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夏を求めて街歩き③【丹後エリア】

 宮津、加悦と訪れて間人を訪れるつもりだった。しかし、太陽は入道雲に吸い込まれそうになっている。チェックインを早めにしたこともあり、宿へ向かうことにした。
 
 突然、今まで過ごしてきた夏がフラッシュバックしてきた。それらを受け止めつつ、今こうして一人街並みを歩く自分のことを考える。寂しさとも虚しさとも言えない塊がふっと胸に落ちてくる。それでも、歩くしかない。今後も思うように歩いて、見たいものを見て、時々悔やんで、それから考えればいい。そうでありたい。夏の夕暮れどきは、色々な感情がないまぜになってくる。それも含め、夏が大好きで仕方ないのだ。

 そんな形で夏を浴びていると、宿に到着。手厚い歓迎を受け、ひととおり館内の説明を聞いたのち、散歩へ。一歩、また一歩踏み出す度に足が重い。そういえば、今日もたくさん歩いたんだった。この日は、近場で2杯ほどひっかけ、さっさと寝ることにした。
 旅行中の朝は、目覚めが格段に違う。この日、素泊まりにも関わらず、旅館の方がおにぎりを用意してくださった。レンジでチンしてカバンに詰め込み、鍵を返し、挨拶をして出発。帰るその時まで、丁寧に見送ってくださった。おかげさまで、心地の良い滞在だった。さて、間人へ向かおう。

 間人に到着すると、屋外プールではしゃぐ子供たちが見えた。あまりにも夏だ。まずは路地へと流れ込み、徘徊することに。間人には、漁港へと向かう橋、間人大橋がある。路地からはこの橋が顔を出すことが多い。そのため、路地からうまくおさめられないものかと考えていた。

間人大橋と路地
間人大橋と街並み

 間人は勾配のきつい場所や家が密集している場所が多く、家々の間を縫うようにして階段・坂がある。上って、下りて、振り返って、路地の先から顔を出してみる。さっき見た景色がもう一度見たくなって、戻ってくる。こうして歩いている時間がとてつもなく楽しい。ひとしきり歩くと、高台からの景色が見たくなった。

一番最初に出会った階段
坂から見る路地

 息を切らしながら、階段と坂を登っていくと街が見えてきた。この場所は、墓地公園となっており、この日は何人かの方とすれ違った。朝のお墓参りだろうか。春には、この街並みと海を見ながら、公園の桜も見られるようだった。

間人の町並み

 呼吸も整い、落ち着いてきた。商店などが立ち並ぶ、まだ歩いていない方を歩くことに。間人大橋からは少し離れてしまったが、町並みは続く。このあたりは、隙間から海が顔を出す事が多く、それを求めて路地を行ったり来たりしていた。

スーパーのある通り


わずかに見える海

 街並みを抜けると、看板が見えてきた。「たいざアイスキャンデー」。街歩きは、ここで氷菓を頂いて終えることにした。小豆、抹茶、いちご…最中、どれも美味しそうで決められない。ひときわ目を引く「清めの塩」なる貼り紙があったので、それと最中にした。シャリシャリとした心地よい食感と冷たさ、丁度よいしょっぱさが身に染みる。歩いてきてよかった。確かな夏を噛み締めている、そんな実感があった。

色々と清めてもらいたいものだ

 次の街は、どうしようか?とりあえず兵庫の日本海側を目指すことにしよう。アイスが暑さに耐えきれなくなったようで、急いで食べてしまうと間人を後にしたのだった。


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