虎に翼 いつの時代も子供が犠牲になる
久しぶりにNHKの朝ドラを見ている。
『虎に翼』
あまちゃん以来だ。
今は戦争孤児の話である。
戦争孤児については映画やドキュメンタリーで見ているが、朝ドラを見て改めて知りたいと思いいくつかのドキュメンタリーを見てみた。
その前に。
25年前に亡くなった私の父はシベリア抑留者である。
私の年齢(還暦)で父親が戦争体験者であるのは珍しい。私は3人兄弟の歳が離れた末っ子で父が40歳の時に生まれた子だからである。
小学生の時、父親の年齢を言うのが恥ずかしかった記憶がある。
父は戦争体験や過酷なシベリア抑留について少し笑わせながら私達に話してくれた。
ただ、私の友人が家に遊びに来て夕飯を一緒に食べた時などに戦争の体験談を話し始めるので困ることもあった。
私の世代では戦争体験者は祖父にあたるので、戦争の話を聞いた事がない友人ばかりだった。嫌々聞いていた子もいた。
思い出したくもない辛く苦しい経験だったが、あの悲惨さを繰り返して欲しくないから若い子達に伝えていくと言っていた。
話す事で、父親自身の価値を見出しているようにも見えた。
だから、私は戦争の話には抵抗がない。
話は戻って。
NHKスペシャル「“駅の子”の闘い~語り始めた戦争孤児~」20180812を見た。
当時、戦争孤児は120万人以上いたと言われている。
体験者の方のお話は悲惨なものだった。
国はおにぎり一つ配らなかったと訴えている方がいた。
戦争孤児は野良犬のように扱われたと訴えている方もいた。
大人の責任を訴えている方もいた。
何故私達がこうなったかを大人達は知っていたはずだと訴えている方もいた。
食べ物や服などが欲しかったわけではない、ぬくもりが欲しかったと訴えていた。
命を落とした子供達もたくさんいた。
戦争孤児の子達は戦争孤児の子達が亡くなっていくのを目の当たりにしていたのである。
大人が起こした戦争の犠牲者は子供達で、戦後の復旧を加速する為か浮浪生活を強いられた子供達は後回しにされた。
もちろん、子供達を助けた素晴らしい方達もたくさんおられた。
戦争の犠牲者は子供達である。
いや戦争に限らず社会の犠牲者は子供達であると思った。
今も、子供達は不条理な社会の犠牲者になってはいないか。
ドキュメンタリーを見ていて、親を亡くし浮浪生活を強いられる子、一方で戦後の復旧が進み生活が良くなっていく子、両者が同時進行で起きている社会はとても不快で、それは今も変わっていないように感じた。
形は違うが今も子供達は、いじめや不登校、虐待、教育や生活の格差が生まれ、様々な不条理で苦しんだり人生を諦めたりしていないだろうか。
戦争や社会の不条理で犠牲になるのはいつも子供達だ。
子供達が選択肢を持って平等に教育を受けられるようにする事が、大人達が最低限やるべきではないだろうか。
いや、大人だって40代50代60代になってから本当にやりたい事が見つかっても、仕事があるから動けずに諦めてしまう人は多いだろう。
もちろん踏ん張って動く人もいるが、勉強したくなった時、誰にでもチャンスが与えられる社会であってほしい。
以前、パックンがTVで話していた。
自分は母子家庭で育ち、お母さんに苦労をかけたと。でも、お母さんも苦労する中、大学に行ったと。
勉強したい事が見つかったら、いくつになっても誰でもその門を叩くチャンスが与えられて、その間、仕事が減ったりなくなっても不安なく生活していける、そんな社会であってほしいと思う。
チャンスは平等に、個人の努力はその後ではないだろうか。
ドキュメンタリーを見て思った事がある。
それは、映画やドラマではなく、体験者の話を聞くのが一番良いという事。
綺麗事がなく事実を話してくれるからだ。
言葉だけでなく、目などの表情からも当時の状況や感情が読み取れる。
何についても実際に体験した方のお話は、上辺だけではなく、奥が深く、凄みがあって、優しさもあって、人間味があって、とても惹きつけられる。
やっぱり事実に勝るものはない。
朝ドラからもう一度知りたくなった戦争孤児についてのドキュメンタリーを見た私の感想でした。
是非、NHKスペシャル「“駅の子”の闘い~語り始めた戦争孤児~」20180812
おすすめです。
事実がわかります。
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