きっと_うまくいく

てんの就活哲学-part4:就活垢をアップデートせよ。・第二章後編

こんにちは。
スト缶飲んで番組観覧、20卒ツイッタラーの"てん"です。
先日のnoteはいかがでしたか?
今回はいよいよ最終回、

1. The UPDATEの討論に対する説明と補足
 ①ニューエリートの就活について
 ②その他質問者による討論について
2. あの夜、僕が伝えたかったこと
 ①就活における学生側の課題
 ②就活における企業側の課題

の第二章後編について書いていきます。
それでは早速行ってみましょう。

2. あの夜、僕が伝えたかったこと

②就活における企業側の課題

ここでは、まさに箕輪さんとの激論を生んだ、就活市場における「企業の優位性」について書いていきます。

結論から先に申し上げると、“企業と学生を対等にする”こと自体が主張だったのではなく、「対等でないことを前提としたときに生まれている歪みを放置することが課題」だということです。

その理由は、学生と企業の両者が不幸な状態にあると考えるからです。
ここでは、「学生目線および企業目線から見た就活市場」、そして我々学生が「現状の課題に対してできること」について順に書いていきたいと思います。

学生目線から見た就活市場

ここで再び「ニューエリートが求められる世の中」と「システムを無批判に受け入れる」という話が絡んできます。
皆さん、覚えていますでしょうか?

ニューエリートについて、今一度おさらいしておきましょう。
・変化が激しく正解のない時代だからこそ、自らで問いを立て、解を見つけようと主体的に行動できる
自分のやりたい/やるべきことを大切にする
このような要件があったかと思います。

そして、ハンナ・アーレントが述べた「悪とは、システムを無批判に受け入れることである」という主張もあわせて思い出してみてください。

そこに対して、現状の就活はどうなっているのでしょう?
答えは明白ですね、「システムを無批判に受け入れている状態」です。
これは、ニューエリートの要件である「自ら新しい枠組みをつくること」に大きく反するとともに、いつか大きな悲劇を招きかねません。

では、なぜこのような状況が続いているのか?
その答えの一つが「企業の優位性」にあると僕は考えます。(この表現が僕の言わんとすることを適切に表しているかは微妙ですが)

皆さんの就職活動を振り返ってみてください。
ものすごく高圧的な面接官の方や、選考官にアピールするためだけのグループディスカッション、嘘で塗り固められた志望動機...等々。
(たまに話題にあがる、学生の弱みにつけ込むような人事や採用支援の方の存在もここに含まれるかもしれません)
皆さんの中にも「めっちゃわかるわ~(笑)」と思われた方がいらっしゃるのではないでしょうか。

採用において、企業の選考官は学生を評価する立場である上、多少の失敗が個人の人生を大きく狂わせる可能性は低い。
一方で、就職という場面において学生は、自分の人生を賭けた大一番の勝負に直面しているわけですよね。

加えて、世の中の”人気企業”という謎のランキングが、「この会社に入らないとおしまいだ」と学生たちの目を曇らせてしまっていると思います。
入社することだけが目的になり、自らを偽って選考に臨む学生は数知れません

このような状態のことを“企業優位”であると番組中に表現しました。

確かに、構造上ある種の“仕方ない”部分であることも否定はできません。
しかし、「世の中から“良い”とされた企業を盲信し、入社するためだけに企業から良く見られようと精神をすり減らす」これって本当に幸せなんでしょうか?

