見出し画像

【昇華】薬屋のひとりごと第21~24話【そして神作へ】



はじめに

 prime videoで薬屋のひとりごと第21話『身請け作戦』第22話『青い薔薇』第23話『鳳仙花と片喰』第24話『壬氏と猫猫』鑑賞終了しました。
 今回で第1期最終回となりますが、猫猫のルーツや背景、作者である日向夏先生の思想が強く表現された凄まじい終局でした。色々感じたことを記録していきたいと思います。

第21話のあらすじ

 李白に呼び出された猫猫は、彼に紹介した緑青館の白鈴を身請けしたいと相談されます。三姫の誰かが身請されるという噂を聞いて、白鈴に想いを寄せる李白は気が気でなく、思い悩んでいました。すると猫猫は、彼に服を脱いで裸になれと言い出すのでした。

夜伽の達人である白鈴姉ちゃん
誰それ構わず手を出す性欲の強い女性であるものの
それ以上の母性を持つ女性であると分析する猫猫。彼女は母乳が出る特殊体質のため、猫猫は赤子のとき母親代わりになってもらった模様。
白鈴にふさわしい男か、李白の肉体を吟味する猫猫
ポージングする李白
下着も脱げと要求する猫猫
李白は白鈴のもとに通って裸を見せてるはずなので、猫猫がただ李白の裸を見たいだけでは…とか思ってしまいました!
性器で結婚相手を選ぶ人は男女共にいないような…。しかし猫猫はリケジョですからね…。
壬氏に白鈴を身請けする金出してやると言われ断る李白
李白の漢気。確かに肉体労働で女性を養ってる人は身を削って愛情を注いでるように見えますな…。
エッチの前の力自慢的な遊戯をして最高に楽しそうな李白さん
李白の文を受け取る白鈴
白鈴は李白の生きる道であり夢



第22話のあらすじ

 玉葉妃の妊娠が確かなものとなり、翡翠宮で穏やかな日々を過ごす猫猫。そんなある日、壬氏から来月の園遊会で青い薔薇が必要になったと相談された猫猫は、羅漢がその難題を画策したことに気づき、負けるものかと、青い薔薇を咲かせることに挑戦します。
 園遊会が迫る中悪戦苦闘する猫猫ですが、季節外れなので薔薇は蕾すらつけてくれません。

梨花姫に薔薇を育てる温室の使用許可をもらう猫猫
室内の温度調整に細心の注意を払う猫猫
晴れた日は薔薇を外に出す模様。猫猫を手伝う小蘭
ほぼ24時間体制の育成に寝不足になっていく猫猫
苦労の甲斐あってようやく蕾がひとつ…。
園遊会当日。そこにはやつれて目も虚ろな猫猫の姿が。
猫猫が用意した青い薔薇含む色とりどりの薔薇を帝に献上する壬氏
様々な色水を作って白い蕾に吸わせた、と壬氏に明かす猫猫



第23話のあらすじ

 青い薔薇を完成させた猫猫ですが、ついに実の父、羅漢と対峙することに。軍師であり象棋も得意な羅漢に、猫猫は条件付きの象棋の勝負を申込みます。
 その条件とは、猫猫が勝ったら羅漢は緑青館の妓女をひとり身請けすること。勝負の行方にハラハラする壬氏と高順が見守る中、勝利を重ねる羅漢ですが、“毒”を仕込んだ酒を用意した猫猫の作戦は……。

