本から著者を「私淑」する?|大人の言葉選びから考える
こんにちは、ぐりです。
今回は、
『大人の言葉えらびが使える順でかんたんに身につく本』
を読みました。
この本は、「感情表現を広げたい。」「この状況を的確に表せるようになりたい。」とお考えの方におすすめです。語彙力を上げることで、繊細なニュアンスを伝えることができるようになります。
また、若者コトバを使いがちな僕にとっては、場面に応じた適切な言葉えらびが理解できて、実践しやすいと感じました。
「簡単な言葉を使ってわかりやすく説明する。」という考え方が近年主流になりつつあり、語彙力を養う必要性を感じないと思う方もいるかもしれません。しかし、逆の立場で考えると、誰かにその言葉を使われることもあるかもしれません。その際に理解ができないことが、日本人としてもったいないなと思い、読むことにしました。
今回は、本著に含まれる語彙のなかで一番印象に残った
「私淑」
について、読書の意義を交えながら、深く掘り下げていきます。
私淑するの意味
みなさん、「私淑する」という言葉はご存知でしたか?
僕は、20年程生きていますが、恥ずかしながら初めて聞きました(笑)
そもそもどういう意味なのでしょうか?
「私淑する」の意味をデジタル大辞泉で調べてみたところ、
[名](スル)《「孟子」離婁下の「子は私(ひそ)かにこれを人よりうけて淑(よし)とするなり」から》直接に教えは受けないが、ひそかにその人を師と考えて尊敬し、模範として学ぶこと。「私淑する小説家」
と書いてありました。
つまり、「間接的」に学ぶことを指します。
実は、「淑」は「淑女」や「おしとやか」のように、女性が上品であるという意味で良く使われていますが、それとは別に「慕う」や「よしとする」という意味もあるんです。
ちなみに直接的な学びは、親炙や師事と良く使われます。
上記にもある通り、「私淑」は孟子の言葉が起源と言われています。
孟子は孔子の存命の時期に生まれなかったために、直接教えれられることはありませんでした。しかし孔子の教えが言い伝えとして残っていたために間接的に学ぶことができました。
このことから「私(ひそかに)」「淑(慕う)」を組み合わせた、「私淑」が生まれました。
改めて読書とは?
読書を結び付けるために、まずは読書の意義について考えます。
実は、一番最初の投稿にて、読書の意義を考えたことがありました。
読書をすることの意義については、以下の投稿に意見が載っています。
つまり、読書の意義は
「読書によって、自分の価値観を広げることができます。そして価値観が広がれば、自然と自分の行動も変わっていくでしょう。その為には、本の情報を得るだけでなく、独自の視点から考えることが重要だと思っています。」
と、まとめることができます。
僕自身、この考えを体現する形で、noteでの投稿をし続けています。
私淑=読書
前回記事のタイトルにあるように、本を読むことを「巨人の肩の上に立つ」ことに例えています。読書により新たに得られる情報や思考法などは、先人の知恵だとも言いかえられます。つまり、読書という行為は、間接的に先人たちから学んでいると考えられます。
これは、「私淑」しているといえるのではないでしょうか。
我々は、読書を通して、先人たちを私淑している。
このように考えてみると、その本を書いた著者の方に俄然興味が湧いてきませんか?
読書するということは、本の内容自体についつい目がいってしまいますが、
「著者は、なぜこのようなストーリーを考えたのか?」
「著者は、この本だけでなく他の著作本を含め、潜在的に何を伝えようとしているのか?」
など考えてみることで、作り手の強い想いや、著者自身のバックグラウンドにも興味を抱くようになります。そうやって知れば知るほど、著者自身まで応援したくなるのではないでしょうか。
僕自身そのように思った経験がありました。
本ではありませんが、SNSで話題となった「100日後に死ぬワニ」という作品で感じました。これは、何も変わらないワニの平凡な日常を描いていますが、100日後に突然死んでしまうという漫画です。結末がとても印象的だったので、なぜこのような作品を描いたのか気になりました。ネットで調べたところ、作者のきくちゆうきさんは、20代の頃に親友を交通事故で亡くしたという過去を知りました。著者のバックグラウンドを知ったことで、著者自身が伝えたいことをしっかり理解できた瞬間でもありました。
このように、本の内容のみならず、著者に対しても興味を抱くことは、独自の視点から考えることにつながっていきます。
僕は、自分なりに考えることこそが、読書の意義だと思っています。
まとめ
今回は、「私淑」について考えてみました。
私淑は、古来中国を起源とする言葉であり、間接的に学ぶことを指します。
そして読書は、本から著者の知識や思考法などを間接的に学べます。また、著者自身に思いをはせることで、また違った視点から考えることができるでしょう。
みなさんには私淑している作家さんはいらっしゃいますか?
是非、ご紹介ください!
【参考文献】
吉田裕子(2018)『大人の言葉えらびが使える順でかんたんに身につく本』, かんき出版
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