観劇記録 No.1

東京芸術座様 「12人の怒れる男たち

2024年8月30日(金)浪切ホールにて、岸和田高校芸術鑑賞会の感想

いつの間にか105分経ってた。記憶が褪せないうちに今の感想を書きたくて足早に電車に乗りました。
前半、誰がどの声を出しているか分からないところで身体を上手く使って「今、私が発言者です」感を出していたために、クライマックスの方になって、全員ほぼ座っている状態でも声だけで誰が話しているのか分かるようになっていて集中して観ることが出来ました。その中には役者さんそれぞれのキャラ作りが丹念にされたものが込められていて、他にも声色の違いなどから、そのキャラクターを起たせるような丁寧さを感じました。さらにその動きがあったことで口では話しているものの全員の後半の疲れや全員が議論に真剣になる姿が感じられました 。
舞台装置、円卓を囲んでの椅子の配置で後ろを向く人が居る中、後ろを向いている人が話す体勢に入ったり、周りに散っている三席に移動したりして前に声を出せる状態を作ったりするのが自然でした。背景のウォール街の景色をラストシーンにだけ使うの、めちゃくちゃ贅沢な使い方で、その一瞬だけなのに舞台芸術の底力的なものを一気に感じられてゾワっとしました。
自分は自分の興味の方向もあり、観劇をすると、舞台装置や役者さんの動きなどに目が行き過ぎるのと、完全同時のダブルワークができないので、「この劇を見てこれから私はこうしようと考えた」的なことは劇中に考えられていないし、書けないのですが、マジョリティに染まっていく空気がとても面白く感じました。レスポンス、話を聞く姿勢からも場が変わっていく雰囲気が出ているうえに、投票・挙手してハッキリと話に区切りをつけて新しい話を展開していく、ずっと同じ議論を同じ場所でしているはずなのに何故か飽きない。その理由は前述した空気作りから来ているのかなと思いました。
原作は映画とのことですが、陪審員という色々なジャンルの大人たちが裁判所に招喚されて見知らぬ被疑者が有罪か無罪かを議論するという中で、合理的な考えよりも自分の感情が先行してしまったり、自分の偏見をもとに自分の意見にしてしまったりする。そんなところに人の弱さが滲み出るこの題材、面白いなと思いました。
何気に難しい、(というか自分は一番難しいと思う)役者さんの他の人の話を聴いているときの姿勢や仕草、とても自然でかつ、視線が発言者に誘導されて集中しやすく、二人が会話しているときの他の人の視線移動にも違和感なくこなされていて、感動しました。(自分はどうしてもギャグ調になってしまうんです…)また、翻訳調で漢字熟語が多めのセリフをあたかも普通の標準語のように違和感なく話されていてかつ世界観が作られていて、ニューヨーク、ウォール街らしいクールで渋い混沌が表現されているように感じました。
自分は残念ながら、二階席の最後列からの観劇でした。しかし、この劇に没頭することができました。

自分の中で、舞台装置も含めて、空気感、雰囲気が特に格好いいなと思いました。自分も演劇に関わらせてもらっている者として、こんな空気を作りたいと強く思いました。

本日はこのような貴重な機会をいただいて、東京芸術座様には感謝を申し上げます。

拙い文章ではありますが、
読んでいただきありがとうございました。

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