prime videoで『海辺の金魚』観ましたー。
はじめに
prime videoで配信が始まった『海辺の金魚』鑑賞終了しましたー。1時間16分の短い映画ながら、実際の事件を元にしていると思われる表現があり、集中して視聴することができましたので、記録していきたいと思います。
個人的な評価
ストーリー B
脚本 B
構成・演出 B+
俳優 A
思想 B+
音楽 B
バランス B
総合 B+
S→人生に深く刻まれる満足
A→大変に感動した
B→よかった
C→個人的にイマイチ
内容のあらすじ(ネタバレなし)
内容的には、母親が起こした事件により、幼い頃から児童養護施設で暮らしてきた瀬戸口花(小川未祐さん)が18歳になった頃、自分と同じ境遇を持つ8歳の少女・晴海(花田琉愛ちゃん)が入所してくるところから始まる話です。
当初、晴海は施設に馴染めず孤立しますが、徐々に花に心を開いていきます。
しかし、今年高校を卒業する花は、この施設で入所者として過ごせるのは今夏が最後となり、施設の子供たちとどう関わっていくか、刑務所に収監中の母親に会いに行くか、の選択を迫られることになります。
以下、ネタバレありです。
感想(結末以外ネタバレあり)
内容的に、『和歌山毒物カレー事件』を元ネタにしていると思われる本作。主人公・花の母親の京子は夏祭りのかき氷の出店を担当していました。
すると、かき氷を食べた複数の住民が嘔吐や腹痛など身体の異常を訴えたことから、その場にいた祭り参加者によって警察に突き出され逮捕されます。そのせいで、花は児童養護施設で育てられることになります。
しかし、実際の林真須実死刑囚同様、本当に京子が農薬を盛ったのかどうかは明らかになっていません。京子は近隣住民とトラブルを抱えていたらしいことが幼い花の目線で描かれています。
状況的に京子の犯行として裁判は確定してしまいますが、京子は事件のことは多く語らず、ただ花に会いたいとだけ言っている旨を弁護士を通して伝えられます。
母親のせいで自分の人生が台無しになりつつも、自分だけでも母の無罪を信じ抜くべきなのか、母親のことは忘れ、自分の人生を歩み出すべきかの葛藤がこの作品の最大の焦点に思われます。
花はその決断をしかねていて、そこに晴海という母親の虐待を受け保護された少女が施設に入所してきます。
花は晴海にかつての自分の姿を重ね、自分が母親にしてほしかったことをしてあげることで、自分の傷を癒していきます。花が決断する前に、金魚鉢の金魚を海に放つという行為をやって自分の内心を表象するのですが、これをどう解釈するかは若干の疑義があると思います。
金魚を海に放つ行為の解釈
①金魚は淡水魚であり、海で生きられないことを分かっていながら海に放つ
→死刑囚の娘である花が、社会では圧倒的に不利な処遇を受けることを想定しつつ、それでも母親と決別して生きていく道を選ぶという決意の比喩
②金魚は海では生きていけないことは分かっているが、一生一匹で金魚鉢の中で過ごすよりはマシだという意思表明
→金魚鉢の金魚を母親に置き換え、どうあがいても助けられないことを理解しつつ、それでも自分は死ぬまで寄り添っていくという想いの発露
たぶん、観る人によって解釈を委ねている作品だとは思うのですが、実際に林真須美死刑囚の3回目の再審請求が受理されたタイミングでこの映画が観れたのは、我ながら時世に遇っているなと思いました。
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