日本史チャンネル(松本恵司&秦野裕介)

県立高校を退職してフリーランスに。オンライン講座で秦野裕介先生に日本史を学び、録画をY…

日本史チャンネル(松本恵司&秦野裕介)

県立高校を退職してフリーランスに。オンライン講座で秦野裕介先生に日本史を学び、録画をYouTubeに「研究者と学ぶ日本史」として公開しています。「社会人のための高校日本史」は、私が市民講座で教えている動画です。

マガジン

  • 社会人のための高校日本史

    高校日本史を社会人向けに作り直した日本史です。系図を増やして人間関係をわかりやすく説明します。人生経験のある大人が見て面白いと思うような構成にしています。日本史が好きで、教科書や参考書では物足りないという高校生なら理解できるかもしれません。

  • 京都のお寺や神社の歴史

    京都のお寺や神社の歴史を立命館大学授業担当講師の秦野裕介先生が解説します。お寺や神社に関わる人や出来事を交えた歴史です。高校の日本史では物足りないという人なら楽しめるのではないかと思います。

  • てまきねこ 670文字のエッセイ

    相生ライフというミニコミ紙に毎月一回連載しているエッセイです。670文字のなかで、読者が少し知識を得て、私が少し自己主張をして、そして、できたら少し共感しあえたら・・・

  • 研究者と学ぶ日本史

    秦野裕介先生のオンライン講座を録画した動画。鎌倉・室町・戦国時代が中心。先生は秦野裕介立命館大学授業担当講師、生徒は県立高校社会科教師の松本です。

最近の記事

高校日本史 鎖国から開国へ

「社会人のための高校日本史」は、高校の日本史をベースにして高齢者大学の日本史講座向けに作り直した動画です。このシリーズは、江戸時代後半、諸外国船の接近から開国への動きを時系列にしています。 1787年、松平定信による寛政の改革が始まった。世界を見ると、定信の同世代は、ルイ16世、エカチェリーナ2世、乾隆帝、ワシントン。欧州はフランス革命、米国は立憲主義が始まる。ロシアのエカチェリーナ2世は日本にラクスマンを派遣、定信は津軽海峡での防衛を模索した。 天保の改革はアヘン戦争の

    • 平等院と藤原頼通  京都のお寺の歴史

      藤原頼通は宇治の別荘を改めて平等院を作りました。大日如来を本尊とする密教の寺院で浄土教を含んでいました。阿弥陀仏を祀る鳳凰堂は平安時代のまま奇跡的に現存しています。藤原頼通は摂関政治の全盛期をもたらしましたが娘に皇子は誕生せず、後三条天皇が即位することになります。 後三条天皇の荘園整理令によって荘園の法的根拠が明らかになり、鳥羽上皇院政のもとで多くの領域型荘園が蓄積されました。藤原頼通が太政官符を得て成立させた平等院領は、殿下渡領などとともに藤氏長者が受け継ぐ荘園として長期

      • 40年ぶりの時計台  てまきねこ1801

        文学部の学生だった頃、教室には行かず図書館で好きな本を読んでいた。それでも「就職が決まったのなら卒業させてあげた方が世の中のためでしょう」と卒業を認めてくれた。良い時代だった。「母校に足を踏み入れることはありません」と誓い、高校では政治経済を主に担当、今年三月で宮仕えから解放される。 国公立の大学や高校に勤める友人も一斉に退職する。これを機会に母校の教授になった級友の退官記念講演を皆で聴こうという提案があり、打ち合わせのために卒業後初めて大学に出かけた。学園紛争でボロボロに

        • お正月の原風景  てまきねこ1512

          子供の頃、師走は一年で最もワクワクする月であった。ジングルベルが流れ、パン屋にケーキが並ぶ。福引きが始まり、景品の凧(たこ)をもって山に登る。 大晦日は人で溢れ、紅白が始まる頃に大掃除が始まる。年越しそばの出前が来て、子供たちはうどんを食べ、行く年来る年の鐘の音を聞きながら眠りにつく。翌日から商店街は長いお休み。おもちゃ屋さんだけが店を開いていた。それがお正月の原風景。 1970年代もそんな感じで、正月といえば酒と麻雀に耽(ふけ)っていた。様子が変わり始めたのは、1980

