この時代にフロイトを読む意味
私が初めてフロイト全集を手に取ったのは、大学4年生の春休みだ。
心理学の授業で「大学に来て心理学を学んでいるんだったら、フロイトくらい読んでおいたらどうですか」とある教授が言った。その教授はとてもシャイな人という印象があった。その先生がかなり感情を込めて「フロイトくらい」と半笑いで言ったことが妙に心に引っかかり、図書館でとりあえず全集をコンプリートしようと思いたった。当時の私は将来の道を試行錯誤しており、何か自分の指針になるものを探していたのかもしれない。海外旅行に行く友人に