説明上手になるために誰でもできる3つのポイント

こんにちは。布施川天馬です。

前回の記事では、「わかりやすい」説明の中に潜む危険性について確認していきましたね。
「わかりやすい」ということは、元々の説明の簡素さや微妙なニュアンスを汲み取れない恐れがあるので、時間が無駄にかかってしまったり、情報が誤解されて相手に伝わる可能性があったりするということでした。(ここも「わかりやすい」説明をしていますが、これは「捨象」というテクニックを使っています。詳しくは後ほど)

それでは、どうすれば「わかりやすい」説明ができるようになるのでしょうか。
今日はその具体的な方法について考えていきましょう。

前提条件

まず、前提として確認しておくべきことがあります。
それは、自分と相手の知っていること、知識レベルや認識のレベルについて、一致しているかということです。

知識レベルは分かるけれど、認識のレベルとは?と思われる方も多いと思うので、それについて説明しましょう。
認識のレベルとは、ある物事について、お互いに誤解していないかということです。

例えば、有名お笑いコンビのアンジャッシュさんは、お互いに認識していることが異なる(例えば、バイトの面接に来たのに万引き犯と誤解されてしまう、なんてコントがありました)状況をうまくネタにしていくことを得意としています。

例に出したコントでいうと、バイトの面接に来た青年が、その日捕まえられた万引き犯と勘違いされてしまい、青年は「自分はバイトの面接を受けている」という認識をしているのに対して、店員は「自分は万引き犯を問い詰めている」という誤解の元に話が進んでいくので面白いというものになっています。

これは笑い話ですが、しかし、同じような経験がご自身にもおありではないですか?
ある勘違いを直さなかったがために、話が全く噛み合わないという現象は珍しいものではありません。
何か説明を始めるのであれば、最低限必要な共有事項は共有してから話を始められるようにしましょう。

それでは、肝心な説明の方法について考えましょう。
今日は説明をわかりやすくするテクニックについて、3つ紹介していきます。
内容は次の通りです。

・結論から述べる
・要点を掴む(捨象する)
・具体化する

順番に述べていきましょう。

ポイント1:結論から話す!

まず一つ目から。「結論から述べる」ですね。
これは、その言葉の通りで、「長い説明を置く前に、まずは結論を提示してあげましょう」ということです。
ここでも実践していますね。

授業中に眠くなった経験のあるみなさんならお分かりになるかと思いますが、人の説明を聞くというのは、意外と体力が必要になります。
普通に話を聞くだけでも大変なのに、終わりの見えない長い話をダラダラと、面白くもない雑談を交えながら、別に興味のない分野について話されても、全く面白いわけがありません。
それは寝てしまっても仕方ありません。

これを解消するためにはどうすればいいのかといえば、「なるべく簡潔に、スタートとゴールを強調したガイドラインを示しながら」話せば良いのです。
また、途中に何度かチェックポイントとして、一区切りおいてあげると良いでしょう。

これを行うだけで、相当話の通りが良くなります。
ゴールを示すだけで、途中のチェックポイントを示してあげるだけで、全体のうちのどこに自分がいるのかを把握できるようになります。
そうすれば、あとどれくらいで話が終わるのかといったところから、そもそも何を目的として話をしていたのかといったところまでカバーできるのです。

特に後者の「目的を見失ってしまう」ということは、往往にしてあります。
私も長くて難しい話をされたり、難解な問題に直面すると、「あれ?いま自分は一体何のためにこんな作業をしているのだっけ?」と思うことが多々あります。

こうなると、大変です。
一筋縄では元のレールに戻ることができません。
一度初めから来た道を辿って来てやるのが一番確実な方法ですが、それをする時間がないことだってあるでしょう。

やはり一番確実なのは、そもそも迷わないことです。
迷ってしまったら迷ってしまったで対処法はありますが、まずは予防をしっかり行うべきです。
そして、それが常に地図(話のガイドライン)を意識しておくということなのです。

ポイント2:要点を掴む!

