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分かるとおもしろい、短歌と俳句

新緑が眩しい季節になってきました。
夏を思わせるような日差しで、散歩に出掛けたくなる今日この頃です。

TEKIKAKUに4月から入社した、20代社員の嘉陽です。
大学時代は京都で4年間一人暮らしをしていました。京都を離れて未だ1か月ほどしか経っていないのに鴨川が恋しいなぁと時折思ってしまいます。

さて、最近の楽しみといえば専ら本や漫画を読むことなのですが、
今回は短歌と俳句に関する2冊を紹介したいと思います。

私は短歌や俳句を嗜むというよりむしろ縁遠い方でした。ですが、最近くどうれいんさんの「うたうおばけ」や「一千万円分の不幸」のエッセイを読み、歌人に興味を持ち始めました。これから俵万智さんや穂村弘さんなど芋づる式に読み進めていこうと計画中です。

『しびれる短歌』で好きな短歌を見つけよう!

1冊目は歌人の東直子さん、穂村弘さんによる『しびれる短歌』です。お2人で恋や食べ物など様々なジャンルの短歌について語り合う、読みやすい形式になっています。私は短歌ってなんだか高尚で、難解なものだというイメージがあったのですが、お2人が解説や感想を話し合う所でそのイメージを払拭できました。解釈や感想は人それぞれでいいんだと思えて、短歌の面白さが伝わってきます。自分の好きな短歌を見つけると、より一層読むのが楽しくなります。

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なかでも、私のお気に入りの短歌はこちらです。

生前は無名であった鶏がからあげクンとして蘇る        木下龍也
〈東直子・穂村弘(2019)『しびれる短歌』筑摩書房〉

こんなのありなんだ、と衝撃を受けた歌です。からあげクンという言葉が入っていて、現代に生きてる人しか分からないところが好きです。日常に溶け込んでいるものに焦点を当てて、背景を想像し短歌にすることの楽しさが伝わるなぁと思いました。

続いてもう一つはこちらです。

」杜子春は恐怖のあまり目を閉じた。括弧の中には入れないのだ「 千葉聡〈東直子・穂村弘(2019)『しびれる短歌』筑摩書房〉

短歌の外が括弧の中に入れられているんですが、これが短歌!とにやにやしました。短歌の表現方法の可能性は未知数…!発想力があると、こんな形にもできちゃうんですね。

他にも与謝野晶子さんや寺山修司さんの歌など古典的な短歌も載っているので、昔の歌を知りたい方、現代の短歌に興味がある方の両方におすすめできる本です。


『ほしとんで』で俳句のいろはを知る

2冊目は本田さんによる漫画『ほしとんで』です。俳句をテーマにした漫画で、俳人の堀本祐樹さんが監修されています。個性際立つ人が多い芸術学部で俳句のはの字も知らない主人公が俳句ゼミに入り、他のメンバーと俳句を学んでいく話です。季語、切字などの基本的なルールを、俳句ゼミの授業で分かりやすく知ることができます。個性豊かなキャラクターの言動も面白く、自分も俳句をつくってみたいという気持ちになります。

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好きなシーンは、穴埋め俳句をゼミ生が実作・合評する場面です。このゼミでは「できあがった句をけなしあうことはせず、いいと思うことを各自熱く推してくスタンス」なのですが、この姿勢が良いなぁと感じました。どんな時でも批評されるのは結構覚悟がいることで、身構えますがこの姿勢を表明してくれていることでちょっとラクになれそうですよね。穴埋め俳句をしてから本家の俳句を見ると、五七五の短さの中で詩情が感じられるのが凄いなと感嘆します。

短歌と俳句、ジャンルが異なるとはいえ2冊に共通していえるのは、まず楽しむことが大切というメッセージがあることです。前者では歌人のお2人が対談で楽しげに語り、後者では和気あいあいと俳句をつくっています。短歌や俳句という型の中におさめて人に伝えることは難しく、それでいて分かると楽しい世界です。ぜひこの機会に読んで興味を持ってもらえればと思います。

<文・写真:嘉陽桃>


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