碓氷

旅した町の記録

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最近の記事

秋葉街道の宿場町、水窪

 飯田線、愛知県の豊橋から長野県の辰野までを結ぶ路線だ。山を縫うようにして進むこの路線には、秘境駅が点在している。そんな飯田線のうち、今回は水窪を訪れたのだった。  旅の始まりは、湯谷温泉。昨日はここで一泊していた。大きい温泉街ではないものの、湯に浸かり、川を眺めると心地よい安堵感があった。  宿をあとにして湯谷温泉駅へ。自分の他に一人いるだけで、静かな無人駅だった。7時台の列車に乗ると、ちらほらと乗車されている方の姿が。一体どこへ向かうんだろう?  車窓からの景色を見て

    • 街にあふれる建築美【富山県小矢部市】

       「メルヘン建築」。富山県は小矢部市にあふれる西洋風建築物群の名称だ。色合い、用途も様々なメルヘン建築は、小矢部市に30以上もある。そんなメルヘン建築を一目見ようと小矢部市を訪れたのだった。  時間の関係上、ある程度建築物が集まる場所へ行くことに。事前に調べたルートだと、5つのメルヘン建築に出会えそうだ。  まず目に入ったのは、小矢部市立石動(いするぎ)中学校。スイス中世の城をモデルにしているようだ。遠くから目立つ時計台は、英国の国会議事堂ビッグベンを模している。一階のピロ

      • 木彫りと暮らす町【富山県南砺市井波】

         富山。歩きたい町が確実に増えつつある県だ。しかし、豪雪地帯である富山を冬に歩ける自信はない。そうでなくとも、大雪となればアクセスが難しくなる。そんな事もあり、暖かいうちに富山を歩くことにしたのだった。  訪れたのは富山県南砺市の井波。富山県の中でも西側に位置している。金沢市まで車で1時間程度の場所だ。  この町は、木を素材として彫りこみ、製作する木彫刻で有名。この地で生産される木彫刻は、井波彫刻と呼ばれる。その発端は、井波のお寺、瑞泉寺と密接な関わりがある。かつて、瑞泉寺

        • 【余談】旅とごはん①-由比の桜えび

           「旅において何を重視するか」については個性が出る。気の合う友人でさえも、一緒に旅に出るとそれを実感する。私は街歩きができ、資料館等を訪れられれば満足。それができないとお昼ごはんを質素にしたり、食べなかったりもする。ご当地グルメを食べたい友人に言わせれば、「あり得ない」の一言。街並みが気になっていたからしょうがない。  そんな経緯もあってか、余裕のあるときはリサーチし、腰を据えて食べるようにした。この余談では、旅先で食べたご飯等をまとめて行こうと思う。  静岡県は由比を歩い

        秋葉街道の宿場町、水窪

          夏を求めて街歩き(終)【香美町香住区】

           間人を歩いた後はというと、何も決めていなかった。逆に、どうしようかといった感じだった。時間はお昼を過ぎようとしている。街歩きするにしても、あと1つが限界。それも、巻きで歩かないといけない。久美浜、竹野、香住…目星をつけた中で、香住を歩くことにしたのだった。  香住区に到着したのは夕方前だった。  香住区について情報収集をしていると、レンタサイクルをしていることがわかった。時間があまりない自分にとって、僥倖だった。駅前の観光協会へと急ぐ。電動自転車を借りると、すぐさま街へと

          夏を求めて街歩き(終)【香美町香住区】

          夏を求めて街歩き③【丹後エリア】

           宮津、加悦と訪れて間人を訪れるつもりだった。しかし、太陽は入道雲に吸い込まれそうになっている。チェックインを早めにしたこともあり、宿へ向かうことにした。    突然、今まで過ごしてきた夏がフラッシュバックしてきた。それらを受け止めつつ、今こうして一人街並みを歩く自分のことを考える。寂しさとも虚しさとも言えない塊がふっと胸に落ちてくる。それでも、歩くしかない。今後も思うように歩いて、見たいものを見て、時々悔やんで、それから考えればいい。そうでありたい。夏の夕暮れどきは、色々な

          夏を求めて街歩き③【丹後エリア】

          夏を求めて街歩き②【丹後エリア】

           名残惜しくも宮津市を後にし、次に訪れたのは与謝野町加悦。ずっと「かえつ」と読んでいたが、正しくは「かや」。加悦は、絹織物(上品で光沢のある高級織物)の生産で有名。ここで生産された絹織物は、「丹後ちりめん」と呼ばれる。加悦の街には、それによって財を成した商家、邸宅等が立ち並ぶ。そんな街並みに興味を持ち、加悦を歩くことにした。    街について早々、旧加悦町役場庁舎がお出迎え。モダンで立派な佇まいを見ると、これからの街歩きに心が踊る。  町並みの案内看板を確認し、回れ東。少し

          夏を求めて街歩き②【丹後エリア】

          夏を求めて街歩き【丹後エリア】

           夏は不思議な季節だ。見慣れたはずなのに、新鮮さとどこか懐かしい気分を連れてくる。眼の前に広がるすべてが雄大で、言葉も出ず、圧倒される。そんな夏の景色が今も大好きだ。その景色の中でも海は無性に行きたくなる。夏の青をこれでもかと浴びると、どこか感傷的な気持ちになってくる。その気分のまま、ぼーっと過ごせばもう至福のひとときだ。  そんな気分を味わいたかったので、8月の下旬、夏も終わってしまう前に海へ向かうことにした。一口に海辺と言っても色々ある。今回は、以前から気になっていた間人

          夏を求めて街歩き【丹後エリア】