次は二つ目です。「要点を掴む」ですね。
これは「話の中で大事なところだけ抜き出して、そこだけを繋いで話す」というものですね。

この記事の冒頭でも実践していました。

前回の記事では、「わかりやすい」説明の中に潜む危険性について確認していきましたね。
「わかりやすい」ということは、元々の説明の簡素さや微妙なニュアンスを汲み取れない恐れがあるので、時間が無駄にかかってしまったり、情報が誤解されて相手に伝わる可能性があったりするということでした。(ここも「わかりやすい」説明をしていますが、これは「捨象」というテクニックを使っています。詳しくは後ほど)

「捨象」とは、概念を抽象化する際に、いらない部分を切り捨てて、大事なところだけ抜き出すことを言います。
ここでいう捨象は「捨象」という言葉の持つ意味それ自体が指すものではなく、捨象する際に行われる操作を指します。

どんな話にも、大事な部分というものはあります。
どこが大事になるのかはその人の主観になりますが、最低限その話を理解できるようになるレベルで抜き出すとなると、ある程度の範囲で落ち着くのではないかと思います。

例えば、前回の記事において、僕は「わかりやすい」説明が持つ危険性についていろいろな具体例を出しながら説明を行いました。
しかし、これはわかりやすくするための補助であって、これをいちいち全て説明していると、一言で言うことができません(前回の記事の中でも説明しましたね!)。

今回の記事は「分かりやすいの危険性」について語ったものではありませんが、このように、それが本題ではないのにそれについて説明を行いすぎると、話の重心がどこにおかれているのか聞き手が分かりにくくなってしまいます。

これは部分的な分かりやすさと、全体的な分かりやすさが対立してくる話であって、全体的な分かりやすさを優先する場合には、その時に重要なことを強調するために、敢えて「分かりやすい説明」を捨てる必要がある場合もあります。

この記事において重要なことは、タイトルで述べている通り、「説明上手になるための3つのポイント」です。
それ以外のことは飾りにすぎず、その飾りについていくら熱弁しても全く効果がないばかりか、逆効果となる場合さえあるのです。
ですから、飾りの部分にはサラリと触れる程度に留め、重要な部分について重点をおいて説明しておくと言うことが必要になるのですね。

それでは、重要な部分について説明をする時に分かりやすくするには、どうすればいいのでしょうか。

ポイント3:具体化する!

3つ目のポイントは、2つ目のポイントの反対に位置するテクニックです。
これは、「抽象的な説明を避け、なるべく具体例を持ち出すようにする」と言うものです。

例えば、「足し算」について簡単な定義を考えると、「複数の数を足し合わせて(加えて)合計を出す計算。」とできます。
しかし、この説明では小学一年生の子供達は理解できないでしょう。

ですから、この理解を補助するために、しばしば次のような具体例が用いられます。
「一本の鉛筆と、もう一本の鉛筆。合わせて何本?」
「僕は50円持っていて、君も50円持っている。2人でいくら持っている?」

これら一つ一つは具体例に過ぎず、本来はこれ自身が理そのものを表すことはありません。
足し算でいえば、足し算の定義に則った事象が個別の形を伴って現れるだけであり、これをみれば足し算がわかると言うものではありません。

しかし、これを考えることによって、逆説的に抽象の側の正体が判明することもあります。
先ほどの足し算の例でも、定義を言われるより、具体例を2つ、3つ並べられた方が理解しやすくなるはずです。

このように、具体例は使い方を間違えなければ、抽象的な話を理解する上で大変役に立つ武器となります。
これは自分が聞き手、読み手であるような場合にも使えるテクニックで、相手の言っていることの具体的な例を考えてあげることにより、理解を深めると言うことができる場合もあります。

ただし、これは使いすぎると、前回の記事やこの記事のポイント2で解説したような問題点、すなわち話の重心のズレが起こる場合があります。
具体例の悪いところは、それ自体は具体的な例であるにすぎず、しばしば説明を長くする要因になってしまうことです。
ですから、具体例の使いすぎには注意しましょう。

以上のようなテクニックを使えば、きっとあなたも説明上手になることができます!
説明上手は、読解力や記述力など、あらゆる国語的な力、思考力を育てるための第一歩となります。
皆さんも、今日から説明上手になりましょう!

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