見出し画像

Netflixで『だから殺せなかった』観ましたー。(ネタバレなし)

 Netflixで配信が始まった『だから殺せなかった』観ましたー。思想的には、他人の不幸をネタに金儲けするマスコミに対する怒りと不満を扱っていました。
 しかし事件や事故、特に自殺の現場などで大変な状況にいる他者を心配せず、死体などの衝撃映像をスマホで写メしてSNSに拡散し、閲覧数を稼ぐことしか頭にない哀れな人々も同類ですよね?という視聴者に向けた牽制の視点も見られました。

 週刊文春が叩かれてる今日、現実に発生している問題を踏まえて鑑賞すると、非常に興味深いものがありました。マスコミのあるべき姿と、利潤を追求する一企業の労働者の立場の狭間で苦悩する主人公は、現実に生きるすべての人々が抱える葛藤の具現化に思えましたので、記録したいと思いました。

個人的な評価

ストーリー S-
構成    A
俳優    A
脚本    B+ 
音楽    B

S→人生に深く刻まれる満足
A→大変によかった
B→よかった
C→個人的にイマイチ 

冒頭のあらすじ(ネタバレなし)

 内容的には、玉木宏さん演じる社会部の敏腕記者・一本木透の過去話の回想から本題に入ります。彼は十数年前に、政治家の汚職を追及して特ダネを掴みました。
 記者として名を挙げるチャンスを得た一本木でしたが、その人物は交際し結婚を約束した女性・琴美の父親でした。一本木は特ダネを挙げて記者として名声を得るか、琴美の心を優先するかで悩みますが、記者としての本分を抑制することができず、徹底的に報道します。

 その結果、琴美の父は自殺し、琴美も一本木の前から姿を消し、数か月後に死体となって発見されることになります。
 一本木の判断は最悪の結末を招きますが、それだけでは済まず、報道後の詳しい捜査により、琴美の父親の罪は着物の素材となる反物を受け取った収賄だけだったことが判明します。

 その反物は、琴美の結婚の際の着物に使ってくださいと支援者から言われ、親心を刺激されて返す機会を逸しただけでした。
 一本木は正義を成したつもりでいたのに、その結果は、愛する女性と娘を想う父親を死に追い込んだだけでした。

 一本木はこの体験を『記者の慟哭』という記事にまとめました。報道の使命を追及した結果、愛する人を失う結果になり、それによって自分は未来を失った、という身を以て味わった因果応報の経験を悔いる内容で、世間に大きな反響をもたらしました。

 それから十数年後の現在、都内で連続殺人事件が発生します。一見、無差別に思える事件ですが、殺害されてるのはすべて妻子を持ちながら不倫し、家族に暴力を振るっている男性のようでした。
 犯人は一本木の『記者の慟哭』に感銘を受け、言葉で自分を止めてみろと一本木と新聞紙上での対話を要求し、その旨が書かれた怪文書を一本木が務める太陽新聞に郵送してきます。
 果たして、一本木は犯人を止めることができるのでしょうか…。

感想

 最終話まで犯人が誰なのか、また『だから殺せなかった』とはどういう意味なのか、が分からなかった作品でストーリー的にも思想的にも考えさせられて楽しむことができる作品でした。
 SNSが発達したここ十数年の世の中で、他人に注目されることでお金を儲けようとする人が増えてきました。その中でも特に、相手の気持ちや他人への迷惑を顧みず、稼げさえすれば何をしてもいいと考える人々が問題視されています。

 本作はそういったIT社会全体の進むべき方向、何でも金に換価しようとする人々の価値観に対し、疑問の一石を投じる作品になったのではないのかな、と思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?