マガジンのカバー画像

小説

62
10字以上10000字未満
運営しているクリエイター

2024年1月の記事一覧

[短編] 結婚

祖母の見舞いに行った。母親の話ではそう長くはないらしい。病室には特有の諦めと、死を受け入…

丸膝玲吾
6か月前
9

[短編] ガム

ガムが飛んだ。嘘ではない。本当に。机の上に置いたガムが、飛んでいった。 私の勉強のお供、…

丸膝玲吾
6か月前
5

[短編] 断層

暗記をしている。理解には程遠い行為を繰り返している。理解とは、地中に水が染みていくように…

丸膝玲吾
6か月前
6

[短編] 応援

応援したい人がいる。支えになりたい人がいる。彼に声は届くだろうか。槍に刺される彼を、見な…

丸膝玲吾
6か月前
4

[短編] きっかけ

引き金を引いた途端、立ち現れた。最初に目にしたのは、冬の枯れ木のように貧相で、薄い皮膚の…

丸膝玲吾
6か月前
8

[短編] ノート

「理論を頭の中で組み立てる。数式は何に変換されて脳に収まるのか。確か信号だったか。脳には…

丸膝玲吾
6か月前
13

[短編] 皮膚

必ず先端から冷える。芯が最も大事な部分だから、皮膚は見下されがち。床の隅に溜まった埃は、剥がれ落ちた皮膚が集まってできたらしいけど、それは汚らしいものであり、ゴミだ。かつて私たちであったものをぞんざいに扱うなんて酷いことだと思うのかもしれないが、過去に囚われては生きられないから仕方がない。しかし、せめてもの償いとして、今肉の表面を覆う彼らに対しては、優しく接したいから、暖房の前で手をかかげ、指先に熱を伝えた。

[短編] 日常

可能性に賭けて、夢を見て、恥をかいて、笑ってる。 可能性に欠けて、夢を満て、恥を描いて、…

丸膝玲吾
6か月前
8

[短編] 雪化粧

雪化粧を施した地面の上に雫が垂れた。葉が散った桂の枝に積もった雪は、朝日に照らされて溶け…

丸膝玲吾
6か月前
15

[超短編] 痛み

脳に親指を刺す。痛みを感じるか確かめるために、数年前から習慣となった。最近は指を刺さなく…

丸膝玲吾
6か月前
9

[超短編] 道化

それは0.01%の過ち。99.9%は見ないふり?肥大化されたマイノリティが、瞼の上に覆い被さって過…

丸膝玲吾
7か月前
11

[超短編] 喉が渇いた

喉が渇いた。ふと、この渇きは誰のせいなのかと考えた。ここ三ヶ月、毎日振り続ける雨は大地を…

丸膝玲吾
7か月前
7

[毎週ショートショート] 疲弊

私は確実に精神を病んでいる。 咳が出て肺が潰れそうだとか、八十度の熱が体を焦がしたとか、…

丸膝玲吾
7か月前
12