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        • 社会人のための高校日本史
          8本
        • 京都のお寺や神社の歴史
          1本
        • てまきねこ 670文字のエッセイ
          14本
        • 研究者と学ぶ日本史
          1本

        記事

          塾と学校の未来  てまきねこ1812

          新聞に「塾が大連合」という大きな見出し。IT化の波で中規模塾が立ち行かなくなっているのだろう。大手が三グループに統合されるのは学習塾市場の成熟化を示す。メガバンク・コンビニ・携帯電話がその典型。 思い起こすのは、商店街がスーパーに変わっていった頃。店の個性がなくなり、全国チェーンのスーパーで同じ商品を安く買えるようになった。学習塾が同じデジタル教材を使うようになると、どの塾を選んでも差がなくなる。これをコモディティという。コモディティになると付加価値が下がり、塾教師の収入が

          塾と学校の未来  てまきねこ1812

          春は出会いの季節  てまきねこ1904

          四月になるとクラス替え、担任は誰かと生徒はワクワクドキドキ。教師も最初の授業ではどんな生徒がいるのかとワクワクする。 映像が創り出す教師像は時代とともに変わってきた。1960年代は「キューポラのある街」で加藤武が演じた、中学校の野田先生だろうか。生徒役は吉永小百合。家が貧しいために修学旅行にも行けず高校進学を迷う。先生は彼女を励まし、定時制高校に進学させる。 1980年代には荒れる学校が話題になった。この時期を代表するのは「金八先生」。武田鉄矢扮する坂本先生が体当たりで様

          春は出会いの季節  てまきねこ1904

          ネットで古文書講座  てまきねこ1908

          数年前からインターネットを使った学習会を開いてみたいと思っていた。歴史研究会の関連団体が運営していた古文書を読む会が解散したので、歴史研究会直営の古文書学習会を立ち上げることにした。 講師は立命館大学の秦野先生。先生は後花園上皇の研究者で「鎌倉時代か室町時代の文書なら」という条件で引き受けていただいた。奇数月の第三金曜日、京都にある先生の自宅と相生の文化会館会議室をWEB会議システムでつないで学習する。交通費と移動時間が不要だから、先生も私たちも助かる。 古文書講座には、

          ネットで古文書講座  てまきねこ1908

          観応の擾乱 足利尊氏と足利直義

          観応の擾乱というのは1350年から52年にかけて行われた戦いです。 室町幕府の歴史を時系列で振り返ると、1336年足利高氏が共闘を制圧して光明天皇が即位し、後醍醐天皇は吉野に移って南朝を立てます。1338年、北畠顕家、新田義貞という南朝方の主要な武将が戦死、足利尊氏が征夷大将軍になり、このあと十年ばかり平穏な時代が続きました。ところが、1350年になって足利尊氏と足利直義の兄弟の間の戦いが始まってしまいます。 観応の擾乱で、足利家は足利尊氏・足利義詮・高師直と足利直義・足

          観応の擾乱 足利尊氏と足利直義

          スカッとさわやか  てまきねこ1905

          「スカッとさわやか」に続いてコカ・コーラと口にしてしまう、そういう人は日本人を年齢で二分したとき年長組に入ります。このCМ、1980年代前半まで使われていたもので、平成生まれの人は知りません。先生と生徒が同じ体験を共有しているかどうかは大切なことで、生徒が知っている言葉を使って説明してあげないと理解してもらえないからです。 「この木なんの木、気になる木」という日立のCМ、1972年の曲ですが私には新しく聞こえます。旧いCМは「あなたの夢を日立がつくる、大きな夢を日立がつくる

          スカッとさわやか  てまきねこ1905

          ソクラテスの弁明  てまきねこ1708

          『ソクラテスの弁明』はソクラテスが話した言葉を弟子のプラトンが文字にした。ソクラテスは多くの人と対話したが一冊の著作も残していない。釈迦・孔子・イエスも書こうとはしなかった。話す人は聞く人の反応によって続く言葉を変化させる。話し手を離れて真意は存在しないと彼らは考えたのである。 プラトンは書き手という人間と真意は別々であるから真意は文字で記録できると考えた。学校は文字で書かれた教科書と話しかける教師が組み合わさっている。主役は教科書、日本の受験は教科書の暗記が重視される。世

