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日本縦断歩き旅《島根⇒佐賀編》1日目『寝台列車、労働からの解放』出雲⇒太田


旅の為に仕事を詰めていた。
三月末、職場の休憩所から桜が見えた。
旅で桜が見たい、だけど、まだ旅に行けない。

桜がどんどん咲いてきてしまって、
ついには満開になってしまった。
関東で満開という事は、島根ではもう散っているのではないか?

気持ちが焦る。

寝台列車で島根に向かう。

この日、朝まで仕事していて、昼に少し寝て、夜までにバタバタと旅の準備をした。
毎回、ゆとりある出発を目指すもバタバタしてしまっている。

ダブルワークの在宅仕事が長引いてしまった。
気持ちよく旅立つために変に力が入って空回りしてしまった。

荷物整理が甘く、少し多めになってしまった。
少しずつ減らしていく必要がある。

仕事と旅の準備でバタバタしていた。
東京駅で軽く迷ってしまい、寝台特急にギリギリで乗車。
荷物を置いた瞬間、一気に疲れがどっときた。

そして、じんわりと呼吸が楽になり、
旅の始まりの喜びがこみあげた。

バタバタして乗車してしまった為に、
コンビニに寄らず、飲み物も食事も買ってなかった・・・。
車内の自販機に行くも、水が売り切れ、甘い缶コーヒーかリアルゴールドしか残ってない。どちらも喉が渇きそうだがリアルゴールドを買い、手持ちのウイスキーで割って飲んだ。

仕事のメールなども済ませ、落ち着いて車窓を見る頃には、
神奈川に入っていて横浜駅が近づいていた。

車窓を楽しみたいが疲れていたので、静岡に着く前には寝ていた。

前回の出雲~東京では寝てしまったが、
今回は早起きして車窓を楽しむ。

前回は疲れて寝てしまったが、
子供の頃に夢だった寝台に乗っていると思うと少しでも楽しみたかった。

車両の切り離し、撮影にすごい人。
結局、撮れずに人を撮ってもどる。

飯を買ってなかったので、
岡山で駅弁が買いたかったが、
臨時休業。

臨時ってなんだよ!と、むくれていた。
ナッツを食べてしのぐ。

部屋の中。
キャリーカートがでかい。

出雲が近づいてきたが、ほとんど自分の通った道は見れなかった。

荷物が多いので早めに出る準備をした。

出雲駅を下車すると、改札で手土産を配っていて貰った。

お腹が減っていたので、すぐに食事。
スサノオラーメン食べる。
そばは、やはり出雲そば!食べた瞬間に関東と違う感じがした。
ラーメンは面が柔らかめ、味噌は自炊で食べ過ぎていて、ちょっと飽きていた所もあり微妙だった。
かまぼこ美味しい。

この日は歩いた後、電車で出雲駅に帰ってホテルで泊まる。
その為、ホテルに荷物を預けてから、歩き旅を始めた。

桜が思った以上に残っていて嬉しい。

仕事の疲れを引きずっているのか、
旅に来た高揚感が薄かった。

旅自体になれてしまったのか。

旅に求めていた物が薄くなってしまったのか。

働いていても、
はじめて北海道を歩き始めた時の事を
良く思い出していた。
期待、不安。
挑戦、逃避。
癒し、危険。

そして、
絶望、歓喜。
どこか死ぬつもりでもあり、
生きてみたいとあがいてもいた。

どちらかではなくて、
どちらも深く、濃く、強かった。

あの感じは、どんどん薄くなっている。

不幸や艱難の圧力が、
旅の圧力を生んでいたのではないか?

