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表紙からして魅力的!読んでみてほしい雑誌『花椿』

最近、家で本や雑誌をごそごそ整理していたら、雑誌『花椿』が出てきたので読み返していました。お気に入りのページがあると雑誌はどうしても捨てられず、積み上げてしまいます。実家でも、雑誌を積んでいて「捨てちゃっていいってこと?」とあやうく捨てられそうになっていました。今回は、『花椿』の好きなところや発掘した『花椿』814号と818号の感想を綴っていきます。

『花椿』は、資生堂が刊行しているPR誌です。紙媒体だけでなく、ウェブサイトもあります。『花椿』のウェブ版では、漫画「ダルちゃん」が話題となり、単行本化されていました。アートやファッション、詩などさまざまなジャンルのことがぎゅっとつまっている雑誌です。資生堂関連の施設や取り扱いのある書店などで、無料でもらえます。

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まずは『花椿』の好きなところと814号についてです。

好きなところ①:普段なら知りえないであろう分野のことを学べる

2016年 #814  特集 ふれる|TOUCH
・「肌思う、ゆえに我あり!?ー肌と触覚のフシギな関係にサイエンスがせまるー」

化粧品会社の雑誌なので、皮膚や触覚についての記事がありました。小難しいのかと思いきや、読んでみるとおもしろい。特に「ことばの触感」についての話に引き込まれました。

オノマトペのような「ことばの触感」は世界共通で伝わるそうで、「ブーバ/キキ効果」という有名な実験を紹介していました。トゲトゲした図形と丸みのある図形を見せたとき、どちらが「ブーバ」か「キキ」かを尋ねると、どの国の人にアンケートをとっても同じ結果になるそうです。発音する時の口の動きが関連していて、「言語」も触覚などの身体で感じる感覚から生まれたのではないかという考えがあると述べられていました。

言語学的な話ですが、触感や口の動きと言葉の関係性を考えるところに焦点を当てたのがこの特集のおもしろいところだなと思いました。「ふれる」というと外側、皮膚の感覚ばかり想起してしまいがちですが、言葉と触感で絡めるところが、テーマを違う角度から見られていいなと気付きました。

絶対に普段なら読まないだろうなということにふれられるのは、雑誌のよさだなぁと思います。さまざまなジャンルの記事が載っていて、自分の好みのページ以外にも目を通すので新しい事を知るきっかけにもなります。知らないフィールドの入り口を教えてくれるのが、雑誌だったりもします。なるべく食わず嫌いをしないでいろんな分野のことにふれるように心がけたいものです。

好きなところ②:写真へのこだわりがずば抜けている

2016年 #814  特集 ふれる|TOUCH
・「Feels of Rainbow」(写真:Petra Collins)

冒頭に写真特集が11ページあり、しょっぱなから目に入る情報が良すぎる…と頭を抱えてしまいます。「ふれる|TOUCH」というテーマに関連する写真なのですが、写真にしか表せないものってあるんだなと思えるページでした。

アイシャドウをぬるときに瞼にふれる、シャボン玉にふれる、ガラスに手をぺたりとつけて外を眺める、髪にふれる、などさまざまな場面が写真で表されています。そのシチュエーションを文章で書いてしまえばそれまでなんですが、雰囲気や感情などが内包されているのでやっぱり写真を一言で表すことはできないなと思いました。写真のみでテーマを物語るページがある雑誌が好きなのは、これが理由なのかもしれません。

ほかにも、鈴木親さんや永瀬紗世さんなどさまざまな写真家が他ページの写真を担当していて、一つ一つの写真にこだわりが感じられます。こんなに気合の入った雑誌が無料とは…。

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続いて、『花椿』の好きなところと818号についてです。

好きなところ③:ピックアップする人がツボ

2018年 #818  特集 Hello, My Future
・「Hello, My Future」(SONOYA MIZUNO、TENZIN CHE MIYAHARA、MEIRIN、haru.)

巻頭特集では、異なるジャンルで活動する4人が未来について語っています。ここで取り上げられている4人それぞれ、自分の大切にしていることや好きなことが明確にあるのが素敵だなと思えるページです。踊ること、コラージュなどの作品を作ること、音楽、雑誌。好きなものを好き!と前面に押し出せる強さがある人たちで、話を聞くのが楽しかっただろうなと誌面を見ながら想像しました。

なかでも、haru.さんのページが好きで、一貫してやりたいことがハッキリしている人だなあと読み返して思います。Instagramでもよく拝見するのですが、本当に雑誌が好きなのが伝わってきます。このページでも、自分の表現の場所はずっと雑誌だとおっしゃっていて、自分の好きなものにとことん向き合っていくスタイルを見習いたいです。

好きなところ④:愛が伝わるインタビュー記事

2018年 #818  特集 Hello, My Future
・「Interview about the future 7つの未来」

ファッションやテクノロジー、文学、バイオなど各界の先駆者たちに未来像を聞くという特集ページ。特に惹かれたのが、クマムシ研究者の堀川大樹さんの箇所です。1ページの枠で、左側に5枚の写真がちりばめられ、右側に文章。読んでみるとほぼクマムシの話で、どういう生き物なのか、クマムシの強さなどについて書かれています。クマムシへの愛しか見えない…。

日常の中でほぼクマムシに関心を持つことがないので、ここまで愛しさ全開の記事を読むと興味が出てきます。インタビュー記事は、話し手の人となりがよく出ていると関心がぐんと高まるので、これを読んで話し手のことだけでなく聞き手の姿勢も伝わるなぁと感じました。聞き手の方の見解が多くなると、話し手のことが見えづらいので、クマムシについて語りまくるこのページはほんわかした気持ちになりました。

『花椿』を読むと、新しい視点や知識を知れて気分をあげてくれます。各ページにこだわりが感じられる『花椿』をこれからも読んでいきたいものです。

<文・写真:嘉陽桃>


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