男性は黒、女性は白、役職は漢字一文字としか認識できない羅漢が見ている世界
娘である猫猫の顔は認識できる様子の羅漢を見つめる猫猫
羅漢に象棋での5番勝負を申込む猫猫
猫猫が羅漢と勝負する目的
謎の液体を見せる猫猫
5つの小瓶のうち、3つに謎の液体を入れてシャッフルする猫猫
負けたらひとつ選んで飲まなければならないルール
もうひとつのルール
二連敗して小瓶の液体をふたつ飲む猫猫
全く動じない猫猫
三戦目、わざと負けて毒物を確かめにいく羅漢
羅漢が勝った場合の条件を思い出す壬氏
小瓶ひとつで倒れる羅漢
子供の頃の羅漢に人を覚える方法を教える羅門
ただぼやけていただけの輪郭が駒に見えるようになった模様
羅門が『車』に見えたと語る羅漢。象棋の車は将棋でいう飛車でしょうか。
将棋と比べて難しい象棋。砲や馬は癖がありますし、象は敵陣に行けません。
妓楼で妓女・鳳仙に囲碁で圧倒的に負けたときに初めて人の顔を認識できた羅漢
まるで刺すような目線
次はいつ来るか尋ねる鳳仙
鳳仙の値段が釣り上がり通えなくなってくる羅漢
あまり通えなくなってきた羅漢を見て、何かを感じて勝負を持ち掛ける鳳仙
瞬間、心重ねて
互いに特に言葉もなく本能のままエッチ
羅門の失脚を理由に家を出され、鳳仙のもとに3年間通えなくなった羅漢
羅漢が久しぶりに家に戻ると、鳳仙から大量の文と共に、彼女の小指・赤子の小指が送られてきていました
鳳仙の身請け話が破談になったのは、羅漢の子を宿していたためでした。信用と価値が地に落ちた妓女が辿る末路は…
緑青館で目を覚ました羅漢に”枯れた青い薔薇”を送った猫猫



第24話のあらすじ

 猫猫に負け、緑青館の妓女を身請けすることになった羅漢。華やかな女たちが並ぶ中、羅漢が梅梅の手を取ろうとしたとき、彼女が開けた扉から歌声が聞こえてきて……。
 一方、壬氏の家に呼ばれた猫猫は、羅漢の悩みと猫猫に執着する理由、そして父親に対する複雑な感情を語ります。それから数日後の夜、城壁の上で美しく舞う猫猫の姿がありました。

妓女の身請けに関し、好きな妓女を選べと言われるも、全員同じに見える羅漢
梅梅姐さんは巨乳だから見分けがつきますね
猫猫が送った”枯れた青い薔薇”の意味に気づき駆け出す羅漢
末期梅毒に冒され、曖昧な自意識の世界を生きている鳳仙
他の美しい妓女ではなく、オンリーワン鳳仙を選ぶ羅漢
小指を失った左手にふたりの思い出を繋ぐ碁石を手渡す羅漢
顔の分からない羅漢は鳳仙の顔は昔のまま識別でき、鳳仙も羅漢のことは感じ取ることができる模様
鳳仙の指し手を見て、娘・猫猫に通ずるものを感じる羅漢
壬氏に父・羅漢への思いを訊かれ、特に恨んでいないと答える猫猫
母・鳳仙は、その気になれば避妊や堕胎をできたはずが、あえてそうしなかったと分析する猫猫
羅漢を恨んではいないが、父親とは認めていない猫猫
羅漢の立場に立った発言をしてフォローしてしまう高順
梅梅姐ちゃんから布帛 (ふはく)が届きました
身請けされた妓女を見送るとき、他の妓女たちは舞を舞う習慣がある模様。
約15年の歳月を経て、羅漢と結ばれた母親・鳳仙を送り出す祝福の舞を舞う猫猫。
実父・羅漢だけでなく、実母・鳳仙にも複雑な思いを抱く猫猫
母親とは呼ばない猫猫
鳳仙の妊娠出産で肩身の狭い思いをしてきた猫猫
母親のヤングケアラーをして早熟した猫猫
鳳仙に殺害未遂されたのは現実の出来事…。
けして消えない小指の傷
傷を傷と解釈していない猫猫。だから毒を薬のように摂取できるのですね。深すぎる


