見出し画像

あなたの積読教えてください④

まだ読んでいない本があるのに、新しい本を買ってしまう。そうやってどんどん未読の本を積み上げていくことはありませんか?誰しも必ず持っているであろう積読本を、これから1人ずつ紹介していきます。

第4回目は、古本屋やレコードショップの100円コーナーをはしごしていた30代社員、安藤の積読をご紹介します。

--------------------------------------------------------------------------------------

90年代後半から00年代に中学~大学時代を過ごしていたのですが、私は当時、放課後や休日、町田のレコファンやディスクユニオン、TAHARAに行っては、中古CDを探したり、試聴機コーナーを巡ったりする毎日を過ごしていました。PCをネットにつなげばかなりの音楽に出会える今とは全く違い、当時の音楽というのはCDやレコードのように形を伴ったものでした。

CDと同様、本もそんな感じで、本というのは書店でばったり出会う「もの」でした。古本屋を見かけるたびに「ちょっとどんな感じかなー」と覗き込む習性が身についていて、タイトルと目次、中身をパラパラ読んで面白そうだったら価格を見て左手にキープ。右手でまた次を探し、大体左手のキャパと価格のキャパを天秤にかけて調整して、最後レジに持っていく、という感じでした。はじめて入った古本屋だと、レジで支払いをした後に100円ワゴンとかを見つけてしまって、そこでもまた小一時間費やす、なんてこともあります。

そんな感じなので、私の部屋にはほとんど読み切れない本や聞いていないCDが積みあがっております。読んでない本の方が多いです。人によっては積読棚というのを用意してたりするそうですが、私はもう、そういうので収まる状況ではなく、読んだ本も読んでない本も、自分のなかで区別がつかない状態になっています。

今回はとにかく、本棚を眺めて目に入った「読んでないと思しき本」をピックアップしてみたいと思います。

『漫画映画の志』高畑勲

●積んでいる期間
3~4年?
●なぜ買ったか
安かったから。たしか1500円くらいだったと思う。
●もうちょっと詳しく
『おもひでぽろぽろ』の面白さに仰天し、一時期そこから高畑作品を辿って行った。さすがにアニメシリーズとかまでは見なかったけど、『おもひでぽろぽろ』のタエ子が浮かれて空を舞うシーンや、『かぐや姫の物語』の赤ん坊がぐんぐん重くなっていくシーンの、人間の重さの表現が好きで、アニメーション演出みたいなものが気になった。
●なぜ積んだか
同時に購入した『ジブリの教科書』シリーズや鈴木敏夫のエッセイの方がとっつきやすく、がっつりアニメーション論みたいなものと向き合う覚悟がまだできていない。

『ラップという現象』マーク コステロ (著), デイヴィッド・フォスター ウォーレス (著), 佐藤 良明 (監修)

●積んでいる期間
気づいたら10年くらい経ってるかも。
●なぜ買ったか
ヒップホップを調べる過程で購入。
●もうちょっと詳しく
そもそもラップってなに?みたいなことが知りたくて、ヒップホップ論やラップ論はちょくちょく買っている。この分野の翻訳は日本ではまだまだ少なく、ネルソンジョージばかりが翻訳されているのだそう。日本のブラックミュージック理解は「ネルソンジョージ史観」とか呼ばれてるらしいが、かくいう私もその一人なので、できるだけ翻訳ものはきちんと買っていこうと思ってる。著者のデイヴィッド・フォスター・ウォーレスというのは、あの『ヴィトゲンシュタインの箒』を書いたデヴィッド・フォスター・ウォレスです。ラップ論も書いてるんですね。「ラップという現象」という邦題は、もちろん細野晴臣のあれだろうと思うけど、中身読んだら内容的にもリンクしてるのかもしれない。
●なぜ積んだか
単純にまだ着手できてない。ちなみにこの本とほとんど同じタイミングで古本屋で買ってきたフルトヴェングラー『音と言葉』も積読です。

『近代日本人の発想の諸形式』伊藤整

●積んでいる期間
正確に言うと積読じゃないです。読んでます。ただ、古本屋で見かけるたびに買ってしまいます。
●なぜ買ったか
名著だというのと、岩波文庫だけど新刊書店ではこの番号が欠番になってることが多いというのと、あと、大体古本屋だと100円ワゴンにささってることが多いから。
●もうちょっと詳しく
アマゾンを知る前、この本の一節を何かの印刷物で読んでから本が欲しくてたまらなくなった。岩波文庫所収ということなので安心して大型書店に行ったら、伊藤整の他の作品はあってもこれだけ欠番。わざわざ新宿紀伊国屋まで出て行って探したけど、やっぱり欠番。後で知るんだけど、こういうのは都内大型新刊書店の方がない。都市部の方が出版社の在庫具合と近い動きをするんですね。結局私は、岩手県一関市に出かけたときに新刊書店の文庫棚でたまたま見つけ、新古車ならぬ「新古書」として購入することに成功。ただ、その後も古本屋巡りをしているとたまに出会うので、そのたびに買って知り合いとかに譲っている。いまも手元に、私の新刊で買ったやつのほか、神保町の古本屋で100円で見つけたものがある。
●なぜ積んだか
上記のような経緯なので、見つけるたびに買っては積んでしまう。こういうのを、界隈では「救出」と呼ぶらしい。

『コラムの逆襲―エンタテインメント時評1999~2002』小林信彦

●積んでいる期間
たぶん1年以内。
●なぜ買ったか
小林信彦の時評は、安いのを見かけたらとりあえず買うスタンス。
●もうちょっと詳しく
最近だと文春の『本音を申せば』が1117回目をもって最終回となったけれど、こういう職業文筆家の時評というのは、基本的に反射神経も非常にいいので、あとから評価を読み返してみる楽しみがある。テレビ以前と以後をまたいで笑芸・演芸を観てきた人なので、テレビ以前の芸人や俳優の姿を想像しづらい私世代の人間には特に、いい指南本として機能したりする。70年代とか80年代とかの、「作品は見たけどそれが世の中でどう受容されていたのか知りたい」というときは、とりあえずこの人の時評を読んでみる感じ。
●なぜ積んだか
なので、やっぱり自分の生まれる前の作品レビューや社会時評の方が興味としてはそそられるので、知ってる時代を対象としたこちらの本はまだ読めていない。でもいまパラパラといくつか読んだら、ジムキャリー論とかにも触れていて面白いです。


文:安藤賛

※Amazonのアソシエイトとして、TEKIKAKUは適格販売により収入を得ています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?