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【シリーズ第34回:36歳でアメリカへ移住した女の話】

 このストーリーは、
 「音楽が暮らしに溶け込んだ町で暮らした~い!!」  
 と言って、36歳でシカゴへ移り住んだ女の話だ。
 前回の話はこちら↓

 「誰かが訪ねてきても、絶対にドアは開けるな」
 
 「夜遅く出歩くな」
 
 「俺が留守してることは、誰にも言うな」

 彼は、この注意事項を何度も繰り返し、ヨーロッパツアーへ旅立って行った。

 「着いたら連絡するからな!」

 と言っていたはずだが、到着した瞬間に、私のことは忘れたらしい。


 かかってこない電話を待っていても仕方がない。
 私は、大好きな部屋を綺麗に片付け、ひとり暮らしの喜びに浸っていた。
 もうひとつ、私がしたことは・・・

 アルバイト探し!


 オークパークへ引っ越したからには、やはり職場はダウンタウン🎵
 とはいえ、私にできることは限られている。
 できそうな仕事・・・

 ダウンタウンのレストランに、履歴書をばらまいて歩いた。
 
 数日後、ひとつのレストランから電話がかかってきた。
 ダウンタウンの西の端、ウェスト・ランドルフ・ストリート沿いにある、”明治”レストランだ(今はクローズしています)。

 オーナーのアランは、

 「明日面接に来て」

 と言った。

 約束の時間に店へ行くと、従業員の美しい女性が、私を店内の角のソファに案内してくれた。
 ソファに座り、周囲を見回した瞬間に気付いた。

 「ムリだ!」

 当初はウェイトレスで応募していたけれど、この雰囲気からすると、客はハイソなアメリカ人に違いない。

 片言の英語しか話せない私が、ウェイトレスとして役に立つとは思えない。

 しかーし、私は働かなければならない!!!


 このチャンスを逃したくなーーーい!!!

 「ハロー、ゆみこ!
 君はウェイトレス希望なんだよね!」

 アランがにこやかに近付いてきた。
 彼はアメリカで育ったのかな?
 チャイニーズだけれど、英語がペラペラだ。
 
 履歴書を取り出したアランにただちに言った。


 「私の英語では、ウェイトレスはムリだと思います!!
  皿洗いでもいいので、雇ってください!!!」


 
 飛びかかるように言った私にびっくりしたのか、アランはしばらく私の顔を見て、次に履歴書を見た。

 そして、

 「ペイストリーシェフ(お菓子職人)のポジションに空きがあるけどやってみる?
 君は日本で栄養士をしてたみたいやし、できるやろ?」

 ・・・この人は、栄養士なら皆、お菓子が作れると思っているのかもしれない。
 なんとも無謀なオファー。

 しかし、これを逃したら、私がペイストリーシェフのポジションを得る機会なんて一生ない。

 

 「できます!」

 


 ペイストリーシェフのポジションをゲットした😁

ファンシーレストランでペイストリーシェフになる図


最後まで読んでくださってありがとうございます!頂いたサポートは、社会に還元する形で使わせていただきたいと思いまーす!