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prime videoで『金の国水の国』観ましたー。(ネタバレなし)

個人的な評価

ストーリー  B+
脚本     A-
構成・演出  B+
思想     A+
作画        B
キャラ    A
声優・歌   B+
バランス   B
総合     A-

S→人生に深く刻まれる満足
A→大変に感動した
B→よかった
C→個人的にイマイチ

冒頭のあらすじ

 昔々1000年より昔、アルハミト国バイカリ国という隣り合う大変仲の悪い国がありました。つまらないことでいがみ合う両国は、些細なことからついには戦争になってしまいました。

 2つの国は長い間戦い続けました。やがて疲れ果てた頃、2つの国の長は”ある誓い”を交わしました。その誓いは『アルハミト国は、友好の証に、”国で一番美しい娘”を嫁としてバイカリ国に送り、またバイカリ国は”国で一番賢い若者”を婿としてアルハミト国に送る』というものでした。

 裕福だが砂漠だらけのアルハミト国の辺境に住む末の王女サーラはバイカリ国の婿を迎えますが、送られてきたのは犬でした。サーラは両国の平和のため婿が犬であったことを隠し、犬にルクマンと名付けて飼います。

 貧しいが自然豊かなバイカリ国の図書館長の息子ナランバヤルはアルハミト国の嫁を貰い受けますが、送られてきたのは猫でした。ナランバヤルは両国の平和のため嫁が猫であったことを隠し、猫にオドンチメグと名付けて飼います。

 ある日、サーラの長姉レオポルディーネはサーラとバイカリ国婿を王宮に呼び出します。犬を連れて行くわけにはいかないと悩むサーラは、ルクマンと散歩に行った国境付近の森で偶然、オドンチメグを連れたナランバヤルと出会います。

 サーラは身元を明かし、婿の振りをして王宮の長姉に会って欲しいと頼みます。王宮でサーラの姉たちと対面したナランバヤルはイケメン左大臣ムーンライト=サラディーンと意気投合し、アルハミト国は水が枯渇しかかっていることを看破し、両国それぞれの足りない部分を補い合い、相互互恵の発展のため、バイカリ国から水を引く巨大水路を作りたいと申し出ます。

 ナランバヤルはオドンチメグをサーラに預け、アルハミト国にとどまることになりました。美人ではないが心美しいサーラは、お調子者なものの誠実で聡明なナランバヤルと過ごせる日がずっと続けばいいと心ひそかに願うのでした。 

感想

 本作は、正反対の特徴や文化を有し、敵対関係にある国に生まれた男女が、お互いの美点と欠点を理解・協力し、相互互恵の信頼関係を築いていく話になります。
 相田みつをさんではないですが、『奪い合えば足らず、分け合えば余る』というやつですね。

 また、美しさとは何か?という点についても、サーラを通して追究しています。作品全体として、哲学における究極の価値『真・善・美』の理想が表現された名作と言えるでしょう。
 三国志の諸葛亮(孔明)の妻・黄月英に関し、歴史書『襄陽記』にも「身有醜女、黄頭黒面、才堪相配」(不細工で金髪色黒だが才知あり)と、記述されていたのを思い出せる作品です。

 女性に関して、普通の人は容姿にしか目が向かないところ、孔明レベルの人になると容姿は単なる記号でしかないということですね…。
 本作のナランバヤルは三国志でいう孔明に該当しますが、結婚相手の選び方について尋ねられ、即座に答えるシーンが一番の見所に思えました。

結婚相手の選び方について訊かれるナランバヤル

 以下、上記の問いに対するナランバヤルの回答

 これは父の言っていたことで、まったく私の言葉ではないんですが…『”結婚して他人と家族になる”ということは、夢物語ではない。我慢することや悲しいことは波みたいに押し寄せて、最初に感じた愛や恋は月日と共にどんどんすり減って、違う何かに変わっていく。だから君はそのときの美しさよりも一瞬の楽しさよりも、自分の親兄弟と同じかそれ以上に、自分を大切にしてくれる人を探しなさい』と。つまり、お茶の時間に最後に残ったビスケットを黙って1人で食べちゃう人は選んじゃダメ、ってことなんですかね。

 サーラの声優さんは蟲師『天辺の糸』で吹役を担当した福井裕佳梨さんかな?と、思っていたら、女優・浜辺美波さんだと知って驚きました。声優としても演技のレベルがとても高いです。名演でした。

 人間は孤独に生きてはダメで、独り占めするのもダメで、支え合って生きていくべきだ、という作者・岩本ナオ先生の思想を強く感じる作品でした。共感できました。
 ここまでお読みいただきありがとうございました。

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