感想&総括

 薬屋のひとりごと最終話、鑑賞完了致しました…。1クール目の第1話から毎週楽しみに観て参りました。1クール目放送終了時の感想は、

 これまでの私のアニメの中の中国人像に反し、薬屋のひとりごとの主人公の猫猫は、
 ①身に起きる不幸を不幸として捉えず、流れに身を任せて生きていく点
 ②基本的に毒物と薬にしか興味がなく、自分の感情にあまり執着しない点
 ③自分から目立とうとせず、かつ、他人に対する正義感は備えている点
 ④普通の女性が重視する容姿の美しさや結婚に無関心な点
 ⑤男性の生態を知り尽くしていて、それでいて受け入れている点
 ⑥宮廷を追い出された元宦官の養父に関しては心が動く点

 …などがとても魅力的に映りました。キャラ評価だけだったら2023年のアニメで一番好きです。

『2023年のテレビ&ネット配信アニメで完全視聴した作品の中の個人的お気に入りを詳らかに振り返りたい件』より

 …というものでした。
 2クール目では、実父・羅漢、実母・鳳仙との関係と、これまでの猫猫の人生の背景が明かされ、特に最終話で内容のレベルが急にエヴァの域に達したなぁ…と圧倒されてしまいました。

 鳳仙と猫猫以外の人の顔を認識できない世界を生きている羅漢と、妓楼で産まれ妓楼に育てられた聡明で気高さを失わない鳳仙の、儘ならない人生を送ってきた者同士の間に築かれた言葉を介さない愛の形に心が動かされたのは勿論なのですが、それよりも、両親に対する複雑な思いを抱えた猫猫の、誰を恨むわけでもなく、娘として自分が為すべきを成してきた生き様に思わず涙してしまいました。

 普通の人は親から受けた愛によって、その愛情を原資につらいことに耐えたり、目の前の壁に立ち向かっていけるわけですが、猫猫の場合、両親が共に訳ありなので親らしいことは何もしてもらっていません。
 猫猫が親代わりとして認識してるのは養父の羅門や妓楼の三姫たちで、羅門や鳳仙のことは『あの人』と他人のように呼んでいます。

 この辺の描写を観たとき、思わずエヴァのリツコが自分の母親について語るシーンを思い出してしまいました。猫猫の実母・鳳仙も妓女としては一流ですが、母親らしい愛情を注いでくれなかった点を見ると、やはり人は自分が親にしてもらったことしか子供にもしてあげることができないのかもしれません。

 それにも関わらず、猫猫は自分の感情を優先させることなく、羅門とやっと結ばれた死期の近い実母・鳳仙に祝福の舞を舞いました。これは、普通の人にはそうそうできることではありません。16歳の少女とはいえ、精神的には完全に成熟した大人です。

 赤子のときに母親に切られた小指に関しても、嫌な記憶を連想するようには捉えていませんでした。この描写ではメイドインアビスのリコに通ずるポジティブさ、そして相手が何を思ってその行為をしたのかを深く洞察できる賢さと性格の良さを感じることができました。

 最終話で急に話のレベルが上がって吃驚しましたが、2025年に二期放送確定ということでおめでとうございます。そして、ありがとうございます。
 男性の私でもかなり感動したので、女性がこの作品を観るとおそらくゲゲゲの謎並みに心打たれてしまう気がします。

 原作者の日向夏先生曰く、二期目でアニメで感じる不自然さが解消される、とのことですが、蘇りの妙薬含めてどうなっていくのでしょうか?
 第一期目の衝撃を超えるアニメを予感しつつ、首を長くして2025年待ちます…。ここまでお読みいただきありがとうございました。

『もう以前のように動かない』ではなく『親指だけでも動く』と解釈するリコ
MAGIを見て母親を想うリツコ

リツコ「死ぬ前の晩、母さんが言ってたわ。MAGIは3人の自分なんだって。科学者としての自分、母としての自分、女としての自分。その3人がせめぎ合っているのがMAGIなのよ。人の持つジレンマをわざと残したのね。実はプログラムを微妙に変えてあるのよ。私は母親にはなれそうもないから、母としての母さんは分からないわ。だけど、科学者としてのあの人は尊敬もしていた。でもね、女としては憎んでさえいたの。カスパーにはね、女としてのパターンがインプットされていたの。最後まで女でいることを守ったのね

新世紀エヴァンゲリオン第拾参話『使徒、侵入』より

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?