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街にあふれる建築美【富山県小矢部市】

 「メルヘン建築」。富山県は小矢部市にあふれる西洋風建築物群の名称だ。色合い、用途も様々なメルヘン建築は、小矢部市に30以上もある。そんなメルヘン建築を一目見ようと小矢部市を訪れたのだった。

小高い場所から見える小矢部市立石動中学校

 時間の関係上、ある程度建築物が集まる場所へ行くことに。事前に調べたルートだと、5つのメルヘン建築に出会えそうだ。
 まず目に入ったのは、小矢部市立石動(いするぎ)中学校。スイス中世の城をモデルにしているようだ。遠くから目立つ時計台は、英国の国会議事堂ビッグベンを模している。一階のピロティは東大法学部がモデルのようだ。
 メルヘン建築は、それぞれにモデルにしている建物があるようだ。建築物に詳しい方は、モデルの建物もわかるかもしれない。「富山県小矢部市観光協会」のホームページでは、モデルとなった建物が何かを解説してくれている。気になった建物は調べてみると参考になる。

 公園の方へと歩いていくと、メルヘン建築を発見。現役で使われているかは不明だが、配水池のようだった。まるで帽子を被った人のようなデザインと色合いが素敵だ。真ん中にあるのは何のレリーフだろう?

城山配水池

  2個のメルヘン建築を訪れたあとは、石動駅へと歩いていく。次に訪れたい場所同士が少し離れていることもあり、石動駅で自転車を借りたかった。
 氏名の記載、返却時間の確認を済ませて自転車を借りる。次のメルヘン建築へと急ごう。
 
 高さも横幅も圧倒的な建物から、力強いかけ声が聞こえてくる。どうやら武道館のようだ。正面部分から見た一階の窓枠、半円のついたポーチ部分、2階部分が調和している正面が好きだ。3階まで備える立派な建物だった。

【正面】小矢部市武道館
【側面】小矢部市武道館

 次は、こちらの公民館。鮮やかなオレンジと、緑の塔屋がアクセントになっている。正面から見ると、左右対称のデザインがとても綺麗だった。

松沢公民館

 そろそろ帰宅がちらつく頃に訪れたのが、小矢部市立大谷中学校。周辺が田んぼということもあり、遠くからでも十分すぎる存在感を放っている。距離を縮めていくたびに言葉を失う。凄すぎる。学校を構成するすべての建物が素敵だった。

 そもそも、なぜ小矢部市には素敵なメルヘン建築が点在しているのか?その理由は、故松本正雄氏が市長を務めていた1972~86年に、メルヘン建築がたくさん建設されたから。市長には、「市民が夢を持てる地域のシンボルを」という想いがあったそうだ。(富山県観光公式サイト富山観光ナビ 『小矢部にメルヘン建築がたくさんある理由は?』を参照。)
 
 メルヘン建築の熱も冷めやらぬまま、石動駅へと戻ってきた。今日だけですごい満足感だ。観光協会の方に、「今日はメルヘン建築たくさん見てきたんですよ」と話すと、「私も田んぼから見える小矢部市立大谷中学校が好きでねぇ」と話してくださった。その後はメルヘン建築について、お話が進み、今度はどこへ行こう?と考えを巡らせていた。

 知らないだけで、面白い地域・旅先はいくらでもあるんだとこのときも実感。だって、数週間前には、メルヘン建築の存在すら知らなかったのだから。探して歩く、そうすれば今後も楽しい旅が広がっているに違いない。そう考え、旅の計画を練るのだった。

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