もちろん、そもそも“働く”ということに対して完全に割り切っているのであれば、それでも幸せだという方もいらっしゃると思います。
一方で、世の中のブランドや評価を気にして入社し、思ったよりもその“正解”が確からしくないことに気づいて悩む社会人の方々とも多く出会ってきました。

人生100年時代と言われる今、これから先の何十年という時を、好きでもないことで消費し続けるのか。
そのことについて、このnoteが一度足を止めて考えてもらうきっかけになれば幸いです。

※「ブランド」に関連して一つ余談です。
皆さんもご存じであろう、フリードリッヒ・ニーチェ(ドイツの哲学者、古典文献学者)が提示した『ルサンチマン』です。
これは、弱者が強者に対して抱く嫉妬心のようなものを表す概念です。
そして、この嫉妬心が認識能力や判断能力を歪めてしまうと述べられています。

このルサンチマンを解消する方法は大きく分けて二つあり、
・嫉妬心を抱く原因、対象となっている価値基準に従うこと
・嫉妬心を抱く原因、対象となっている価値基準をこき下ろすこと

高級ファッションブランドを例に説明すると、
・自らも高級ファッションブランドを買うことで一時的に嫉妬心を和らげる
・高級ファッションブランドの価値を否定し、ファストファッションの方が良いのだと主張とする
ということです。
要は、世の中で一般的に良しとされるものを手に入れられないときに、その現実を解消しようともがき続けるということです。

これをキャリアに置き換えれば、
・人気企業へ入社だけを目的として頑張る(入社後もまた新たに生まれるルサンチマンに苦しむ)
・入社できなかった企業を否定し、自分の能力不足から目を背ける(深層的コンプレックスを抱いたままファーストキャリアを歩み始める)

このような企業のブランドを頼りにしたキャリア選択では、誰も幸せにはなりません。
特に、人材が流動化する現代は、会社という縦の繋がりが弱まった分、職業という横の繋がりが強くなっていきます。
「就社」ではなく「就職」をするのだという思考によって、歪んだ自己/他者認知から抜け出すことが大切だと思います。

企業目線から見た就活市場

そして、これは学生だけでなく、企業にとっても重大な課題ですよね。

企業の今後を担う人材を迎え入れるのが採用です。
“前途有望な幹部候補生”として採用した学生が、いざ入社してみたらパフォーマンスが低いという話はよく聞きますが、これは企業にとって大きな不利益だと考えます。(僕自身もそうならないよう気を付けたいものです...)

※Amazon創業者のジェフ・ベゾスも、「ずば抜けて優れた人材なしに、業績を上げることは不可能だ」と言うほど採用に力を注いでいます。
・この人物に敬服できるか
・この人物は、採用予定のグループの平均優秀度を上げるか
・この人物には、スーパースターになれるような分野はあるか
この三つの主観的要素をもとに、経歴や減点対象となる弱みではなく、モチベーションや強みにこだわった「候補者を一人の人間として見る」採用を行っているのです。

これからの時代、必要とされ活躍するのは、ニューエリートとして定義されるような人材です。
求められる人材や、学生の志向性が変わっている今、このような人材を採用することが、企業にとっても利益に繋がると考えています。

現行の面接制度において、ニューエリートのような高い素養を持っているのか、あるいは嘘が上手いだけなのかを確実に見抜くことができるシステムが存在しているとは到底思えません。
例えば、Googleは所謂“地頭”の良い人を採用するために難解な問答を行うことで有名でしたが、実際に働く社員のパフォーマンスとの因果関係は見られないという結論を出し廃止しています。

今一度、「これまでやられていたから」だけのやり方に対し、批判的視点で見つめ直す必要があると思います。

主体性を持った学生を増やすだけでなく、そのような学生が正当に評価されるような、受け入れ側の準備も同時に整える必要があるのです。

確かに、出演者の皆さんが仰っていたように、多少”マシ”にはなったのかもしれません。
しかし、それを全て“仕方ない”と受け入れる理由にはならないですよね。

現状の課題に対してできること

このような現状に対し、アプローチとして一つ挙げられるのが、先日東洋経済でも記事化されていた「”フリートーク”より”ワークサンプル”」です。
数回の評価妥当性の低い面接ではなく、実際の就業体験を通じて総合的に学生を評価する必要があるというものです。
その分コストはかかりますが、採用は会社経営の要です。
(よく言われているのが、「営業を見ればその会社の1年後が、商品を見ればその会社の3年後が、採用を見ればその会社の10年後がわかる」というものですね)
番組最後に藤本さんが仰っていた「会社の成長のために採用をする」ためにも、目を背けてはいけない部分だと考えます。

