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夏を求めて街歩き(終)【香美町香住区】

 間人を歩いた後はというと、何も決めていなかった。逆に、どうしようかといった感じだった。時間はお昼を過ぎようとしている。街歩きするにしても、あと1つが限界。それも、巻きで歩かないといけない。久美浜、竹野、香住…目星をつけた中で、香住を歩くことにしたのだった。

 香住区に到着したのは夕方前だった。
 香住区について情報収集をしていると、レンタサイクルをしていることがわかった。時間があまりない自分にとって、僥倖だった。駅前の観光協会へと急ぐ。電動自転車を借りると、すぐさま街へと飛び出していった。

 手に入れた機動力を最大限使おうと思い、小高い場所にある公園、岡見公園を目指すことにした。この場所は、見晴らしがよく、海を一望できそうだった。

岡見公園へと向かう道


 街歩きにはないスピードで視界が変化していく。体を駆け抜ける風が心地良く、自転車通学を思い出すようだった。
 途中の坂道も難なく駆け上がり、無事到着。求めていた青が一面に広がっていた。岡見公園にはカフェも併設されているようで、海を見下ろしながら談笑されているお客さんが何人かいた。

坂を駆け上がった辺りで一枚

 その先へと進むと、見えてきたのは香住天文館。5月から11月の間の第2、第4土曜日に開館しており、午後7時30分から午後9時頃までの間で観望可能なようだった。
 自分の旅は、訪問場所を詰め込みすぎることが多い。まさに、この旅が良い例だった。だから、「ゆったりと何かを楽しむ時間」が欲しいなと前々から考えていた。具体的には、ソロキャン、釣りを考えていた。だが、ここに来て、星を見ることもそれに当てはまりそうだと気づいた。まずは天体についての博物館等に行ってみようかな?

香美町立香住天文館

 その後はというと、時間の許す限り街を散策していた。路地に潜ったり、来た道を戻ってみたり。普段よりもスピードが早い分、何も見落としたくない緊張が強かったように思う。
 街を走っていると、所々に見えるカニの看板。旅館も、鮮魚店もカニを推しているようだった。旬は秋冬あたりだったので、間人も含めて冬に再訪する必要がありそうだ。寒い冬にあったかい部屋でカニをたくさん食べたい…。

路地からの一枚
印象的だった建物

 観光協会まで帰ってきた。疲労が波のように押し寄せてくるのを全身で感じる。けれども、心地の良い疲れで、今週も旅ができた満足感でいっぱいだった。
 
 今年の夏も相変わらず暑かった。歩くと言葉を失ったように「暑い」と呟いていた。だとしても、数ヶ月すれば呟く言葉は「寒い」に変わる。夏の暑さは今だけ。冬には、その暑さを思い出すことすら難しくなる。そう思うと、夏を求めたくなるのだった。そういった意味では、求めていた夏を十二分に感じられた旅だった。
 
 こんなことを言ってはいるものの、冬は苦手。冬の寒さも夏には思い出せないのにね。今年は街歩きを通して、冬がちょっと好きになれたらいいな。

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