『店長いつもこうですよ。』
店長になってまだ2〜3ヶ月の頃、スタッフに言われた言葉です。
『店長、いつもこうですよw』
言葉からも何となく察しはつくと思いますが、かなり感じの悪い表情をして言われました。
この時の僕は店長になりたてという事もありましたが、そもそもまだまだ店長なんてレベルでもなければ、スキルもない、自分の強みが何なのかさえ何もわからないただの販売員でした。
そんな僕にこの発言をしてきたのが、3つ歳下の女性スタッフです。
いつもツンツンしていて、愛想もない。挨拶しても返ってこない。でも仕事は早く、効率も良い。
作業としての仕事は認めてましたが、社会性や協調性などが欠落していると判断していたスタッフでした。
仕事が溜まっていたので一度、僕が休みの日に出勤した事がありました。すると、店頭にいたスタッフが焦り出したのでどうしたのかな?と思うと同時に出勤しているはずの例のスタッフがいない事に気付きました。
トイレにでも行ってるのかな?くらいに思い、バックヤードで仕事をしていると、いきなりドアが開き例のスタッフが逆ギレしながら
『すみません、遅れました』
と言って入ってきたかと思えば、すぐに店頭に出て行きました。
ではなぜ、そんなスタッフにそんな事を言われたのかです。
僕はこのスタッフのいる店舗に異動して初めて店長という役職になりましたが、最初はこういうスタッフがいる事に衝撃を受けました。こういうタイプのスタッフがいる店舗で働いた事がなかったんです。
とても恵まれてスタッフ時代を過ごしてたんだなと思いました。
でも、そんなツンツンしたスタッフも今から考えると可愛いものですけどね。
若かった僕は自分の信念と会社からの指示のもとエリア内での売上最下位のその店舗の立て直しに奮闘しました。
店長なので基本的にはスタッフに色々教えないといけない立場ですが、店舗が違うとレジの操作や締め作業、その店舗のルーティン業務など、その店舗の人しかわからない事は教えてもらわないとわかりません。
前任店長には『教えるよ』と言われましたが、スタッフとコミュニケーションをとるチャンスなのでスタッフに直接聞きますと断りました。
そして、例のスタッフに教えてもらおうとすると
『店長なのにそんな事も知らないんですか?』
と言われる始末。正直なところ、これにはかなりイラっとしましたが、店長と言っても全店舗の運用ルールを把握しているわけではないと冷静に伝えました。
いや、冷静なつもりで感じ悪く言ってたのかもしれません。
この事がキッカケで例のスタッフとはコミュニケーションがなかなかとれず、上手く行きませんでした。
その他のスタッフでは僕の考えに賛同してくれる方もいて、店舗が店長派と例のスタッフ派の二極化に分裂しました。
これは店長としては何とかしないといけない。
そこで一人一人ともっとコミュニケーションをとる必要があると思い、話しかける回数を増やし、話しかけ方も意識しました。
その甲斐もあって、少しずつですが例のスタッフを除くスタッフには意志の疎通が出来るようになり、まとまりかけてきました。
残るは1人。
そんなある日、出勤して挨拶をした時にいつも感じていた事を言いました。
『いつも挨拶した時、なんでそんなに表情暗くて無愛想なん?』
そして返事が
『店長いつもこんなんですよw』
でした。
確かに初めての店長で初めてのスタッフ、知らない土地、うまくいかない店舗運営などでストレスMAXの状態で、出勤時は常にしんどい顔をしてました。
店舗に着き、バックヤードに荷物を置くまでは負のオーラ満載。出勤時間になり店頭に出たところからスイッチオン。
自分ではオンとオフの切り替えをちゃんとできてたつもりだったんですが、例のスタッフに限らず皆は出勤してバックヤードに入る時の僕を見ていたという事でした。
僕は『それは申し訳なかったです。今後は僕も注意していくので見といてくださいね。じゃぁ一緒にそこは直していって、良い雰囲気のお店にしていきましょう』と伝えました。
例のスタッフも僕がそう反応するとは思っていなかったらしく、少し戸惑いながら了承してくれ、少しずつですが改善されていきました。
この経験はその後10年以上、店長という職種をしていく上でとても貴重な経験になりました。
アパレルやお店などに関わらず、部下というものは上司に少なからず不満を抱えています。
でも直接いう事はなかなかできない、誰かに聞いてもらいたいけど話したところで愚痴になるだけで何も解決されない。
そんな悶々とした中、意を決して上司本人に直接伝えたのに聞いてくれない、考えてくれない、最悪の場合は逆ギレして感情的に怒ってくる。
こうなると何も良い事はないですね。
でも、こんな態度をとる上司が多いように思います。
僕は店舗という小さい集団でも、自分が任されてそこのトップに立っているなら、皆で協力し合って成長していき、成果を出したいと考えていました。
スタッフや部下は本当に上の人間をよく観察しています。誰かの上に立つ方達は常に『見られている』意識をもって行動しないといけないですね。
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