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卍・ハーケンクロイツについて


皆さんお疲れ様です♪
今日はこちらの本の書評です↓↓


テーマは『卍・ハーケンクロイツ』。
図書館で見つけて面白そうだと思い、思わず手に取りました。


日本人にとって『卍』は地図上で表される寺院をイメージする方が多いかも知れません。
一方で西洋人の場合、無意識に卍=ナチスと捉える方が大半ではないでしょうか。


我々日本人もナチスのことは学校で習いますが、身近にユダヤ人が居たり、当時(第一・第二次大戦時のドイツ)の雰囲気を直に感じている西洋人の方が連想しやすいでしょう。


実際、卍とナチスが使うハーケンクロイツ(反転した卍)は形が違うので意味も起源も全く違うのですが、教育のせいで"悪いイメージ"が定着していますので、著書の力を借りてイメージ払拭を試みたいと思います。


※「ナチス」やヒトラーの「ユダヤ政策」について書くことはありませんん。



基本情報


まずは『卍』の起源について。
悪いイメージが定着してしまったこの卍ですが、実は悪い意味の言葉ではありません。
その起源は【太陽】とされています。

英語読みでは「スワスティカ」と呼ばれ、スワスティカの語源は「幸福」や「繁栄」「福利」を意味するサンスクリット語です。


日本語では、「万徳」や「吉祥」を意味します。


仏教では『光の智慧』。
イスラム教では東西南北の基本方位。
キリスト教では十字架よりも古い歴史があるとされ、ギリシャ語のアルファベットのFみたいな字を四つ使ったシンボルがあるそうです。
※画像は見つけられませんでした。


その文字は古代ローマの墓地にあるそうですが、逆に今使われている十字架は地下墓碑では全く見られないらしいので、卍が十字架より古い歴史があるというのは可能性が高いですね。

4人の福音書の象徴


また、ヒンドゥー教ではインドのヴィシュヌ神のシンボルとされています。
右旋回の卍を使っていますが、意味は同じ太陽)。


仏像の胸には卍が刻まれていますが、これはヴィシュヌ神の胸毛を象った字とされています(諸説あり)。
ヒンズー教ではブッタは、ヴィシュヌ神の十化身の9番目であり、先述したように仏教とヒンズー教では卍は太陽を意味するので、この卍という言葉はインドから仏教へ伝わり、仏教から日本にも伝わったのでしょう。


⚠️注釈
⇨「卍」がインド発祥かと言うと必ずしもそうとは言い切れない節があります。
古代ユダヤのシナゴーグ寺院にも、ダビデの星の隣に卍マークがあるためです。

今日は割愛しますが、世界にある主要宗教は一見お互いが全く関係ないように見えて実は、めちゃくちゃ関係しています。
簡単に言うと前からある神話を焼き直しているだけであったり、教説を少し捻っているだけの場合もあります。


そのため、卍が太陽を意味するのは間違いでしょうが、誰が・いつ・どこで考案したのかは私は分かりません。


ナチスとスワスティカ


ヒトラーは幸福を意味する「スワスティカ」を使わず、『ハーケンクロイツ』という言葉で表しました。


このハーケンクロイツはドイツ語読みで、ハーケン=カギ状、クロイツ=十字という意味です。
元々ドイツには「ハーケンクロイツ」という言葉があり、意味は『先の曲がった十字架』。


なので、ドイツ人にとってはハーケンクロイツ=ナチスのマーク(十字架)なので問題ないし、理解しやすいです。


しかし、米国人などは英語読みのスワスティカ=ハーケンクロイツという認識になっているため、誤解しています。
スワスティカとは、「卍」という普通名詞であり、ハーケンクロイツはその中の固有名詞の1つです。

全てのスワスティカ(卍)をナチスのハーケンクロイツと結びつけて考えるのは間違いです。

ナチス党のシンボル


ヒトラーの著書『我が闘争』では、この党のシンボルは党内で募集して決めたと書いてあります。


その原案はこちら↓↓

トゥーレ協会のロゴ


当時トゥーレ協会(オカルトグループ)の会員で歯医者のクローンという人物が考案したもので、それに少し修正を加えて出来たのがナチスのマークです。


ほとんどそのままですね♪
十字の先端を真っ直ぐにしただけです。笑


ナチスのマークが何故、反転していて45°傾いているのかについてはヒトラーは一切説明していません。
間違いなく何らかの理由があるでしょうが、まだそこまでは調べられていません。


因みに、ナチス親衛隊が使うルーン文字の中に勝利を意味するsieg-runeの頭文字を取った「⚡︎」みたいなマークがあるらしく、これを2つ重ねたのでは?という説もありますが、裏が取れていないので分かりません。


先述した東洋の「卍」とナチスのマークに直接的な関係は勿論ないのですが(意味も違う)、ヒトラーは晩年、チベットに向かったとする説があります。
また、当時のナチス・ドイツは後述するアーリア人を崇拝しており、遺品を探すためにチベットにSS隊員を派遣して彫像などを持ち帰っています。


チベット密教はインド由来。インドにはヒンズー教があり、仏教も生誕した…。
何らかの関係があるかもしれません…。


アーリア・アーリア人


歴史の授業で習ったアーリア人。
「アーリア」という言葉は元々、サンスクリット語で「聖なる」「尊い」を意味するインド由来の言葉です。


仏教では頻繁に使われる言葉で、例えば『八聖道』のことを「アーリアスティンギガ・マルガ」と言ったり、『法句経』では人や生物を害さない人を《聖者》=アーリアとしています。


そのため、アーリアという言葉には民族や血族、人種の意味はありません。
アーリア人とは"造語"なのです。


18世紀に初めてサンスクリット語に触れたヨーロッパ人が、その構造の素晴らしさに感動して研究を始めました。
しかし、何故インドでこのような文字があったのか説明ができなかったのです。


そこで、マックス・ミュラーという学者は聖なる言葉「アーリアン語」(そんな言語はない)を話す「アーリア人」という民族がいるかのように物語を作ったのです。

マックス・ミュラー


そして、そのアーリア人の祖先はヨーロッパ(特にドイツ人)だと言い、この理論に従えば仏教も"白人アーリア人民族"から生まれたことになります。


実際、私たちが学校で習う『アーリア人侵略説』の歴史を支持する資料は、インドの文献や考古学的記録はないみたいです。


また、同じ時期にトロイの遺跡で卍のモチーフが発見されて、これをアーリアン人のシンボルと主張。
サンスクリット語で卍は太陽を意味するシンボルなので、都合の良いように利用されたのかもしれません。


ドイツ国家主義とアーリア人卓越思想が結びつき、ナチスは党のシンボルに逆卍を採用したと考えることもできます。


ヒトラーは『我が闘争』で、このように書きました。
「アーリア人は人類の全ての文化や芸術、科学、技術はほとんどがアーリア人による創造の産物である」。


おわりに


卍とハーケンクロイツはとても興味深い代物です。
ナチスのマークはウ◯◯イナの過激派集団などのマークにも使われています。


つまり、ハーケンクロイツやヒトラー、(特に)ナチスについて調べると自然と、ウ◯◯イナで好き放題やってる集団のことも考察できるということです。


あちらの紛争ももう終盤に差し掛かったところだと思いますが、歴史上消えた人物や組織の流れを汲む"残党"が約80年後に処理をされるというのは、歴史も中々先には進まないものなのですね。


紹介した著書には、ユダヤに関するセンセーショナルな話題は一切触れずに卍やハーケンクロイツを説明しているので、誰でも気軽に読めると思います。


今回は久しぶりの書評でした。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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