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「西の魔女が死んだ」

皆様こんばんは、今日も一日お疲れ様でした
今日は、突然冬のような冷え込みにびっくりしましたね
秋気分に浸っていたら、気づかないうちに冬がやってきたようです
寒い季節は、ふわふわした服がたくさん着られるのと、寒がる動作がなんだか可愛いので、私は好きです。

今日は、「西の魔女が死んだ」という本を紹介しようと思います。

「西の魔女」、とはもちろん本物の魔女ではない
中学生になって間も無く、「友達づくり」に馴染めず学校を遠ざけるようになった少女まいは、季節が初夏に近づく1ヶ月間、「西の魔女」の住処で暮らすことになる。
「西の魔女」の正体は、母方の祖母のこと。
祖母は、もともとイギリスの出身だが、日本付きの父からの縁で日本人の祖父と出会い人生を共にする。
祖父を先に見送り、今ではまいが祖母がイギリス人であることを忘れてしまうほどに流暢な日本語を話し、また日本人の”心”がしっかりと根付いた淑女となった。
彼女は、降り掛かってくる自分にとって嫌な感情は、お断り。
    自分の手で、自然を愛し、命を食し、今を全身で生きる。
まいは、そんな祖母と暮らす中で、「自分の足で生きる訓練」いわゆる「魔女修行」をして過ごす。まいは祖母との1日1日で、祖母と、そして彼女自身と向き合い成長していく。
一方で、祖母の娘である、まいの母は仕事人間で、自分にとって理解のできないような生き方をする祖母を反面教師と見做し、嫌味を込めて「魔女」と呼ぶのだった。

物語は、そんな「西の魔女」の訃報から始まる。
「西の魔女が、死んだ、、」
不穏な兆しに、尻込みしてしまいそうだが、この物語で伝えたいのは「死の恐怖」などではない。
誰も経験のしたことがない「死」を恐ろしく思っているまい。そんな孫の姿を見て、西の魔女は毎日を自分の体で誠意一杯生きた先に待つ「エスケープ」の意味を、身をもって伝えてくれたのだった。

作中では、自然や生命の描写が、作者の豊かで繊細な言葉で色付けされ、「西の魔女」の暮らす景色を舞台にその移り変わりががありありと想像される。
未来への希望が持てない現代。社会の核家族化を経て、コロナウイルスのパンデミックが「個別化」に拍車をかける。家から外に一歩出れば広がった、かつての人情や風情は、もう過去のものとなった。
ネットを通じて瞬時に世界的な広がりを掌に得られるようになったけれど、今の若者が切望するのは「リアルな温かみ」「生きている実感」なのかもしれません。
毎日から色が抜けたように感じた時、孤独に飲み込まれそうな時に、「生きている彩り」をじっくり思い出させてくれる、お味噌汁のような本です。

冬の寒さに、思わず寂しさを感じた時、是非読んでみてくださいね。

さあ目を瞑って、大きく深呼吸して囁けば、そこはあなたの 「エスケープ」


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