『格差の起源』 読書記録 / 第1部 「うわ…マルサス説…強すぎ…?」
こんにちは。こーだいです。
今回は久しぶりに読書感想文を書いてみようかなと思います。
拙い文章ですが、読んでいただけると嬉しいです✋
1,この本を読もうと思った背景
僕は大学では経営学部に通っているのですが
企業経営を考える上で、人々のニーズであったり、欲しているものを考える時間が多いのです。
その中で僕は、「企業は結局お金儲けのために存在しているのではないか?」と考えるに至りました。
まあ、これに関してはその通りだと思いますし、どれだけ企業が綺麗事を述べてもこの事実からは逃れられません。
お金儲けというのは資本主義本来の形でもあります。
そして『資本主義=自由』という肩書きも間違ってはいないですし、実際にそれで財を成す人もいます。
しかし、歴史は勝者が記すものです。
資本主義の良い面だけがクローズアップされ、格差を産んでしまうという負の側面は皆忘れがちです。
大元の『格差』という問題。
これはなぜ発生してしまうのか?
改善する方法はないのか?
様々な事を考えている時にこの本と出会いました。
2,内容
現在のように格差が大きく発生したのは、資本主義が産声を上げた、産業革命期以降です。
『産業革命以降の数百年で大きな格差が発生した。』
この事実は学生時代に、みなさん教科書で学んで頭に入っていると思います。
僕自身もそのように記憶していますし、その歴史自体に疑問を抱いたりしませんでした。
しかし、少し角度を変えて考えて見てください。
『人類の歴史はこうも長いのに、なぜたった数百年で社会は大きく変容したのか?』
こう考えるだけで多種多様な疑問が発生します。
なぜ短い期間でこんなに繁栄したのか?
産業革命以前にも様々な改革があったが、なぜ産業革命のみ爆発的に発展を促したのか?
そもそも何がこのような経済成長を促した?
この本ではこの疑問を2章に分けて考えています。
第1章:何が成長をもたらしたのか?
第2章:何が格差をもたらしたのか?
〇 第1章 何が成長をもたらしたのか?
この本を通して考えの軸にあるのは『マルサス説』です。
18世紀のイギリスの牧師、トマス・マルサスが出版した「人口論」の内容に基づくのがマルサス説で
上記が内容になります。
とても悲観的な説です。
しかし、これが人類の発展の歴史を端的に言い表したものであることは疑いようがありません。
本書では、このマルサス説が正しいのかどうか、具体例を多く用いて考察しています。
例として挙げるのは、アイルランドです。
14世紀当時のヨーロッパ全土は、中国で発生した黒死病が猛威を奮って、いわば壊滅状態に陥っている状況でした。
生活を担う農夫が多数死に、農業に携わる人間が減って行き、地域経済は大きな打撃を受けます。
しかし、この農奴の減少は良い影響も及ぼし、
自分の労働力に対する需要が上昇したことで、農奴が力をつけるきっかけにもなりました。
加えて
人口が激減する一方、収入は2倍に増加
収入の増加による生活水準の上昇
生活水準の上昇による死亡率の低下
これらの正のスパイラルを引き起こし、
ついにヨーロッパは300年も経たない内に、黒死病流行前の人口水準に至りました。
その後に訪れたのが『大航海時代』。
アイルランドでは、アメリカ大陸からジャガイモが流入し、生活に欠かせない食材に。
アイルランドの気候が栽培に適していたことから、更に農民の収入が増加し、生活の質も大きく上昇。
正のスパイラル×正のスパイラルが発生し、人口は140万人から800万人に爆増します。
しかし、マルサス説の通りこの発展は長続きしない運命にありました…。
人口が膨れ上がりすぎたことで、アイルランドの経済事情が悪化。
のちにアイルランド大飢饉が発生。
アイルランド経済は大きな打撃を受けました。
このような3世紀をアイルランドは過ごしましたが、
長期的に見れば、生活水準には大きな影響が出なかったと言えます。
このように、マルサス説の負のスパイラルは相当強いです。
今はアイルランドだけの具体例ですが、この本では世界各地、各年代の例を挙げ、マルサス説を補強しています。
『え、、これ、、抜け出せるん、、??』
と、読んでる時に思うぐらいマルサス説が強い。
激強です。
しかし、絶対であったはずのマルサス説の負のスパイラルを抜け出すきっかけが遂に現れます。
イギリスで起こった『産業革命』がそれです。
もし当時、マルサスさんが生きていたら、
「いやいや…そんなもんスグ終わるて…」ってなってます絶対。マジで。
負のスパイラルが強すぎますもんだって。
ではなぜ、
産業革命は他と違って、長期的な発展をなしとげられたのか?
それは人類が長い間、知らず知らずに積み上げた、
水面下でうごめく、嵐があったのです…。
第2部 coming soon…
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