)に数霊が宿った、と考えます。それ

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漢字の画数問題(3):戸籍派

漢字の画数問題(3):戸籍派

●戸籍に登録した字体が運勢を決めるのか?

「姓名判断には戸籍に登録した字体の画数を使うべきだ」 と主張するのが戸籍派です。

よく考えてみると、これもまたずいぶん奇妙な話です。姓名判断の一般的な前提に従うなら、この一派の考えでは、戸籍に登録した字体が人の性格や運勢を左右することになるからです。

どのくらい奇妙か、つぎのようなケースを考えてみましょう。

●第一のケース

「ある新生児の名前を姓

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漢字の画数問題(4):常用派と併用派

漢字の画数問題(4):常用派と併用派

●使っている字体の画数は運勢に影響するか

この一派の主張は、「日ごろ使っている字体の画数こそ、姓名判断で意味を持つ」というものです。新字体を使っている人は新字体で、旧字体を使っている人は旧字体で、それぞれ画数を取ればよいとします。画一的に新字体、旧字体の画数を用いるのでもなく、戸籍の字体にもこだわりません。

他の流派に比べて、もっとも自然で受け入れやすい考え方のようです。では、この流派には問題

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漢字の画数問題(5):異体字と俗字

漢字の画数問題(5):異体字と俗字

●異体字とは

漢字には意味も読み方も同じ「異体字」があります。島・嶋・嶌や、崎・﨑・嵜などです。この異体字には正字(正規の文字)と俗字(通用の文字)の区別がありますが、これが画数問題を一段と複雑にしているのです。

というのも、ある流派は俗字を認めないからで、彼らは俗字を正字の画数で姓名判断します。俗字と正字で画数が違えば、当然ですが、俗字を認める流派とは結果も違ってきます。

●俗字をどう扱う

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漢字の画数問題(6):漢数字

漢字の画数問題(6):漢数字

●奇妙な新ルールの広がり

漢数字の扱いも、占い師の間で見解の相違があります。昭和初期から突如広まり始めた特殊なルールが、業界内で論議されるようになったのです。

たとえば、漢数字の五や六はどちらも4画ですが、五は5画(数霊は5)、六は6画(数霊は6)と見なす流派が現れたのです。

●漢数字を数意で扱うのは、画数と数意の混同だ!

この新ルールに対し、大隈博誠氏は『姓名学大全』の中で、およそ次のよ

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その他の画数問題:「かな」の数霊

その他の画数問題:「かな」の数霊

●「かな」の画数も流派によって違う

字画数で姓名の吉凶を判断する数霊法では、かな にも数霊が宿るとされます。かな の数霊も、漢字と同様、字画数でわかるそうです。たとえば、「い」は2画なので、 2の数霊が宿っていると考えられているのです。

漢字の場合は新字体と旧字体があり、同一の漢字でも流派によって字画数が違います。かな はどうでしょうか。漢字に比べると、流派の違いは少ないですが、無いわけではあ

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技法の信憑性(1):陰陽(乾坤)

技法の信憑性(1):陰陽(乾坤)

●「陰陽」の判断法

「陰陽」(「乾坤」ともいう)は、明治中頃に「数霊」と同時に登場した技法です。占い方は単純で、字画数が奇数なら〇(陽)、偶数なら●(陰)で表わし、その並び具合で吉凶を決めるのです。

古代中国の陰陽思想では、万物は陰と陽からできているとするので、漢字も字画数で陰陽に分けられるだろう、という発想がもとになっています。姓名が「山田太一」さんなら、次のようになります。

 山(3画)

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技法の信憑性(2):読み下し(の意義)

技法の信憑性(2):読み下し(の意義)

●「読み下し(の意義)」の判断法

これは姓名をちょうど漢文の読み下しのようにして、意味が通るかどうか等を判定する方法です。全体に意味が通じれば吉、そうでなければ凶とされます。各文字の原義を問う場合もあります。

これも早い時期から同業者に批判されてきた技法のひとつです。平成以降になると、さすがに用いる占い師も少なくなりましたが、それでもまだ消滅したわけではありません。愛用者が1割くらい残っていま

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技法の信憑性(3):五気(五行)<上>

技法の信憑性(3):五気(五行)<上>

●「五気」の判断法

「五気」(「五行」ともいう)は、明治の中頃に「数霊」と同時に登場した技法です。漢字を音読みして、その音に五行を配当し、五行がどんな配列・配合になっているかで吉凶を判断します。

五行とは、「古代の中国人が考えた、万物を構成する五つの要素」のことで、木、火、土、金、水の五つがあります。漢字もこれらの性質を持っていると考えられるので、五行のどれかが配当されます。

●漢字の五行

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技法の信憑性(3):五気(五行)<下>

技法の信憑性(3):五気(五行)<下>

※前半はこちら ⇒『技法の信憑性(3):五気(五行)<上>』

●姓名判断的に「正しい音読み」ってなに?

漢字の音読みには呉音、漢音、唐音などがあり、どの音読みを採用するかで、漢字の五行が違ってくるということでした。音読みが複数あったのでは、漢字の五行は決められません。

はたして、姓名判断的に正しい音読み、言い換えれば、漢字の五行を正しく反映している漢字音などというものがあるのでしょうか。

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技法の信憑性(4):天地人三才

技法の信憑性(4):天地人三才

●天地人三才の判断法

これは「数霊法」で用いる画数合計の一部だけで吉凶を判断する技法です。たとえば、名前が「又吉直樹」さんなら、又+吉、吉+直、直+樹の三つの画数合計(天格、人格、地格と仮称します)が判断の材料になります。

●天地人三才と五行説

古代中国には、この世界が天、地、人の三つの はたらき (三才)で成り立っている、とする考え方がありました。

そして、万物は木、火、土、金、水の五つ

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技法の信憑性(5):音霊

技法の信憑性(5):音霊

●音霊の判断法

わが国には昔から、ことばには霊力が宿るという言霊信仰があります。これにヒントを得て、五十音はそれぞれ固有の神秘的な作用をもつとして、姓名をどう発音するかに着目した技法です。

名前を発音のままに、その一音、一音に意味をあてはめ、性格的にどんな影響受けるか、どんな特徴をもつようになるか、などと判断します。

●ルールが曖昧な音霊

この技法の信憑性を問う前に、そもそもの問題点があり

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技法の信憑性(6):音韻五行<上>

技法の信憑性(6):音韻五行<上>

●「音韻五行」の判断法

名前を発音のままに、その一音、一音を五行に変換し、それらの相生、相剋から吉凶判断するのがこの技法です。

これは「音霊」の変形で、「音霊」技法の一部として扱う流派も多数ありますが、「五気」ともよく似ています。それもそのはずで、五気の技法に納得できない後進の占い師が、もとの判断方法に少しばかり手を加えたものなのです。

とは言え、名前を発音のまま五行に変換する音韻五行と、漢

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