          ソクラテスの弁明  てまきねこ1708

          仰げば尊しは二番が大切 てまきねこ1603

          一昔前、卒業式の式歌は「仰げば尊し」と決まっていたが、近年は「贈る言葉」や「旅立ちの日に」が増えているようだ。 高校で学年主任をしていたとき、「仰げば尊し」を式歌にしようと思い立ち、歌詞や歌い方を調べてみたことがある。この曲は三コーラスで、一番は卒業生の師への感謝、二番は師の卒業生への説諭、三番は両者が一緒に過ごした学校での生活を振り返り「今こそ分かれ目いざさらば」で終わる。一番は卒業生、二番は教師、三番は両者で歌う構成になっているのである。生徒に尋ねてみると、ある中学校一

          仰げば尊しは二番が大切 てまきねこ1603

          学校とテレワーク  てまきねこ2004

          コロナウィルスで学校が臨時休校になった。突然のことで先生たちは困惑していることだろう。企業はテレワークを活用している。学校の授業もテレワークでできるが、先生たちに経験者が少ない。実は、私は授業でウェブ会議を使う実験をしたことがある。生徒のモニターに教科書とプリントを映して解説しチャットで質問を受けつける。生徒の評判は上々だった。 高校を退職してから高齢者大学で教えることになった。教える私もレベルアップしなければと思ったが近所に通える大学がない。そこで、ウェブ会議で教えてもら

          学校とテレワーク  てまきねこ2004

          眠くなる本 詩と哲学 てまきねこ15.10

          自分の理解できない本を読もうとすると眠くなる。若い頃、読みかけては睡魔に襲われた本がハイデッガーの『存在と時間』、書いてあることがまったく理解できないのである。 理解できない本には二種類あって、一つは、執筆動機はわかるが内容が理解できない本。航空機を設計するための技術書は、私の学力では理解できないけれども著者の意図はわかる。もう一つは、この本は何のために書かれたのかと不思議に思う本である。『存在と時間』は後者の典型であった。 それから三十年が過ぎたある日、哲学の教授と話す

          眠くなる本 詩と哲学 てまきねこ15.10

          青信号は緑色 てまきねこ18.10

          青信号は緑色に見える。何故?と思うが、当初は緑信号と呼んでいた。英語ではGreen Light。日本語は青と緑を曖昧に使う。人間が色を発見したのは、最初に白と黒、続いて赤と青で、ここまでは万国共通。その次の色は日本では黄色と茶色。日本語の形容詞で色に関係するのは、白い・黒い・赤い・青い、そして、黄色い・茶色いということから日本人が色を発見した順序がわかると説明する。 色を認識した理由は何だろう?白と黒は昼と夜。周囲を見渡して最も多い色はGreen。山・海・植物と自然はGre

          貧乏舌のかぶとむし  てまきねこ1909

          お宝鑑定団や芸能人格付けチェックの魅力は、値段の高い方をあてる面白さにある。値段と価値はイコールではない。お宝鑑定団の場合、工芸品の品質の良さは誰が見てもわかるし価格は品質に比例するが、コレクターアイテムは違う。 世の中には電池を集めるコレクターが存在する。東京オリンピックの頃に十万円していたソニーのテープレコーダーは、今ではヤフオクでも買い手がおらずゴミ同然。しかし、そのテレコに付属していたSONYの乾電池であれば値がつく。液漏れしていない美品なら、私が一万円で買う。

          貧乏舌のかぶとむし  てまきねこ1909

          蜘蛛の糸 仏に地獄  てまきねこ 1602

          お釈迦様が地獄におちたカンダタのために蜘蛛の糸を垂らしてやる。カンダタは蜘蛛の糸を登っていくが、あとに続く亡者たちに「お前たち、ついてくるな」と言ったので蜘蛛の糸は切れてしまい、お釈迦様はさびしい顔で立ち去った。 芥川龍之介の「蜘蛛の糸」は、地獄に仏となるはずであった盗賊が品性卑しさのために地獄に逆戻りする話とされています。しかし、お釈迦様の行動はこれでよいのでしょうか。「元の地獄へ落ちてしまったのが、御釈迦様の御目から見ると、浅ましく思い召されたのでございましょう」。愚か

          蜘蛛の糸 仏に地獄  てまきねこ 1602