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持続可能

渋谷の東急東横店が2020年3月31日に、東急本店が今年の1月31日に営業を終えました。
新宿では2022年10月に小田急百貨店の新宿本館が営業を終了し、2029年度を竣工予定とする新たなビル建設が始まり、また、2040年代の完成を目指した西口地域一帯の開発が進められています。
池袋ではこの8月31日に「そごう・西武」の労組によるストライキが実施されました。
全国でも百貨店、デパートの閉店が相次ぎ、また、都心では大手家電量販店がテナントとして入るなど、デパート業界は岐路に立たされています。

私が子どものころは、近所に米屋、肉屋、魚屋、八百屋、豆腐屋、酒屋、電気屋、洋服屋、本屋、金物屋などがありました。
なんでも売っている「萬屋」(よろずや)も1軒だけありました。
「なんでも」ったって、主な食料品だけでしたけどね。
お若い方々は、そんなに何軒も回るのは大変だったろうと思われるかもしれませんが、それが当たり前でしたからね。
それに、今、思うと、そんなに何軒もで買い物をしていたのに、両手いっぱいにレジ袋を下げてなんてことはありませんでした。
自転車もなかったので、歩きでしたし。
その日に必要なものだけを毎日買っていたのでしょう。
冷蔵庫、なかったですから。

そのうちに「スーパーマーケット」というものができて、1カ所でいろんなものを買えるようになりました。
スーパーのおかげで閉店を余儀なくされた地元の商店も多かったです。

そして、さらに規模が大きな百貨店が一般的になり、よく親に連れられて新宿へ行ったものです。
帰りには決まって三平食堂で食事をし、二幸(今のアルタです)でピロシキでした。(笑

そんな時期がしばらく続いて、セブンイレブンが登場したのは高校生のころですから、1970年代ですね。
それまで小売店もデパートもだいたい朝10時ころから夕方6時ころまでの営業だったところに「朝7時から夜11時まで」は大きな驚きでした。
「開いててよかった」が売り文句でした。

コンビニはみるみる普及し、7~11だけでなく、24時間営業となってゆきました。
宅配便の普及もこのコンビニの発展に手を貸したでしょう。
そして、インターネットの普及とともにネット販売が始まり、現在に至っています。

小売商というものがいつからあったかは知りませんが、何百年も続いてきたものが、私の中での60年ほどで一気に変わってしまいました。
長いようですが、それまでの時間を考えれば、あっという間ですね。

外へ出なくてもなんでも買える時代。
デパートの売り上げが減るのは当然のことでしょう。

これから先、小売業はどのようになってゆくのでしょう。
その中でデパートの役割も変わるはずです。
これまでの自分で仕入れて売るという形でだけはなく、テナントの比率を増やすのも一つの形かもしれません。
しかし、すでにいくつかの例があるように、大手家電量販店が売り場面積の多くを占めるようになったら何が起こるでしょう?
これまでその売り場に立っていり商品を仕入れていたりした社員たちは、いったいどうなるのでしょう。
そのデパートの「企業」という書類上の形は存続するかもしれませんが、そこで働いていた従業員の働く場がなくなってしまうとしたら、それは企業が「存続」していると言えるのでしょうか?

小売業に限らず、大きな、かつ、素早い変化が求められている現代。
何ごとにつけ、一つのことを継続するのが難しくなっています。
最近、「持続可能」という言葉が安易に使われていますが、何をもって「持続」というのでしょう?
私たち一人一人が、中でも特に企業経営者は真剣に考えなくてはならないと思います。

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