先日、サイバーエージェントの取締役で人事領域を統括している曽山さんが「『経営と採用の一体化』が採用における課題であり、今後さらに求められるようになってくる。」と仰っていました。
ここをクリアするような採用の強化が必要となってくるのかもしれません。

そして、課題へのもう一つのアプローチが「学生側のパワーを高める」というものです。
ここに関しては、TERAKOYA(https://twitter.com/terakoya_20?s=17)を通じて取り組みたいと思っている部分です。

どういうことか説明すると、アクティブで主体性が高く、就活生に対して影響力を持った学生ユーザーを多く抱えるコミュニティを創ることで、これまでにないほど横の繋がりを強化します。
これにより、就活を「個人と組織」の関係性から「組織と組織」の関係性に変えていけるのではないかと考えています。
“一人”では対等でなくても、“みんな”なら少しは歪みを直すきっかけになるのではないでしょうか。
”個の時代”と言われる現代だからこそ、協働することの価値が高まっているのです。

企業と学生が対等になるというのは非常に実現の可能性が低いことであり、それ自体に大きな意味はないかもしれません。
しかし、この構造的課題を前提として受け入れるのではなく、その中でいかに学生および企業が改善のために邁進するかが求められるのではないでしょうか。

企業は学生のために、学生は企業のために。
騙し合うのではなく、お互いに歩み寄った採用こそが、今後の日本を大きく前進させると信じています。

以上が、僕があの夜伝えたかった全てです。
長らくお付き合いいただき、ありがとうございました。

最後に、今まさに悩み続けている就活生の皆さんへのメッセージを添えて、Endingとします。

~これから就職活動を行う貴方に向けて~

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今回の連載を通したまとめです。

世の中に求められる人物像は世の中の流れから必然的に変化している
人生に”正解”はない
企業の優位性という構造的課題が変化を歪めている
しかしそれは、一人一人の努力で変えていける

不安に思うことも多いと思います。
自信をなくしそうになる出来事に直面することもあるかもしれません。
しかし、そんなときもどうか忘れないでください。
絶対に、貴方は一人ではありません

僕があの夜、どれだけ強く批判を受けても怯まずに笑顔でいられたのは、自分の答えを信じる想いだけではなく、たまたま側にいた友人や、これまでの人生を通じて出会ってきた皆さんの存在があったからです。

以前Twitterにも投稿しましたが、『天元突破グレンラガン』というアニメに登場する、僕の大好きな言葉をいくつか紹介しておきます。
・「忘れんな。お前を信じろ。俺が信じるお前でもない。お前が信じる俺でもない。お前が信じる、お前を信じろ。
・「“もし”とか“たら”とか“れば”とか、そんな思いに惑わされんな。自分が選んだ一つのことが、お前の宇宙の真実さ。
「てめえを信じるからあいつを信じる。あいつを信じられるからてめえを信じられる。おんなじなんだ、俺にとっちゃ。」
自分を信じ、周囲の仲間を信じてください。

そして、最後に古坂大魔王さんの言葉をお借りして、結びの言葉としたいと思います。

悩み、努力を重ねた上で、それでも上手くいかないことがあるかもしれません。
そんなときには「まあいっか!」くらいの気持ちで良いんです。
そうすれば、貴方の就職活動は

きっと、うまくいく

ありがとうございました。

P.S.
今後は僕個人ではなく、TERAKOYAとしてnoteを執筆していきます。
今回の連載でご興味をお持ちになった方は、ぜひフォローをお願いいたします。
https://twitter.com/terakoya_20?s=17

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