北海道の後、
新たな挑戦もして、
新たな辛さも味わったが、
それも落ち着き、片付いてきた。

問題はまだまだたくさんあるが、
今は日本縦断に重きを置き過ぎて、
生活全体がおざなりになって、
圧力が薄まっているのかもしれない。

桜が健在でホッとする。

水の懸け橋。

歩きながらオーディブルで伊集院光「名著の話」を聴く。

NHKでやっていた伊集院光の「100分で名著」が好きで、
よく録画してみていた。
本にはカフカの「変身」について書かれていた。
自分自身、鬱の症状と理不尽さを比喩的に伝えている感じがして、
好きな名著で興味があった。

中でも「虫」のニュアンスが、
翻訳前の現地では「虫けら」「供物に使えないもの」「いらないもの」というニュアンスがあるらしく。

「虫」という怪物に突然変わったニュアンスで感じていたが、
原文だと「虫けら」「使えない人」になってしまったという、
朝、突然仕事ができなくなって「生産性の(つかえない)ない奴」になってしまった。という現代でもわかりやすいニュアンスだった可能性が語られていた。

海に出た。
やはり海を見ると気持ちが上がる。

オーディブルで『スクラップビルド』を聴く。

倉庫の肉体労働を初めて、
若者が高齢者へのヘイトを良く耳にするようになった。

よく怠け、非生産的。
我が強く、プライドが高い。
学ばないし、柔軟に対応できない。
若者は老人に興味はなく、老人は若者に興味があり、過干渉。
その上、建前で敬わなければならず、扱いが面倒。

もちろん全ての人ではない。
一部であっても、十分に多く遭遇した。

現に、セクハラ、ナンパ、大声での恫喝、生産性が落ちた時の尻ぬぐい。
全て高齢者から若者へ行われている現場は見てきた。
しかし、逆は一度も見なかった。

倫理的に見れば、若者が悪いというのは簡単だろう。
しかし、辛い肉体労働のなか、
若者たちがあと少し、もう少し、頑張っている中。
休憩所に歩くスピードの10分の1のスピードでダラダラ歩く、
怠慢的な人を見て何も感じないのも難しいだろう。


自分もおじさんだ。
これから高齢者になる。
知識はネットを上回らない。
大事業をなした経験もない。
いずれ若者のお荷物になる。


ただ、思ったのは高齢者に日本縦断はいいのかもしれない。
もちろん事故には気を付けてほしいが。
家にいても邪魔、
職場にいても邪魔、
昔の話ばかりで新しい挑戦しないから話がつまらない。

旅は失敗もあるし、若者への一方的な説教癖も収まり、
過干渉ではなくなるのではないだろうか?

そんな事を考えていた。

歩きやすい海辺の道。

道の駅に立ち寄る。
飲食はしなかった。

塩害のせいか錆びついたEVスタンド。
EV車の状況も変わり、
日本での普及はどうなるのか・・・。

道の駅 ロード銀山 立ち寄る。
ほとんど営業してない雰囲気だった。

この日の目標地、太田駅に近づいてきた。

電車の時間が少し先なので、スーパーで買い物を済ませておく。

この先の大阪王将に立ち寄るつもりだったが、
電車の時刻を考えると間に合わなさそう。
目に入った、ラーメン屋「とりの助」に入る。 

入ると客がいなく、店員が4人待っていた。

軽く経営を心配になってしまうが、ラーメンはキチンと美味しかった。
チャーシューはやや硬いがしっかりと肉感味わえる。

餃子うまかった。

小さいご飯が付き、漬物がセルフで撮り放題!たすかる。

大田駅。

初日は日焼け止めしてなくて、
一日でだいぶ日焼けしてしまった。
帽子をかぶっていたが、鼻先だけ日焼けしてピエロみたいに真っ赤になった。

電車の中は座席の間隔が広くて驚く。

車両が怖いw

ホテルに着く。
奮発してドミーインにした。
去年より相場が下がっていた。

9階で景色がいい。

楽しみだったサウナに入る。
内装はキレイだし広い。
いたるところに勾玉や龍、八雲など神話モチーフの飾り付けがある。
サウナの温度も丁度いい。
水風呂はだいぶ冷めたくて良い。
外気浴も椅子があるし、空いている。
立てば、景色も見える。
夜空は曇っていたが月が見えた。

ストレッチをして、夜泣きそばを食べた。
ここの夜泣きそばは冷凍麺の感じが残っているように感じた。

夜中、夢を見た。
職場の人間関係の良くはない夢だった。

24日間の長い旅の始まりは、さらりと終わった。

この日歩いた距離 34km

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